療育園のでかいエピ

長男の通う療育園には、小エビが10匹ほど暮らす水槽がある。
もともとは、メダカと同棲していたが、エビが同居魚を食い尽くしたらしい。メダカがいなくなった後、園の人たちの飼育意欲が減ったのか、最近の水槽は緑がかっている。

全体のエビの数も最初に見た時から、かなり増えていて、大家族はいつも水草の周りをポンプの近くで忙しなく泳いでいる。
最古参のエビは、他の個体の2倍大きい。体の色も濃く、フライにすると美味しそう。

この一番でかいエビ、多分いつもエビ一倍飢えている。
体がでかいからエネルギーもより消費するだろうし、小エビ用の餌だけでは空腹が満たされなさそう。
そしてこの大エビは、多分他のエビを食べたことがあるようで、小エビの集まる場所を目掛けて泳ぎ回っている。
小エビはこいつが近付くと一目散に逃げる。目が合った瞬間に狭い狭い水槽の対角に逃げる。
そんな攻防を眺めている。デカけりゃ良いとか群れれば良いとか、水槽の中の営みでも答えがあるんだろうか。
右に倣えない、集団にいると悪目立ちする子どもを、どうするために自分はここにいるのか。基準とは、幸せとは、定型とは。

誰よりもデカくなって孤独になった大エビは、小エビよりものろのろ泳いでいる。

22.12.03

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