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冷奴の基本〜豆腐は食べる20〜30分前に準備する〜

夏の夕方。すこし風が出てきて、幾分涼しくなってきたかな、という時期に食べる冷奴は格別。冷房のない時代は夏の涼味の一つとして、親しまれたのでしょう。冷奴はわりと難しい料理です。簡素なものほどおいしくつくるのは難しい。最大のポイントは〈温度〉にあります。

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冷奴には木綿豆腐でも絹ごし豆腐でもどちらの豆腐もあいます。しかし、今の時期はやっぱり絹ごし豆腐という感じでしょうか。

豆腐はメーカーによっても味が大きく異なります。今回はおとうふ工房いしかわの豆腐を使いました。オリゴ糖が入っているので、いわゆる豆臭さがうすいのが特徴。入手もしやすいですし、オススメです。

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4等分するとちょうどいい大きさになるかな、と思います。関西の方は冷奴は正方形でないと感じが出ない、とよく言いますが、味にはたいして違いなし。

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問題は温度です。

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豆腐のおいしさは大豆に含まれる脂質が関係しています。豆腐は低温の状態で流通していますが、冷蔵庫から出したてだと温度が低すぎて、旨みや甘みを感じにくいのです。

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この問題を解決するために豆腐をキッチンペーパーのうえにとりだし、常温で20分〜30分ほど置いて、温度を上げる必要があります。夕飯の支度をするのであればはじめに取り掛かる必要がある、ということです。

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薬味はなんでもいいのですが、そのあいだにネギでも刻みましょうか。

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半分に切ってから、、、

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できるだけ薄く小口に切っていきます。

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ここがポイントですが、水にしっかりと晒します。いわゆる「さらしネギ」という薬味です。豆腐は香りが弱いため、匂いの強い薬味をのせると持ち味が消えてしまうことがあります。ネギに余計なことをさせないために、ここで風味や辛味を弱くしておけば安心です。

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かける醤油にも注意が必要です。醤油の塩分濃度は17%と豆腐にはやや強すぎ。そこでなにかで割る必要があります。昆布だしがベストですが、酒で割るのが簡単。池波正太郎はエッセイのなかで冷奴は「生醤油へ、すこし酒をまぜた附醤油」で食べると書いています。ベストは煮切った酒ですが、大人が食べるのであればそのまま使っても意外と大丈夫。今回は醤油大さじ1/2と酒小さじ1をまぜたかけ醤油を準備しました。

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さて、室温で30分置いた豆腐の温度は16℃まで上がりました。豆腐によっても違うのですが16℃〜18℃のあいだが冷たさと豆腐のおいしさの妥協点

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器に盛って、さらしネギ、刻み海苔をのせました。わさびやおろし生姜なんかも定番です。

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かけ醤油はかけてから時間を置くと豆腐から水気を引き出してしまうので、食べる直前に少しずつかけながらいただきます。最近の冷奴は揚玉やらラー油やらオリーブオイルやら油脂分を足す傾向がありますが、それは豆腐を冷やしすぎているからかもしれません。もちろん、いろんなアレンジができますが、冷奴は結局わさび+塩か、こんな風に醤油で食べるのがおいしいと思います。飽きないおいしさ、という味ですね。

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