見出し画像

日本語で遊べる中国語インディーゲーム

『饿殍:明末千里行』のデモ版2.0が公開されたのを記念して、日本語に対応している中国語のインディーゲームを取りあげてみました。ノベル/ADVを中心に後半には他ジャンルも加えています。


近日登場(NVL/ADV)

饿殍:明末千里行(飢えた子羊)
飢饉と戦乱で荒廃する明朝末期を舞台にした時代物ノベル。悪行を自覚する盗賊の男と人売りに売られる少女、二人の微妙な関係が歴史の暗い部分を背景にして描かれる。渋くまとめられたグラフィックと清濁併せ呑むふたりの生きざまが魅力。零创游戏は前作に『葬花:暗黑桃花源』と『二分之一』がある。
また、パブリッシャーの2P Gamesは後述する『亿数追忆』『井域:喀洛之血』も担当しているほか、『昭和米国物語』も控えていて日本語化に積極的。

电器街的咖啡店(電気街の喫茶店)
日本橋のメイドカフェをこだわりのドット絵で描くアドベンチャー/シミュレーションゲーム。4人のヒロインとともにメイド喫茶を経営し、時間が空いたら実在の企業看板がならぶ街中を散策しよう。小ネタがたくさん詰め込まれた画面は見ているだけでも楽しく、ガチャガチャのコレクションなどもできるようだ。上海でゲームバーを経営しつつ本作の開発を進めているという冒険者酒館については以下の記事が詳しい。

巴别塔
パルティアやシュメールといった中東の歴史と旧約聖書をモチーフにSFディストピアを描く異色のビジュアルノベル + カードRPG。新バベルタワーに君臨する教団「バイソス」をめぐり、5つの視点からカードバトルも交えて謎に迫っていく。開発はNino Gamesと枫丹白露で、前作『花都之恋』と新作『魔女酒馆』のいずれも日本語に対応。

亿数追忆(億のおく)
独特の画風とこだわりのシステムが光るOrca Layout の新作ノベル。主人公吕璇はある夜手のひらに黒い穴が開き、一夜にして1億という巨額の富を手に入れた。時を同じくして現れた怪物。その日から彼女の生活は変わり始める。自由度の高い物語進行と選択次第で増減する資産が他にない体験を生み出す。Orca Layout の前作は『回溯依存』。

井域:喀洛之血(The World Well: Blood of Caro)
魔法と吸血鬼、未来の技術が混在する世界を舞台にしたビジュアルノベル。主人公の肆は吸血鬼の「血袋」として生きてきた。後に救い出されるも吸血鬼の報復を受け、彼女は復讐の道を歩む。しかしそこに飛行船が墜落し、機械の体をもつ少女・诺玛と出会った。ファンタジーとSFがまじりあう独特の世界はいまだ謎が多い。開発は拔丝柠檬制作组。

月白星斗
幽霊を視るという特殊な力を持つ主人公・杜容時はある日幽霊の少女と出会う。友達になりたいという彼女と遭遇してからというもの、彼のまわりでは不思議な出来事が起きはじめた。淡い色彩のイラストがかわいらしい玖石社のビジュアルノベルで、ファッションがおしゃれ。キャラになじんだ背景もさりげなく洗練されているのが見てとれる。

厌山夜话(厭山夜話)(日本語対応予定?)
中国の伝統を背景にして都市伝説の恐怖を描くデッキ構築+アドベンチャーゲーム。ごく普通の会社員・杭世麒がある出来事をきっかけにして、怪異がはびこる筒子楼に閉じ込められてしまう。個性的なキャラたちによるサスペンス、世俗的な恐怖を描いた恐ろしくも美しいアート、独自システムで緊張感のあるカード戦闘など見どころが多くここには書ききれない。4Gamer の記事によれば日本語対応の予定があるようだ。

多洛可小镇(Doloc Town)
カラフルなピクセルアートの世界を探索するアドベンチャーゲーム。セミオープンワールドの荒野を自由に探索することができ、素材を集めて機械を製造するシミュレーション要素やロボットと戦うアクションシューティングな側面もある。荒廃パンクな世界観やそこに住む住人たち、音楽までもひっくるめてとにかくカワイイ一作。開発・販売は虹视游戏工作室。

薄暮夏梦(シャンハイ サマー)
サイドビューで上海をノスタルジックに描く青春アドベンチャー。屠百川はある日突然とてもリアルな、それでいて見覚えのない記憶が見えるようになる。全てのはじまりは以前付き合っていた彼女、李秋雨からの誘いの一言だった。青春の空気感とサイドビューがうまくマッチした雰囲気ある作品。
開発はFUTU Studioで2月8日発売予定。

OPUS:写心吾山
心に残る物語が絶大な支持を得たアドベンチャー、OPUSシリーズ4作目。主人公は幻の世界に迷いこみ、写真を撮ることで現実世界に戻る手掛かりを探っていく。鮮やかな青空と夕日のような色彩が印象的。開発・販売はSIGONO。

The Star Named EOS
360度見渡せるパノラマで写真を撮影して、失踪した母を探すパズルアドベンチャー。柔らかに描かれた手描き調の世界にはさりげなくパズルが仕込まれていて、これを解くと手掛かりが集まっていく。そして写真家の母とおなじように写真を撮ると、懐かしい思い出がよみがえってくる。開発は『傾聽畫語:最美好的景色』で知られた曙光工作室。


好評発売中(NVL/ADV)

梦灯花(Noctuary)
おとぎ話の世界を舞台にしたダブルヒロインのノベル + アクションRPG。「遊園士」のふたりは魔物の脅威を退けることができるのか?『海沙风云』の异美工作室が手がける新作で、透明感あるデザインやキャラとの親交で鮮やかに変化する強化システムなど色んな要素が高い水準でまとめられている。

WILL:美好世界(WILL: A Wonderful World)
神様の少女となって運命を変えていく群像劇ビジュアルノベル。少女は救いを求める人々から手紙を受け取り、その文章を入れ替えることで運命を変えていく。中国ノベルが日本で広く知られるようになった最初の例。作者王妙一さんはドキュメンタリー映画『独行』でも取り上げられた。

三色绘恋(Tricolour Lovestory)( PS4版のみ日本語対応)
中国ノベル最高峰と言われるYAMAYURI GAMESの代表作。厳しい家庭で育った主人公・邱诚と幼馴染の墨小菊、孤高の天才・文芷が織りなす芸術科の物語。英語もあるがローカライズの質はあまり良くなく、少し高くなるがPS4版なら日本語で遊ぶことができる。

Fox Hime Zero
『Fox Hime』の続編でこちらは日本語に対応。Live2Dで動く狐娘たちと過ごすひと夏の物語。3時間ほどの短編だが破格の値段もあって非常に人気。日本語ボイスときれいなCGを素直に堪能できる。AsicxArt作品は全て日本語に対応しており、最新作は『Vampires' Melody 2』。

妄想症:Deliver Me(Paranoia: Deliver Me)
bilibiliでVocalid曲の作詞を手掛ける雨狸さんによる小説『妄想症Paranoia』をゲーム化。音楽学校に通う少女泠珞の現実が少しずつ形を変えていく。翻訳はやや難ありだが結構な分量のある大作サスペンスで、内面に踏み込んだシナリオはジャンルすらも超えていく。

山桂贰(Shan Gui II: Sweet Osmanthus II)(有志日本語化MODあり)
『山桂』『百曲』から続く洋红工房の一作。山桂贰には無料のDLCがあり、これには初代山桂も含まれている。洋红工房が拠点を置く南京の景色が鮮やかな色彩で描かれる。コマ割りと吹き出しで漫画風に表現された演出も独特。2019CNGAL游戏大赏最佳演出(Best Performance)受賞。

泡沫冬景 (Christmas Tina)
日本のねこねこソフト関連クリエイターと中国のNekodayによる日中合作ノベル。バブルに浮かれる原宿を舞台に日本人の少女と中国人の青年の出会いを描く物語で、片岡ともさんによる落ち着いた、それでいてしっかり読者を引き込む物語が堪能できる。リズムゲーム『Muse Dash』とのコラボもあり。2020CNGAL游戏大赏最佳CNGAL(Best Galgame 2020)受賞。
日中合作ノベルとしては中文ADV界隈では有名なLoveStoryProjectとねこねこソフトの共作『神之国的魔法使』もある。また、Nekodayには新作『中阴』があるほか、『新宿葬命』の開発にも関わっている。

湖心亭奇談集(Peculiar Tales of Mid-Lake Pavilion)
『端木斐异闻录』『距离男主自杀还剩七天』の致意さん(作)陽炎さん(訳)で贈る少し不思議な短編集。電車の中で再会した少女や迫り来る天井に押し潰されそうな男など、穏やかな話からサスペンスまでバラエティ豊かなシナリオが楽しめる。視点から文体、演出までも異なるこだわりの作り。古都蘇州の情景が見事に描かれているのもポイント。最新作は『人魔』。

与神相伴的末日(Last Days)
新カナンの地を舞台にした、神様の女の子と神様になる女の子の物語。神託を受ける能力ゆえに疎まれることも多い银雪。それでも優しい神父とともに穏やかに暮らしていた彼女だったが、平穏な日常は神様を自称する少女との出会いによって変わり始める。西洋文化をベースにSFを加えた世界観がユニークで、二人の少女の関係は百合的にもおいしい。百合物語を綴りつづける
琉璃花糖制作组の最新作は『要来点百合吗』。

潮汐少女:现象
ジャンルをノベルとするか微妙なところで、既存の型にははまらないゲーム。シルエットとタイポグラフィを用いた印象的なカットの連続で構成されていて、生々しいうわさや巨大企業のスキャンダルに揺れる近未来が不安定な主人公の目を通して描かれる。斬新な映像作品であり、内面を掘り下げた青春ドラマとしても面白い個性派作品。

山海旅人(ザ・リワインダー~黄泉からの旅人~)
中国の神話・伝承世界を水墨画風のドット絵で描いたポイントアンドクリックアドベンチャー。時間を巻き戻す者「リワインダー」として怪異事件を調査する。中国文化に基づく幽玄な世界と音楽は特筆もの。程よい難易度の謎解きがゲームとして遊びやすく、村人一人ひとりにいたるまで生き生きしたセリフが人々の息遣いを感じさせてくれる。物語も起伏に富む良作。云山小雨工作室の最新作は『双盲把戏』。

风来之国(Eastward)
細かく描き込まれた温かなドット絵が話題をさらったアドベンチャーゲーム。ゆっくりと崩壊にむかう世界でジョンと珊の大冒険がはじまる。アートと音楽の評価が非常に高く、世界観に浸りたい人にはうってつけの作品。先ごろ追加DLC「よみがえれ!カモメ町」がリリースされたのも記憶に新しい。

巴别号漫游指南(バベル号ガイドブック)
バタフライ・エフェクトをテーマにしたアドベンチャーゲーム。舞台となるのは転生する人々から記憶を抽出し来世に送り込む船、バベル号。不思議な船を探索して人々の話を聞き、過去を改変することで結果を変えてあげよう。手書きのイラストが魅力的な本作の裏話は游研社、4Gamerにて語られている。開発はStarryStarry。

关于我被小学女生绑架这件事(Kid,napper: Gosh, I'm Kidnapped by a Pupil)
いわば「小学生の女の子に誘拐された件について」。ロリコンを自負する主人公が夏休みの教室でふんじばられるという、なかなかにインパクトのあるビジュアルノベル。ドタバタコメディとして面白いのはもちろんだが、それだけでは終わらない……?『夏空的蒲公英』の猫薄荷制作组による良作短編で、機械翻訳の日本語が仮実装されている。

永冻之壳(永凍の殻)(ふりーむに日本語版およびSteam版用modあり)
過去の記憶を失っている少女・シルヴィアがある出来事をきっかけに、その真実へと近づいていくツクール製の謎解き短編アドベンチャー。キャラのイラストやマップなどのグラフィックが丁寧に作られていて、周囲を調べると随所でリアクションを返してくれるのがうれしい。繊細な物語や手がかりを組み合わせるシステムなど、30分~1時間ほどの中に作り手の愛情がたっぷり詰まっている。
作者の雅弥さんはSteamニュースにて現状を報告し、可爱因子工作室の新作『幻现的花海』に美術で参加したこと、家族との対話を経て美術系の院生として趣味のゲーム制作も続けていくことなどを伝えている。とても好きな作品だっただけに、近況が聞けてとてもうれしい。

第七号列车(七号列車)(ふりーむに日本語版あり)
旅の列車で偶然ある少女と居合わせた「私」は、しばらくの間彼女と話をすることにした。ツクールで作られた短編ノベルで、基本的にはテキストを読んでいくつくり。作中でカギとなる部分では、彼女との手探りの会話が印象的なシステムで表現される。イラストから想像されるとおりの優しく淡い物語。作者は水野的四叶草さん、翻訳は悲しき魚さんによる。
パブリッシャーの梦结界工作室は中国の優れたツクールゲームをパブリッシングしているほか、自身『异化之恶』などを開発したデベロッパーでもある。

東津萌米
穂姫と一緒にお米を育てる育成SLG。シミュレーションとしてはシンプルだがイベントが多く、ノベルゲームのようなプレイ感。穂姫と毎日顔をあわせてこつこつお米を育てていると愛着が湧いてくる。音楽は音ゲーでおなじみの3R2さんが担当。本作は台湾の屏東県東港鎮のお米を擬人化したメディアミックスプロジェクト「東津萌米 穂姫」のうちの一つで、希萌創意(Simon Creative)とNarrator/Storiaのタッグは食用系少女へと続いていく。

苗栗國的石虎少女(苗栗国のヤママヤ―少女)
20XX年の台湾は全ての県が独立して大混乱。主人公も苗栗国へ帰ることにしたが、その途中で石虎の少女と出会った。石虎は台湾に生息し絶滅が危惧されているベンガルヤマネコの一種。本作の売上の一部は石虎の保護活動に寄付される。台湾の食べ物や名所などの文化、そして社会・政治的な側面を含むのが特徴。続編に『台中國的帝雉少女』があるほか、艾蘿塔斯工作室の最新作『末路旅行 ~ 高雄編 ~』は日本語対応で発売したばかり。


近日登場(その他)

剣魂
和風世界観の2Dアニメ剣劇アクション。日本刀の激しいコンボが特徴で、素早い連撃や秘伝技、ボスの処刑(とどめの一撃)などいずれもメリハリのついた動きが気持ちいい。PVはすでに日本語ボイスがついていて、デフォルメされた背景がかわいくも美しい。開発・販売はChidori Studio。

掃地武術(Iron Corbo: Kung Fu Janitor)
圧巻のコミック風アートでオリジナルのカンフーコンボを繰り出すアクションアドベンチャー。文明崩壊後の雑然とした(でも魅力的な)世界を用務員の主人公がお掃除していく。自由な進行やカスタマイズできるコンボもさることながら、このアート世界を一人で作り上げたという事実に驚愕せざるを得ない。

Cato
バター猫のパラドックスをかわいいゲームに仕立てたアクションパズル。猫とトーストをそれぞれ操作し、猫+バター+トーストを実現することで反重力・回転状態となり浮遊しながらゴールを目指す。原作はItch.ioにて公開されていて、RTA in Japan Summer 2022でもプレイが披露された

时间切片(時の切片)
時間を操る能力を駆使して謎を解くアクションパズル・アドベンチャー。キャラクターのアニメーションや水彩調のイラストが素晴らしく、透明感のある世界は唯一無二。パズルとしては時間の魔法がテーマになっていて、ギミックの状況を記録し、別の場所に移動してから解放すると自分の位置はそのままにギミックの状態だけを復元することができる。パズルの難易度はそこまで高くないので、かわいいキャラクターイラストや季節をテーマにした物語をじっくりと味わえる。

叛逆神魂(ゴッドソウル~覚醒反逆の魂~)
華麗なビジュアルとポップなUIが魅力の「神話獣耳+学園異聞RPG」。技術が高度に発達しながらも自由を奪われた未来都市で、主人公の小神が真実を求めて仲間たちと立ち上がる。反逆というキーワードやUIからペルソナ5の影響がうかがえる。圧巻のビジュアルはよく動き、イラストレーションの力をこれでもかと見せつけてくれる。開発・販売はU-Secret Studio。

逆向坍塌:面包房行动(逆コーラップス:パン屋作戦)
『ドールズフロントライン』で著名な散爆网络(サンボーン、MICAteam云母组)によるSRPG。2013年の同人作品『面包房少女』(パン屋少女)のリメイク作で、雪原を舞台に生き残りを賭けた作戦行動を描く。ミリタリー調のハードな世界観と美しいアートワーク、クールなUIデザインはさすがの一言。移動と攻撃はAPで管理されていて、APある限り複数回の攻撃も可能。地形により移動時の消費APや回避率が変化するこだわりのシステムが楽しい。

白键上的协奏曲(白鍵上のコンチェルト)
クラシックをテーマにリズムゲームとビジュアルノベルを組み合わせた「ミュージシャンシミュレーション」。音ゲーとしてはマウスの上下で鍵盤を移動する独特の遊びを採用していて、マウスで高さを調節し、ノーツがターゲットに重なったタイミングでキーを押す。この鍵盤移動が他にない面白さで、クラシック楽曲のアレンジもまた良い。他方ノベルパートもクオリティが高く、音楽学校で巻き起こる事件がプレイヤーを引きつける。譜面作成機能やキャラとの交流モードもあり、複数ジャンルが高い次元でまとまっている。

共鸣(ReMix)
ポップなデザインが際立つローグライト・リズムアクション。リズムに合わせて移動するCrypt of the NecroDancer にVampire Survivors のWave式一騎当千サバイバルをかけあわせたシステムで、回避に専念していれば大量の弾幕が自動で敵をやっつけてくれる。パワーアップにはステータスが上がるアイテムの他にミュージシャンの雇用もあり、新たなメンバーを加えるとキャラに応じた楽器のパートがBGMに加わる。さらにメインメニューではキャラとの交流もでき、メッセージアプリのような形式でショートストーリーを読むことができる。

星引擎 Party(アストラル☆パーティー)
ポップなデザインとコミカルな演出が魅力のすごろくパーティーゲーム。最大4人のマルチプレイで、コインを集めてスターを3つ集めれば勝利となる。自分のターンではカードやスキルを使うことができ、他プレイヤーを牽制するお邪魔プレイが熱い。また、他プレイヤーとすれ違うとダイスの出目によるバトルが発生。戦闘で相手のHPを0にすると大量のコインを巻き上げられる。本作は今のところ一部ランダムイベントの効果が強烈で、予想のつかない展開を楽しむパーティゲームとしての魅力が大きい。開発はSTAR ENGINE PROJECT。

九日(Nine Sols)
SF+道教=タオパンクを掲げる2Dアクションゲーム。発表当時話題になった東洋テイストはもちろん、コミック風のタッチも印象的。寡黙な主人公が得意とする戦術は「弾き」によるカウンターで、敵の動きを見極めて呪符を貼り、印を結んで強力な一撃を決める。デモ版ではダメージ大きめで立ち回りが重要という現代的な味つけに仕上がっていた。開発は『返校』『還願』で有名な赤燭遊戲。

炎姫
日本のアニメを表現したという和風・セルルックのビジュアルが目を引く3Dアクションゲーム。パブリッシングがPlayism なので知っている人も多いはず。スタイリッシュなアクションや立体空間での弾幕はPVを見れば魅力が一発で伝わる。炎姫や妖魔少女に代表される物語や印象的な背景も気になるところだ。

無盡愛麗絲(エンドレスアリス)
フル3Dのフィールドで敵と戦うローグライトなスラッシュアクション。アクションRPGとして多様なアイテムやシナジーが用意されている。3Dで構築されたサイバー空間での派手なアクションにロマンを感じる野心作。響雨互動娛樂は弓使いのタワーディフェンス+アクション『靈能哨衛 : 無限』という新作も開発中のようだ。

亞路塔(Aeruta)
華麗なコンボで敵をやっつけ、手に入れた材料でパンを作って販売するアクションRPG + シミュレーションゲーム。かわいく描き込まれたドット絵はコミカルな展開とあわせて見ていて楽しい。シンプル操作で華麗なコンボが決まる戦闘は爽快なだけでなく歯ごたえも十分。また、経営パートは接客で忙しく立ち回るほかにレシピ開発や店舗の改装など、ダンジョン攻略と連動したシミュレーション要素が楽しめる。

人造機械之翼(Artificial Wings)
スチームパンクな世界観と竜に乗って空を駆けるレールシューティングが特徴的なアドベンチャー + 3Dシューティング。クジラ島に不時着した主人公が島の人々に出会い、ある諍いに巻き込まれていく。マウスひとつで遊べるシューティングはマルチロックが気持ちよく、集めた素材で人々を助けたり飛行船を修理したりできるようだ。開発は海苔遊戲工房。

紅眼露比(Rubinite)
ダークな世界観の生々しいドット絵が特徴的な、ボスラッシュ形式の2Dアクション。奪われた王国をとり戻すため、主人公の少女ルビーがたった一人で怪物に立ち向かう。過酷な戦闘の中で弱点を見抜き、致命の一撃を与えるのが彼女の生きる術。渋い色彩のドット絵やスキルの習得、禍々しい世界観とその中でも一息つける可愛らしいキャラクターが魅力。開発は杯狗遊戲。

奈米使徒計劃(ナノ使徒計画)
実験により生み出された少女・アニータが研究施設から脱出するため、巨大な機械兵器たちとの過酷な戦いに身を投じるトップビューの2Dアクションゲーム。ハイテンポなボスラッシュは歯ごたえがありそうで、素早い回避やスキル習得などこの手のゲームが好きな人なら見逃せない。ドット絵のアニメーションも魅力のひとつ。開発は『棄海:波弟大冒險』で知られる光穹遊戲。

百劍討妖傳綺譚(百剣討妖伝綺譚)
トップビューの3Dで和風世界観を描いたローグライクアクション。九尾狐率いる妖怪と忍者の少女・時雨の戦いを鮮やかなグラフィックで描き出す。かわいくデフォルメされたキャラクターがド派手なエフェクトできびきび立ち回るさまはなんとも痛快。3人の主人公はそれぞれに異なる物語と戦法があり、手にする武器には固有の能力がある。開発は7QUARK。

幽暗森林裡的糖果屋(暗い森中のキャンディハウス)
手描きのイラストやマップチップがとても可愛いダークメルヘン・謎解きアドベンチャー。「ヘンゼルとグレーテル」をモチーフにしたツクール製のRPGで、グリム童話らしくどことなく不穏な雰囲気。少女漫画のような繊細なイラストがゲーム全体を彩っている。

倒轉方舟(リバースアーク)
敵を取り囲めばボスすら一撃な「囲殺」システムを特徴とするシミュレーションゲーム。将棋と囲碁をモチーフにした盤上の遊戯で、個性的なユニットを育ててローグライトな戦場を戦っていく。SF調のデスゲームはノベルとしても気になるところで、白を基調とした硬質なデザインが独特の世界を形作っている。開発はPHOSEPO、前作に『湛藍牢籠』がある。

Vtuber大師
Vtuber志望の女の子とともに成長していくノベル + シミュレーションゲーム。3Dモデルのキャラクターが用いられていて、作中でもよく動く。テーマ設定やシステム、そして何よりタイトルからアイドルマスター(偶像大師)へのリスペクトを感じる。開発・販売はNinth Games。

Beautiful Mystic Survivors
成人向けの美少女版Vampire Survivors『Sexy Mystic Survivors』、その全年齢版。アーリーアクセスということでゲームバランスはまだ難ありだが、群がる敵を倒してパワーアップする楽しみはすでにできあがっている。きれいなイラストと日中両対応のボイスが魅力。

帶我去地下城吧!!(連れてって、ダンジョンへ!!)
100階層のダンジョンを踏破するデッキ構築型ローグライトRPG。元は成人向けで、新たにリリースされるのは全年齢版。ゲームシステムは清く正しくStS以来のサイドビュー戦闘で、2Dモーフィングでよく動くイラストが魅力。開発は風船花火。
パブリッシャーの芒果派對は成人向け作品を多数手がけていて、そのほとんどが日本語に対応している。

暴食的怪獸公主:惑星美食之旅(大食い怪獣姫:惑星のグルメ旅)
成人向け。『怠惰的怪獸公主不想工作』が絶大な支持を得た胖鸚鵡工作室の新作アドベンチャーゲーム。「元仲間」の裏切りにより指名手配犯として銀河をさすらう主人公は、巨大な怪獣―そして怪獣から変身した美少女―と奇妙な同棲生活をはじめる。イラストや音楽などのクオリティの高さはもちろん、前作で好評だったシミュレーション部分にも期待したい。

駭獸少女(KaiJu Girls)
成人向け。エッジの利いた漫画調のビジュアルが際立つRPG。事故で記憶を失った主人公は「駭獣師」となり、駭獣たちとともに記憶を探す旅に出る。ハードロックな音楽と迫力あるイラストが闘争本能を呼び覚ます。

魅魔少女
成人向け。G級研究員リオが施設で謎の少女と交流するノベル + シミュレーションゲーム。ペルソナを彷彿させるポップなUIときれいなイラストが魅力。ただし本作はSCP財団もので、その影には不穏なものが潜んでいる。
パブリッシャーの玩喵は日本語対応している成人向け作品が多く、Steamでは芒果派對とあわせて双璧を成している観がある。


好評発売中(その他)

Bright Memory: Infinite
個人開発でリッチな3DグラフィックのFPSを作り上げて世界を驚かせた初期の作品、そのリメイク版。剣による攻撃やジャストガードなど、FPSにアクションの要素を取り入れているのが特徴。ゲーム体験の中に美しい映像表現がぎゅぎゅっと詰め込まれている。

微光之镜(Glimmer in Mirror)
まるで絵本のようなデザインが印象的な探索系アクションシューティング。柔らかなタッチの背景と可愛らしいキャラクターが優しい世界を作り上げている。システムはショットを基本として、習得するスキルやパッシブスキルを持つ精霊などを好みに応じて選択できる。精霊は連れ歩いている間経験値がたまるので育てる楽しみも。

異界之上(Nigate Tale)
モンスター娘をフィーチャーしたトップダウンの3Dローグライクアクション。ローポリでまとめられたマップのデザインがこなれていて、主役であるところのモンスター娘もとにかく可愛いと評判。アーリーアクセスということでゲームバランスやプレイ時間に改善要望が集まっているが、Steamニュースによれば開発チームHermit Gamesは解散。現在は2P Gamesがその後を引き継いでいるようだ。昨年9月末にも大型アップデートが行われた。

铁骑少女(鉄騎の少女)
少女とメカのコンセプトが明快なトップダウンのアクションシューティング。インターバルで兵装の購入や施設拡張、みんな大好きアセンブリ(装備変更)などで準備を整えてミッションへと出撃。戦場では移動しつつマウスでエイムと左右武器の射撃、投擲武器の使用が可能。限られた資源の配分を考えつつ、我らが帝国を防衛しよう。硬派なBGMが格好良く、脳への負荷や■■などダークな要素も垣間見える。

人格解体(Depersonalization)
クトゥルフ神話とTRPGをテーマに不穏で気品あるダークファンタジーを生み出したドット絵のRPG。プレイヤーが自由にキャラを作るところから始まり、プレイ中の選択肢が豊富に用意されている。もちろんダイスロールも完備。クトゥルフ神話の世界を精緻なドット絵で堪能することができる。現在アーリーアクセス中。

Dyson Sphere Program
Factorio以来の工場自動化を宇宙規模で行う壮大なシミュレーションゲーム。ダイソン球はアメリカの宇宙物理学者フリーマン・ダイソンが提唱した理論で、惑星に林立する機械構造物によるSF的な景観が最大の魅力。現在有志による日本語化MODがあるほか、公式翻訳の予定もあるようだ。現在アーリーアクセス中。
パブリッシャーのGamera Gamesは後述する『火山的女儿』などの人気タイトルにも関わっていて、東京ゲームショウでもおなじみになりつつある。

火山的女儿(火山の娘)
剣と魔法、錬金術の国・火山国で一人娘を育てる育成シミュレーション。様々なキャラとの交流、色んな方向性の育て方とミニゲーム、さらには魔族との戦いを通して50以上のエンディングに至る。プレイの快適性と娘のかわいさで圧倒的好評を獲得。開発は养蛋人。

Chinese Parents
かの有名な高考を目標に我が子を育てるシミュレーションゲーム。ミニゲームを遊びながらステータスを上げていくシステムは基本通りで遊びやすく、そこに「メンツバトル」などの中国家庭の文化が垣間見えるのが本作ならではの特徴。

喵斯快跑(MuseDash)
ポップでコミカルなデザインとたった2レーンというシンプルさが特徴的なリズムゲーム。流れてくる敵(ノーツ)を叩き、障害物をよけるランゲームのような演出がおもしろい。システムはオーソドックスな音ゲーそのもので難易度も幅広く、リズムゲーム初心者にもおすすめできる。なによりアップデートのたびに追加されるアートワークの抜群のセンス、それに隙あらば炸裂するユーモアが人気の秘訣。

生命不是自动的(Life is not Auto)
タイミングよくボタンを押して生命を維持する異色のリズムゲーム。スペースキーをはさんだ7ボタンが胃や肺などの内臓に対応していて、リズムに合わせて対応したキーを押すことで健康な状態を維持できる。タイミングがずれると状態が悪化、臓器にちなんだ様々な死因でゲームオーバーとなる。なかなかブラックなネタだが絵柄はかわいく、そこはかとなくユーモラスなのがいいところ。ボタンを押した時の手ごたえの良さ、健康になる気持ち良さは本物だ。

我在疗养院送人上西天(私は療養所で人を天国へ送る)
血気盛んな患者たちを押して消滅させ、全員をヴァルハラへと送り届ける倉庫番風パズルゲーム。異なる陣営の患者を戦わせることで全消しを狙い、ついでに病院のベッドに空きをつくるというブラックユーモアきわまる一作。しかしながらデザインが非常にかわいく、ゆるい雰囲気がなんだか憎めない。

落叶城(Amber City~秋の都~)
フラットに描かれた未来都市と木々、それに音楽が繊細なパズルゲーム。ロボットが徘徊する廃墟を探索し、光のしかけを利用して先への道を開こう。アクションアドベンチャーの要領だがパズルは理詰めで解くことができ、静かな雰囲気でじっくりと考えることができる。クリエイターの個性が感じられる美しい作品。

小魔女諾貝塔(リトルウィッチノベタ)
「ロリダークソウル」の愛称がすっかり定着した3Dアクションシューティング。魔女の女の子・ノベタが魔法を駆使して古城を探索する。ジャンルにシューティングとあるように魔法による遠距離攻撃が主体になる。でもそれよりもノベタちゃんカワイイという点で人気があるのかもしれない。

TEVI
ウサ耳と弾幕が特徴的なメトロイドヴァニアで、『Rabi-Ribi』を手掛けたCreSpirit とGemaYue の新作。短剣と魔法のガントレットを切り替え、仲間の援護射撃も受けて素早いコンボを叩きこむ。キャラデザや豪華声優陣、そしてうさぎも見どころ。開発は酷思特文創, GemaYue, Ein Lee。

餐癮地城(ダンジョンマンチーズ)
倒した敵を料理にして力に変えるユニークな2Dアクション。料理や装備を選ぶことで自分好みに強化できる。しかしそれ以上に顔がのびたりするダークなユーモアが抜群のインパクト。ドット絵で描かれるダークな世界とシナリオもまた人気。開発はmaJAJa。

守夜人:長夜(Vigil: The Longest Night)
『Salt and Sanctuary』と『Castlevania』の影響を受けたというダークなメトロイドヴァニア。特に前者を彷彿させる妖しくも美しいデザインはラヴクラフトと台湾文化を融合させたものとのこと。華麗な剣さばきと鮮烈な血しぶきが夜の闇を彩る。

Dusk Diver 2 崑崙靈動
台湾の繁華街、西門町をゲーム中で再現した3DのアクションRPG。ポップなアニメ調のデザインで厄禍(わざわい)との戦いを描く。ゲームを遊びながら台北観光できる側面も。

打鬼(PAGUI)
1954年の台湾を舞台に史実や台湾文化を取り入れ、悪鬼羅刹との戦いを繰り広げる3Dアクション。モーションキャプチャーを用いた剣術が鮮やかで、法術も駆使する東洋幻想が写実的なグラフィックで描かれる。ジャンルホラーな見た目だが「東洋楽器×メタル音楽×電子音楽」を謳うサウンドもあってテンション高め。

Panty Party(內褲派對)
ネタっぽいのに意外と(?)ゲームとしてクオリティが高いと評判のパンツTPS。自キャラも敵もパンツそのもの。でもやっていることはTPSであり、それ自体楽しく遊べるうえにしっかり用意されたシナリオ、フルボイスという予想の斜め上をいく作り込み。賈船から発売されたNintendo Switch の特装版は日本でのみ販売されたため、台湾に日本語版が逆輸入される一幕もあったという。

廖添丁- 稀代兇賊の最期(添丁の伝説)
台湾の伝説的英雄・廖添丁の活躍を描いた2Dアクション。日本統治時代の台湾に実在し、後に創作の世界で義賊「鼠小僧」として知られるようになった人物がモデルになっている。漫画風のデザインときびきび動くカンフーアクションが魅力。

最後指令(ラストコマンド)
スネークゲームと弾幕シューティングを組み合わせたアクションゲーム。各種スキルを駆使しつつ、敵弾をかいくぐってアイテムを集める。ゲームはデジタルな世界で展開し、ドット絵にノイズ・グリッチ的な表現が加わっている。個性的な技を見せるボスやピクセルアートのキャラも見どころ。

鬥技場的阿利娜(Alina of the Arena)
闘技場の過酷な世界を戦い抜くカードゲーム + ローグライクRPG。マス目に区切られたフィールドで手札を切って攻撃などを行う。カードのシナジーに加えてノックバックや同士討ちなど、位置取りの要素もある戦略重視な内容。プレイヤーが活躍を見せるとドット絵で描かれたチップが投げ込まれるなど、ダークな世界観をさりげなく伝える演出が鮮やか。

台北大空襲
第二次世界大戦で実際にあった台湾への空襲を描いたアドベンチャーゲーム。記憶喪失の少女・清子が台湾犬のクロとともに戦火にさらされた台湾をさまよう。台湾人と日本人、どちらも簡単には善悪を峻別できない複雑な関係が描かれる。

LIGHT:黑色小貓與失憶少女(LIGHT:黒猫と記憶を失った少女)
『不思議の国のアリス』あるいは『LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-』のように巨大な世界からの脱出を目指すホラーアドベンチャー。プレイヤーは黒猫となり、謎を解いて少女を導いていく。ちぐはぐなスケール感やキャラクターの自然な動きが見ていて楽しい。

再见(じゃあ、また)
コマ割りのイラストとメッセージ風のテキストで構成されたインタラクティブフィクション。母親を写真でしか知らない少年は、ある夏休みに時空を超えた旅に出る。画面に干渉して進行するインタラクティブフィクションの手法を取り入れ、印象的な音楽を備えた物語。

Vtuber模擬器(Vtuber Simulator)
Vtuber文化を愛するクリエイターが個人で制作したシミュレーションゲーム。自分好みにキャラをカスタマイズし、ステータスを上げて生配信で人気を獲得しよう。用意されたパーツから細かく設定できるアバターがかわいい。Vtuber の人に遊んでほしい作品で、実際にプレイされてもいる。「巴哈姆特ACG創作大賽」で人気賞をかっさらったコンセプトが明快なゲーム。

Carto
イラストのようなデザインがかわいいパズルアドベンチャー。地図のかけらを自由に入れ替えることで実際のマップも変化する。出会った人の中に困っている人がいれば、この不思議な力を使って助けてあげよう。

蔓不生長(Antivine)
物語の面でも力の入った小さなパズルゲーム。カジュアルにデザインされた箱庭ステージでギミックを起動させ、時に別行動もしながら二人の主人公をゴールまで導く。成長して植物に変化することが当然とされる世界にあって、そのことに疑問を持った少年は少女と共に真実を探しに行く。イラストを使った幕間デモシーンにも注目。