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ひじきの煮物は短時間で作るとおいしい

ひじきは海藻乾物の王様。栄養豊富で、冷蔵庫に入れておけば2〜3日は楽しめるので、エイヤと作っておくのがオススメ。昔はご飯がススム系の濃い味にすることが多かったですが、今はあっさりめに炊くのが主流です。

ひじきの煮物
長ひじき  16g (芽ひじきなら30g)
にんじん  65g(1/2本)
油揚げ   50g(1枚)
出汁または水 100cc
醤油     大さじ2
砂糖     大さじ2  塩 ひとつまみ

ひじきの煮物のレシピは基本的に分量が多めです。ひじき1パックの重さが基準になるから、ですね。ひじきには長ひじきと芽ひじきの2種類があるので買い物するときに迷いがちです。

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長ひじきは茎の部分、芽ひじきは名前の通り先端の芽や小枝の柔らかい部分です。煮物には歯応えがある長ひじき、和え物や炊き込みご飯、卵焼きなんかに混ぜるには芽ひじき……と言ったりしますが、結論はどちらでもOKです。

紛らわしいのは「生ひじき」として鮮魚コーナーで売られている海藻。あれはひじきで基本的には乾燥品(または塩蔵品)をお店で戻した状態なので基本的には同じものです。戻す手間が省けるという意味以上のものはないので、買う必要性は薄いでしょう。注意点は長ひじきと芽ひじきでもどし率が異なること。芽ひじきを水で戻すと8.5倍になりますが、長ひじきは4.5倍です。そのため分量を調整する必要があります。

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たっぷりの水にひじきを浸します。常温で30分置くとひじきが水を吸って膨らみます。

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30分経過した状態がこちら。完全に戻りました。ザルで水洗いします。たまに戻し汁でご飯を炊き込む、みたいな豪快なレシピがありますが、ひじきの戻し汁には磯っぽい匂いがあるので水洗いしてから使うのが懸命。

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長ひじきは長いので包丁で切ってから使うのが普通です。4等分する要領でざくざくと包丁を入れ最大の長さが4〜5cmくらいになるように切ります。もっと短くてもそれはそれでかまいません。

さて、このひじき。海苔や昆布と違って旨味成分はほとんどありません。そのため味を含ませる必要があります。長時間煮て、乾燥させるという工程を経ているので、スポンジ状になっているので味を含ませるには好都合。

しかし、味を含ませるために長時間煮ると歯応えが失われてしまう、という問題が生じます。スーパーの惣菜コーナーで売られているひじきの煮物の味です。海藻らしい歯応えがあったほうがおいしいので次の工程を踏みます。

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皿に広げた状態で600wの電子レンジに1分30秒かけて水分を飛ばすのです。これで味が含みやすくなりますし、加熱時間も短くなります。「そのまま煮ればいいじゃん」と思うかもしれませんが、それならスーパーで売っている惣菜を買ったほうが合理的なので、せっかく自分でつくるのであれば新しい味をつくりましょう。

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油揚げとにんじんは細切りにして中火で炒めます。油を入れる必要はなし。

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油揚げがくっついてきたら加熱終了。無理に剥がそうとするとボロボロになるので次の工程に移ります。

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ひじきを投入。

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出汁、醤油、砂糖、塩ひとつまみを入れて時々かき混ぜながら詰めていきます。水で煮る場合は半分を酒にする(酒50cc+水50cc)にするか、風味付けにごま油を小さじ1ほど加えるとコクがでます。今は醤油が美味しくなったので、水で煮ても充分おいしくつくれます。

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煮汁の煮詰め具合で味の濃さが決まります。加熱終了の目安は味見をして、好みの具合になるまで、です。通常の作り方だと最低10分〜15分は煮ますが、このレシピの場合の目安は3〜5分。しかし、鍋の口径や火加減によっても変わってくるので鍋底の状態と味を確認しつつ加熱します。

水分が少なくなるまで煮る料理を「炊き上げ」といいますが、きっちりと煮ることで保存期間は長くなります。一方、加熱時間が長くなるとヒジキの歯応えは失われるのでさきほどのレンジで水分を飛ばす工程が重要になってくるのです。

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ひじきは採ったばかりの状態だと非常に硬いうえに、エグミと苦味があるので長時間加熱してやわらかくしたのち、乾燥させるという面倒な工程を経た生まれる食品です。

栄養価が非常に高く、料理に使っても楽しい食材。オーストラリア、シドニーにある名店Tetsuya'sでは戻したひじきを酒、醤油、みりんで炊いたものを肉料理や魚料理のアクセントにしていましたが、黒い色の食品は貴重なので、ガストロノミー的な料理にも応用されていい食材です。ヒジキを3〜4分間茹でてからザルで冷まし、オリーブオイルやレモン、塩で和えてサラダにしてもいいですし、料理の幅は結構広いのですが、まずはこの基本の煮物から試してみてください。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!