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#1【雑記・因数分解】

 宮崎駿監督作品「紅の豚」の主人公はポルコ・ロッソという名であるが、私は最近までイタリア語で「赤い豚」を意味するとは知らなかった。それまではてっきり「ポルコ・ロッソ」という人物名の固有名詞として捉えていたのだ。因数分解できるとはつゆほども思わなかった。
 何にしてもそうではないだろうか。それをそうだとおもってそれ以上分解しないでそのままで飲み込もうとする姿勢は情報を吸収する者として如何なものか。特に現代の情報社会に生きる者として憂慮すべき点である。結果として飲み込むときに分解していないのだから吸収できないままそのまま排出して忘れてしまうのも頷けよう。
 他人がやっていることを自分から切り離し、さも特別な訓練や資格が必要だと思い込み明晰することすら怠るようになるようになっては進歩など望めない。他人から「すごいですね、それどうやってるんですか」と聞かれても当の本人からしたら何の特別なことではなく当たり前だと思っているといった話に共感できるのもそういうことだ。
 パスカルは「人間は考える葦だ」と言った。知恵の実を食べたにもかかわらず知的に考えることすら辞めてしまったのでは意味がない。与えられたものを原形のまま取り込んでいたのでは、コンピューターと同じである。いや時間がたてば劣化するという点ではコンピューターにすら劣るだろう。AIやChatGPTの「コンピューターの人間化」以前に「人間のコンピューター化」に目を向けるべきではないだろうか。

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