俺の知らない転校生 5
「ただいま」
『たっだいまー!!』
「...おい、ここはお前の家じゃねぇだろ。」
『えぇ〜?もうっ!このこの〜!』
「はぁ...」
結局、2人で俺の家に帰ってきてしまった。
"俺の"家。
【お兄ちゃん おかえり。】
「ん。彩、ただいま。」
妹の彩はいつも通り、俺を迎えてくれる。
【あれ?お兄ちゃんの隣にいる人...】
はず、だったのに......
【...あ!お兄ちゃんの学校で
1番可愛いって言われてる美空さんでしょ?】
『うんうん!そうそう!』
「...は?」
【こんばんは。
お兄ちゃんの妹の 小川 彩 です。】
『へへへっ!美空です!よろしくね!』
「...」
...どうやら
彩もおかしくなってしまっているらしい。
【...あれ?でも、どうして
お兄ちゃんと美空さんが一緒にいるの?】
『えぇ〜?ん〜...なんでだと思う!?』
そういうと
笑いながら、奴は凄い力で腕を組んでくる。
そしたら、彩もなにか察したようで...
【え、まさか お兄ちゃん...】
「...彩?その思ってること
多分、絶対違うから口に出さなくていいよ。」
【う、うん...わかった......】
でも、
それを言わせないように俺は彩を牽制した。
【...あ、お兄ちゃん
もうご飯できてるって、お母さんが。】
「そっか。じゃあ 着替えたらすぐ行く。」
【うん。それで...美空さんは?】
『うーんとー...
じゃあ!美空も着替えたらすぐ行くね!』
「はぁ!?
着替えるって...あぁ、もう いいや。だってさ。」
...
「いただきます。」
そんな言葉と共に始まる、うちの食卓。
その中に、異物が1人...
『んー!これ美味しいです!』
[あら!そう?美空ちゃん!]
[でも!まさか〇〇の学校の中で1番可愛い美空ちゃんが家に来てくれるなんてね〜!]
そして、例外なく
母親までもがおかしくなってしまっていた。
「はぁ...」
【...?
どうしてため息ついてるの?お兄ちゃん。】
「ん?あぁ...まぁ別に?なんとなく...」
「なんとなく 今日は疲れたなって思って...」
『えっ!?じゃあ 美空が癒してあげる!』
『はい!あーーん!』
そう言いながら、奴は箸に刺した肉じゃがを
悪びれもなく、笑顔でこちらに差し出してくる。
「......」
それで
「誰のせいだと思ってんだよ。マジで。」
心のどこかがプツンと切れた。
【お兄ちゃん?】
[どうしたの?〇〇あんた。]
「...悪い。俺もういいや。ごちそうさま。」
「足痛いし、さっさと風呂入って寝る。」
そうして、俺は言葉通り。
さっさと風呂入り、ベッドに入ったのだった。
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