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俺の知らない転校生 4



『じ〜っ...』



「......」



『じ〜っ...』



「......」



『じ〜』



「ついてくんな!」



『へん!やだね〜!』



「はぁ...だる...」

「てか、どこまで着いてくるつもりなんだよ。」



『えっ?そんなの...』

『〇〇のお家までに決まってるでしょ!』



「は...?」

「いや、いやいやいや......マジで無理。」

「さっさと自分の家に帰れよ。」



『んもぅー!』

『だからぁ〜!美空は宇宙人なんだってば!』



「はぁ...はいは...いっ!」



奴の隙を見て、勢いよく急に走り出す。

当然
こんな変なのを家まで来させないためだ。



『んなっ!ねぇ!ちょっと!』



「じゃあな!」



体力測定 上から数えた方が早い俺を舐めるな。

宇宙人だかなんだか知らんが
足で追いつけるなんて絶対に無理なはず......



「はぁ...はぁ......はぁ...はぁ...はぁ......」



そうして、走ること17分間。

家バレしないためにものすごく遠回りをしたが
やっとのことで家の近くに戻ってきた。

近くにあいつの姿はない。



「はぁ...」



これでやっと家に帰ることが出来る。

...と、そう思った瞬間。



『あぁー!!いた!!』



少し遠くから、声が聞こえてその方を見る。

すると、俺を指さしているあいつが
車線を挟んだ向こうの歩道に立っていた。



『もぅーー!逃げないでよ!』



そして、
普通に車道をドカドカと歩いてこっちへ来る。

そんな状況に、もはや恐怖を感じて
また逃げるために もう一度走ろうとしたら



「あ...バカ!危ねぇから こっちくんな!」



あいつが歩いてきてる車道に
トラックが走ってきてるのが見えて



『やだっ!絶対いくから!!』



「あぁっ、チッ...!くそが!」



あいつを助けるために
俺の方からあいつの方へ走ってしまっていた。



ドンっ!



走りの勢いのまま、あいつを突き飛ばす。

でも、ただ突き飛ばしたら怪我するだろうから
不本意ながら 突き飛ばすと同時に抱きしめる。


そうして、間一髪のところで
なんとか トラックを避けることに成功した。



《バカ野郎!死にてぇなら俺を巻き込むな!》



トラックの走りざま
運転手から一瞬怒号が飛んできたけど。



「ははは...すいません......」


「って...おい、お前さ?危ないだろ。」

「轢かれたらどうするつもりだったんだよ。」



『......』



「...?おい、おーい?」



『...ふぇっ!?な、なに!?』



「あ?だから...
轢かれたらどうするつもりだったんだって。」



『ど、どうするって...そんな......!』

『うぅ...ち、ちょっと...!顔近いよ!もう...!』



「...?どっか頭でも打った?」

「ま、いいや。
これに懲りて、もう俺に付きまとうなよ。」



いつまでも車道にいるのもヤバいし
俺はさっさと家に帰るために立ち上がる。



「っ...!」



すると、
立った瞬間、足の方に鈍い痛みが走った。

多分、突き飛ばした時に足を捻ったんだろう。



「はぁ...」



今日は何からなにまで不幸続きな気がする。
そして、それは何もかも全部



『...///』



こいつのせいだ。



「じゃあな。」



だから、さっさとこいつから離れようと
痛めた足を少し引きずりながら帰ろうとした

その時



『ちょっ!ちょっと待って!』

『足っ!怪我してるじゃん!』

『もしかしてその足の怪我って美空のせい?』



そう呼び止められた。



「あ?あぁ...そうだけど?」

「でも...ま、気にすんなよ。大したことないし。」



『だ、ダメだよ!ちゃんと手当てしなきゃ!』

『だから...ねっ!?』

『美空を〇〇の家まで連れてって?』

『美空がちゃっんと手当てしてあげるから!』



「......」

「...もういい、好きにしてくれ。」



この足じゃ、今日はもう走ることも難しい。

けど...たとえ、どれだけ止めたとしても
こいつは絶対俺についてくるだろう。


だから、諦めて俺はいつもの帰路についた。


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