告白罰ゲームから始まる、少し変わった恋。05
咲月 : ごめーーん!!待った?
○○ : ううん!全然!
咲月 : そう?なら よかった!
放課後。
校門から少しだけ離れたとこに立っていたら
咲月が小走りで走って来た。
これから、妹の彩が待つ駅まで歩いていく。
咲月 : にしても ○○の妹ちゃんが私に会いたいって言ってきてくれるとはね〜!
咲月 : でも、どうして急に会いたいって?
○○ : あぁ、なんか...
○○ : 今朝、ごはん食べてる時に"彼女が出来た"って言ったら写真見せてって言われてさ?
○○ : で、写真見せようと思ったんだけど...俺、咲月の写真1枚も持ってなくて。
○○ : そしたら、妹が"彼女が出来たなんて嘘でしょ"、"ほんとにいるなら...
咲月 : 会わせなさいよって言ってきたわけか!
咲月 : あはははっ!なるほどね!そゆこと!
○○ : ん、そういうこと。
○○ : ごめん。兄妹のいざこざ?っていうか、妹の急なわがままに付き合わせて。
咲月 : んーん!ぜ〜んぜん!
咲月 : 朝にも言ったけど、私だって○○の妹ちゃんと会ってみたかったし!
咲月 : むしろ、逆に妹ちゃんから私に会いに来てくれるなんて超超超超ラッキ〜!って感じ!
○○ : そ、そっか。
そう思ってくれてるなら、こちらも何より。
そうして、そんなこんな話しながら歩くうちに
俺たちはいつの間にか駅の近くに着いていた。
○○ : っと...彩に連絡......
○○ : 「駅近く着いた」
○○ : 「どこいる?」
すると、ものの数秒で既読がつき返事がくる。
彩 : 「北口の改札のとこ」
それから、返事の通り 北口改札の方へ向かうと
○○ : あ、いた。
咲月 : へっ?
券売機の近くに彩は立っていた。
咲月 : ちょっ!ちょちょっちょっと待って?
早速 彩に声をかけにいこうとすると
咲月は俺の袖を引っ張って、それを阻止する。
そして、ちょうど彩に気づかれないくらいの
でもって、こっちからは彩がギリ見える角に
何故か連れてこられた。
○○ : な、なに?どうかした?
咲月 : その...一応聞くんだけどさ、もしかして妹ちゃん...あそこの券売機のとこにいる子?
○○ : ...?そうだけど?
咲月 : ......え、さすがに可愛すぎない?
○○ : へ?
咲月 : やっ、別にさ?可愛くないんだろうな〜とか思ってたわけじゃないんだよ?全然。
咲月 : むしろ、○○の妹ちゃんだし相当可愛いんだろうなって覚悟はしてたんだけど...
咲月 : でも、まさかあんなに可愛い子だなんて思わないじゃん!ほんとに中学生?嘘でしょ!
咲月 : うぁ〜...どうしよ〜...
咲月 : なんか急に緊張してきちゃった...
○○ : え?え、えぇっと...じゃあ どうする?
○○ : 今日のとこは会うのやめとく?
咲月 : や!それは ない!今日 絶対に会う!
咲月 : でも ちょっとだけ待って?一旦待って?
咲月 : 会う前に1回ここで深呼吸していい?
○○ : あぁ、うん。どぞ。
咲月 : すぅぅぅ...はぁぁぁ.........
咲月 : ......よし!行こ!
そう言いながら、咲月は俺の肩をポンと叩く。
どうやら覚悟的なものが決まったらしい。
っても、ただ俺の妹に会うだけなのに......
正直、咲月の家に入る方がよっぽど...
○○ : 彩!
気を取り直して
券売機の近くで待っていた彩に声をかける。
そして、声に気づいた彩は
その視線をスマホから俺たちの方へと向けた。
彩 : あ、やっと来た。来るの遅いよ。
○○ : ごめんごめん。ちょっとね。
彩 : ...で?お兄ちゃんの隣の人が?もしかして
○○ : そ!
○○ : 彩が会いたいって言ってた、彼女の...
咲月 : ス..菅原咲月です!はじめましてー?
彩 : ......
○○ : ...?
咲月 : ...?
あれ?思ってたよりも薄すぎる反応。
けど、それからゆっくりと彩は口を開く。
彩 : ...どうも、お兄ちゃんの妹の あや です。
○○ : ど、どう?彩?これで信じてくれた?
彩 : うん。まぁ...少しは。
○○ : ...は?え?す、少し?
その彩の言葉に混乱していると
彩は咲月の方をじーっと見ながら急に言った。
彩 : あの...1つ聞きたいんですけど...
彩 : ほんとにお兄ちゃんの彼女なんですか?
咲月 : ...へっ?
○○ : はっ?
○○ : なっ?なななに言ってんの!?彩!?
○○ : ごめん!妹が変なこと聞いて。
○○ : 彩?ちょっと一旦2人で話そうか?な?
彩 : やだ。お兄ちゃんは黙っててよ。
彩 : で、どうなんですか?
咲月 : え、ええっと...
咲月が戸惑いながらもチラッと俺の方を見る。
俺は申し訳ない気持ちをこめて視線を返す。
すると、咲月はそれを察してわかったように
表情を笑顔に戻しつつも余裕げに妹に答えた。
咲月 : うん!そうだよ?
咲月 : 私はほんっとーに○○の彼女!
咲月 : でも、どうして彩ちゃんはそんなに私が○○の彼女かどうか疑ってるの?
彩 : ......だって 信じられないので。
彩 : お兄ちゃんがあなたに一目惚れしたのが。
咲月 : ...んっ?んーと......どうして?
彩 : それは...
○○ : ...?
彩が何かを言おうとして、俺のことを睨む。
それからどうしたのか、俺に向けて
「はぁ...」と1つため息をつき、咲月に答えた。
彩 : ...今まで お兄ちゃんが女の子に興味持ったことなんて1度もなかったからです。
咲月 : へ...?
咲月 : そうなの?
○○ : い、いや?そんなことないけど...
彩 : じゃあ、お兄ちゃんに聞くけど...お兄ちゃん、奈央と美空のことはどう思ってるの?
○○ : は...?奈央ちゃんと美空?なんで?
彩 : いいから答えてよ。
○○ : 答えてって、そんな別に...
彩が言った"奈央ちゃん"とは
彩と同じ中学に通う、彩の同級生で友達の女の子。
彩繋がりで家に遊び来るときが頻繁にあって
その時に一緒に遊んだり話したりしてるっけ。
で、もう1人言ってた"美空"は
彩をなぜか溺愛する、俺と同い年の友達(?)。
中学の頃は、彩目的で家にたまに遊びに来たり
俺に彩の話やら写真やらをせがんできたりと
何かと異常に関わることが多かったのだが
高校になって学校がそれぞれ別になってから
個人的にはパッタリと関係が切れてしまった。
だから...
○○ : 別に...どう思ってるも何も?
○○ : しいて言えば"彩の大切な友達"でしょ?
これ以外の答えはないはず。なのに...
彩 : ...はぁ。これだからお兄ちゃんは。
彩は俺の答えを聞いて、なぜか呆れていた。
咲月 : あ〜...やぁぁ...?うぅぅん...
咲月 : なんとなく...今ので察しちゃったかも...
○○ : へ?なにを?
咲月 : やー...?なんだろうね?なんだろー?
咲月 : ...彩ちゃん、ちょっと私と2人で話してみない?きっとその方が今の話せると思うし。
咲月は彩に向けて小声でそう話す。
彩 : ......
すると、彩は少しだけ嫌な顔を浮かべつつも
なんとコクリと頷いたのだった。って...
○○ : あ、え...じゃあ、俺は?
咲月 : んー!ちょっとどこかで待っててよ。
咲月 : とりあえず、私の彩ちゃんはどこか2人で話せるとこに行くからさ?
咲月 : それで話が終わったら○○に連絡する!
咲月 : 暗くなったら彩ちゃん1人帰せないし。
〇〇 : そ...そっか。わかった。
咲月 : うん!じゃあ行こ?彩ちゃん。
彩 : ......
咲月のその掛け声に彩は再び頷いて
咲月と彩の2人はどこかへと歩き始める。
俺はというと
2人の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
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