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じゃがいもの〈梨もどき〉という料理

古い料理として知られるじゃがいもの梨もどき。聞いたことはあるものの作ったことはなかったので、試してみました。今日はペクチンの硬化について復習します。

じゃがいも 4個(180g)
三杯酢
酢 100cc
水 100cc
砂糖 大さじ2
薄口醤油 小さじ2
わさび酢醤油 おこのみで

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この梨もどきというのはものの本によれば昭和30年代頃からある料理とのことですが、だれが発明したかなどは謎。誰か詳しい方がいたら教えて下さい。食材の種類が少ない時期に考案されたものとは推測はできるのですが、、、。

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さておき、三杯酢をつくっておきましょう。三杯酢は二杯酢に砂糖かみりんをいれたもの。今回は酢を水で割ってますが、そのままでもOK。

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薄口醤油のほうが塩味が決まりやすいです。濃口を使う場合は量を控えて、代わりに塩で味を整えてもいいでしょう。

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じゃがいもは皮を剥き、マッチ棒くらいの大きさに切っておきます。この段階ではじゃがいもはしんなりしています。さて、この梨もどき。通常の作り方は沸騰した湯に数十秒火を通す、というもの。火の通し具合が難しいのですが、温度を管理すればもっと簡単です。

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水に10%の酢を入れ、火にかけます。80度になったら、、、

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じゃがいもを投入します。65度まで温度が下がりました。ここから三分間ほど加熱しましょう。弱火かけます。

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おおっと、73度になりました。火を止めます。

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二分経ったので味をみましょう。一本食べてみて、生っぽい味がしなければOK。写真からわかる通り、じゃがいもがシャキシャキになりました。これが梨もどきの名前の由来。通常の作り方でもじゃがいもの中心温度は50度〜80度の範囲内に収まり、加熱前よりも硬くなるのです。

どうして加熱によって柔らかくならず、逆に硬くなるのでしょうか? それはペクチンの硬化によるもの。50度〜70度の温度帯ではペクチンの硬化が進みます。そのため生よりも硬くなるのです。とはいえ70度以上になると徐々に澱粉の糊化による軟化が進みますので、時間をかけないのが肝要。しかし、生っぽいじゃがいもはおいしくありません。

そこで登場するのが酢です。酢を加えることにより、ペクチンの分解を遅らせることができます。ちなみに酢の濃度を30%まであげ、水のphを4に調整すると100度でかなり長い時間加熱してもシャキシャキになるそうです。試してないのですが、それも面白そうです。

ちなみにこの梨仕立て。大根やもやしなどでも同じように温度管理することで硬くしゃきしゃきした食感にすることができます。

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火が通ったじゃがいもをさきほどの三杯酢に漬け込み、冷まします。

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わさび酢醤油などをかけて、食べましょう。しゃきしゃきしたじゃがいもが新鮮です。桂剥きにして、麺状の千切りにし、デザートに仕立てたり、めんつゆを張る手もあります。古きを訪ね、新しきを知る。たまには昔の料理をつくってみるのもいいものです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!