夏、余り、嘘、ほんと.2
「はぁ...」
『なーにため息ついてんの?』
「わっ......なんだ美月か...」
『おはよ!○○ 』
「おはよう。」
「...はは、相変わらず...元気だな。」
『うん!まぁーそりゃあねぇー?』
『てか、逆に○○は元気なさそーじゃん。
なんかあった?まさか飛鳥さんと...別れた?』
「...にやにやして言うことかよ、それ。」
「でもまぁ...そんなとこ。」
『え!まじぃ!?』
『何がきっかけで!?
どっちから別れ話きりだしたの!?』
「いやいやいやいやおいおいおいおい。」
「デリカシーとかないのか、このアホ美月は。」
『えー?ふん、こんなに可愛い幼馴染にアホって言う方がよっぽどデリカシーないじゃん。』
「えぇ?そうですかねぇ?」
『...こりゃ、飛鳥さんにフラれたってことか。』
「っ......うっさいわ。」
「どうでもいいだろ。美月には。」
『まぁね〜?』
『...あ、じゃあ突然なんだけど今日さ』
「は?いや、急にどっから出してんだよ
その"じゃあ"は。」
『えぇー?そこそんなにつっこんじゃう?』
「別に?なんか面倒なこと言ってきそうだったから、念の為つっこんどいただけ。」
『いや、面倒って...そんな事ないと思うけどな〜?』
「ふーん...?じゃあ、言ってみ?」
...
...
...
『えーっと...この"カップル限定!幸せのスペシャルミックスベリーパンケーキ"お願いします!』
〈っ!かしこまりました〜!!〉
〈幸せパンケーキ入りまぁーす!!!〉
「...おい、美月。」
『ん?なぁに?』
「いや、説明しろ。いろいろと。」
「一応、確認するけど...
"一緒に新メニューのパンケーキ食いに行こ"
って、今朝はそういう話だったよな?」
『うん!だから、パンケーキ頼んだじゃん。』
「うん。...いや、でもな?その"幸せスペシャルなんちゃらパンケーキ"の前にさ...」
「"カップル限定"って言ってたよな...?」
『うん。言ってたけど?』
「...帰る。カップルじゃねぇし。」
『ち、ちょっ!!ごめん!説明するから!』
「はぁ...そう言うなら最初っからしとけ。」
『...でも、もし説明してたら
誘っても○○来てくれなかったじゃん。』
「それは......まぁ.....わかんないだろ。」
『いーや!絶対来てくれなかったねー!』
『だって○○だもん!
飛鳥さんと別れたばっかだし!』
「......全然理由になってないからな、それ。」
「ていうかさ。」
『ん?』
「頼むなら俺以外に頼めよ、こういうの。」
「美月、いろんな人から告白されてんだし
別に頼む人がいないって訳じゃないだろ?」
『そ、それはそうだけど。でも...』
『○○以外に一緒に行きたい人はいないんだから仕方ないじゃん?』
〈お待たせしましたぁ!〉
〈こちらっ!幸せパンケーキでぇす!!〉
『あ!きたきた!美味しそぉ!!』
「...確かに。めっちゃ美味そう。」
〈こちらの特製追いベリーソースをかけてお召し上がりください!!〉
〈では!素敵なひと時を!!!〉
『わたしソースかけていい?』
「いいよ。」
「って!さすがにちょいかけ過ぎかけ過ぎ!」
「最初っから全部かけないだろ普通!」
『えー?そう?
まぁ、いっぱいかけた方が美味しいって!』
「これってそういうもんなの?」
『うん!......たぶん。』
「多分なのかよ。」
『むっ...そんなに言うなら、
○○が最初に味見してみればいいじゃんよ。』
『ほら、はい。あーん。』
「え?は?なに?」
『いいから!あーん!』
「はぁ...。んっ............うまっ!」
『へへへ、でしょ〜?』
「うん。いや、正直マジで美味い。」
「美月も食べてみ?」
『......』
「......え?」
『......』
「なんだよ、口開けたまんま動き止まって...」
『......』
「......はぁ...ったく、ほら。あーん。」
『んっ!うまっ!』
「だろ?っていうか普通に自分で食えよ。」
『え〜?私も○○にあーんしてあげたんだからさ
これは等価交換ってやつでしょ。』
「俺は別に頼んだわけじゃないけどな。」
『へっ、私も別に頼んだわけじゃないよーだ。』
「っなっ......はぁ...」
『そんなことよりさ、○○。』
「...なに?」
『あとちょっとで夏休みじゃん?』
『お祭り、今年は一緒に行こーよ。』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?