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フィットネス食から考えるおいしさとは

先日、自分が監修に関わっているドットミールのプロジェクトがMakuakeでリリースされました。

お話をいただくまで漠然として理解してなかったフィットネス食。高タンパク質・低糖質・低脂質が先方の要望で「化学調味料不使用不使用」「無添加」「素性のわかる素材」を使うというテーマがありました。オーダーのあったメニューは「サラダチキンとハンバーグ」でした。

まずはサラダチキンについての検討から。まずは市販されているサラダチキンを食べ比べました。結果としてサラダチキンには「ミンチした肉を整形したもの」と「若鶏むね肉タイプ」の2種類があることがわかりました。

おいしいのは後者なので、当然そちらを選択。そして、食べていくうちにわかると思いますがサラダチキンって「ハム・ソーセージ」の仲間なんですね。デキストリン、加工でんぷん、ポリリン酸ナトリウムで保水性を上げ、しっとりプリプリの食感を出している製品が多くありました。

これらの添加物が使えるなら簡単なのですが、問題はオーダーが無添加という点。さて、どうしようかな、、、と思いましたが、結局基本通りソミュール液(塩水)に漬ける方法を選びました。

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温度管理をしっかりして、いい鶏肉を使えばパサつくことはありません。アミノ酸系の調味料(酵母エキスとか)は加えようか、ちょい悩みましたが加えない方が汎用性が高いので省略。非常にナチュラルな味に仕上がっていると思います。サラダチキンは一般的に高塩分になりがちですが、従来品よりは塩も控えています。

フレーバーについてはハーブ&ガーリックは定番。もう一つははじめチョリソー味を提案したのですがボツになりまして、四川風麻辣に落ち着いた経緯があります。個人的にはこの麻辣味が一番おいしいと思っていますが、いわゆるサラダチキンなので食べるときのアレンジはいかようにもできるはず。

ちなみに味の素に代表される 調味料(アミノ酸やアミノ酸等)は食品添加物ですが、酵母エキスは食品に分類されるため無添加系の食品では高頻度で登場します。酵母エキスについての記事は別途書きます。

ハンバーグは非常に難しい。正直、味だけを考えるのであれば脂肪分をたっぷり使ったほうが美味しいでしょう。しかし、高タンパク、低脂肪を実現するためにはどうすればいいか。

鍵を握るのはやはり「うま味」でしょう。鶏むね肉のハンバーグにはマッシュルームやしいたけ、魚醤を混ぜてうま味を補強しています。うま味を増やすことで唾液の分泌を促し、パサつきを緩和させる狙いもあります。パン粉などの副素材を増やせばふんわり、やわらかいハンバーグにすることは可能なのですが、あえて噛みごたえのある仕上がりにしています。パン粉よりも肉の割合を増やしたほうがタンパク質の摂取目標を達成しやすいからというのもありますが、つなぎを減らしたほうが肉の味が濃く出ます。

ハンバーグ、脂肪分が少ないので、パサツキや硬さを感じる人もいるかもしれません。そういう場合は小さめに切って、よく噛んで食べてみてください。あるいは豚ヒレなどはトマトソースと一緒に食べれば気にならないはず。むしろ、肉本来の味を感じるはずです。現在主流のやわらかいハンバーグは脂肪のおいしさで成立していますが、このレシピは別の方向性を選択しました。こういうおいしさもあるのでは、と考えたからです。

この食品、どんな人に向いているのでしょうか。もちろんドットミールさんが想定している体作りに積極的な方ですが、個人的には高齢者にいいのではと思っています。同じ筋トレを行った場合、若い人よりも高齢者の方がよりタンパク質を多く必要とする報告もありますが、年を重ねるにつれて一度に食べる量が減るため、タンパク質が不足する場合があるからです。

日本人のタンパク質摂取量は足りている、という主張もあります。たしかにそうかもしれません。しかし、最近流行りの「一汁一菜」に代表される「白いご飯+具沢山の味噌汁」という献立はタンパク質が不足しがちなのも事実です。統計上の平均値を見ているだけでは、個人に必要な栄養素はわからないもの。この類の食品が他の食品と比べて優れているわけではないですが、自分に必要な栄養素を意識するきっかけになるのでは。


撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!