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俺の知らない転校生 3



『あれ〜?随分来るの遅かったね〜?』



「......」



昇降口。
靴を履き替えてる途中に声をかけられて。

振り向くと
さっきのやつがニヤニヤしながら立っていた。




『ふっふっふ...!』

『今から美空が
○○くんの思ってること当ててあげるね?』


『ズバリ〜?』


『"なんで俺の方が屋上を先に出たのに..."』


『でしょ?』




「......」

「...いや、違うけど?」



『え〜?うそだ〜!嘘つくのはダメだよ』

『だって美空、これやるためにわざわざ
月1回限定の瞬間移動まで使って来たんだよ?』

『...ていうか、地球人の○○くんのことなんて
美空にはツルッとマルっとお見通しっ!』



「......あっそ。でも、ほんとに違うし。」



『え、えぇ?じゃあ、なんて思って...』



「"面倒くさ、さっさと早く家に帰らせてくれ"」

「って思ってんの。さっきから今の今まで。」



『なっ...!』



「ってことで。じゃ、さよなら。」



話を一方的に切り上げ、
靴を履き替えたら、上履きを下駄箱に戻す。

そうして、学校を出ようと歩き出すと



『じ、じゃあ!どうやったら信じてくれる?』

『美空がほんとに宇宙人なんだってこと。』



なんて、いかにも
本気っぽそうな顔で呼び止められた。



「はぁ......」

「どうやったら信じる?って言われてもな...」



正直、何をされても信じる気はないし
そもそも信じられる気もしない。

でも...ま、そこまでいうなら?
信じてみるために、試してみようじゃないの。



「...じゃあ、試しに今から地球滅ぼしてみろよ。」



『えっ...なっ!ええっ??』



「ええっ?...って、だって侵略に来たんだろ?
なら、遅かれ早かれそうするわけじゃん。」

「だから...今すぐこの地球をお前が滅ぼしてみせたら、お前が宇宙人なんだって信じてやるよ。」



『っ......い、いやぁ...そ、それは......その...』

『...無理......っていうか、なんていうか...』



「あぁ??」



声がボソボソと小さくて聞こえない。
...まぁ、なんて言ったかは大体察したけど。



『だ、だから!無理なんだってばぁ!』


『だって普通に考えてみてよ!美空みたいな女の子がそんな力 持ってるわけないじゃん!』

『っていうか"地球侵略"って言っても
別に地球を滅ぼすってわけじゃないし!!』



「はぁ?それってどういう...いや
じゃあ、なにをどうやったら"侵略"なわけ?」



『だっ...それはだから〜!
〇〇くんを洗脳することができたらだって!』

『そうしたら、この星のみんな洗脳できました
"はい、侵略!"ってことになるの!』

『だって1度洗脳にかかった人は記憶も行動もぜんぶ美空の思い通りできるわけだし!』

『誰も美空に逆らえないってことは
侵略できたっていっても問題ないよね!ね?』



「......まぁそれはそうだな。」



でも、バカなのか、こいつ。

それを聞いたら尚更
"はい、信じます"って、なるわけないだろ。



「はぁ......」

「...ま、じゃあ一応はっきり言うと、俺 無理。
お前のこと"宇宙人"だって信じるの。」

「てか、もしお前が地球を滅ぼしてみせたとしても俺はお前を信じられなかったと思う。」



それ以前に、本当に地球が滅ぼされてたら
その時に俺も死ぬはずだし。

死んだら洗脳の意味もないだろうから。



「だから、俺の洗脳は諦めてくれ。」



んで、早く家に帰らせてくれ。



『......やだ!』

『信じてくれるまでずっと付きまとうから!』



「はぁ...」



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