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あさりとしじみのお吸い物

あさりの漁獲量は乱獲や他の生物との競争圧などの理由で二十年近く減り続けていまして、今では高級品になりつつあります。あさりだけでお吸い物にしたいところですが、やや頼りないのでしじみを組み合わせました。貝は違う種類をあわせると味が複雑になって美味しくなるのです。

あさりとしじみのお吸い物(2人前)
あさり 150g〜200g
しじみ 150g〜200g
水   500cc
昆布  適量

まずはあさりを食べるときの基本、砂抜きから。

塩分濃度3%の塩水をつくります。ようは海水の濃度。600ccの水に対して大さじ1の塩を入れればだいたい3%です。

貝が窒息しないようにあさりの頭が出るくらいまで塩水を注ぎます。バットかボウルにざるか網を敷いたほうが一度出した砂を吸い込まないので、具合がいいです。ただ、そんなに都合よく網やバットが家にはないですよね。それだったらなくても平気です。

あさりは砂のなかにいる生き物なので暗くしてあげるとよく活動します。2時間〜3時間くらい常温に置いてあげると砂が抜けますが、夏場は怖いので一晩冷蔵庫に入れておきます。それでも砂はちゃんと抜けますし、あさりが死ぬようなことはありません。

一晩経った状態がこちら。

ボウルのそこにはあさりが吐き出した砂がたくさん。この後、あさりを冷蔵庫で保存する場合はラップをかけるか濡れた新聞紙をかけるなどして乾燥しないようにしてください。潮干狩りでとってきたアサリはもっとたくさん砂を噛んでいるので、経験則状、常温で一晩くらい置くくらいでいいと思います。

続いてはしじみです。しじみは淡水〜汽水域で生きる貝なのであさりよりも塩分濃度を抑えます。

理想の塩分濃度は1%。600ccに対して小さじ1が目安です。生息している海域よりも高い塩分濃度にするのがポイント。真水でも砂は抜けるのですが、味も抜けてしまいます。

あさりと同様に窒息しないようにひたひたくらいの量にとどめます。あさりと同様に常温で2〜3時間か、冷蔵庫で一晩。

しじみからこんなに砂が出ます。ここまでが下処理です。

さて、あさりとしじみを炊いていきます。その前に真水で貝同士をこすりあわせるようにしてよく洗いましょう。

昆布水を注いで、火にかけます。貝だけだとやはり薄っぺらい味になるので、昆布の味で底辺を支えます。しかし、昆布はあまり強くしたくないので、煮出さずに、水に30分から1時間程度つけておくだけにしました。時間がない場合や忘れた時は昆布も一緒に火にかけて沸騰直前に取り出せばOKです。

中火にかけると泡がいっぱい出てできます。澄んだ仕上がりにしたければ取り除きますが、放っておくと濃厚な仕上がりになるのでこの辺は好みです。沸いてきたら弱火に落としましょう。

あさりが開いたものからとりだしていきます。これがあさりの身をやわらかく仕上げる秘訣。しじみはよく煮込んでもあまり硬くならないので、気にしなくても平気です。全部の貝が開いたら味見をして、塩加減を確認します。多分、なにも加えなくても大丈夫なはず。好みで塩をひとつまみ〜ふたつまみ加えてもいいでしょう。

器に注ぎます。

今回は青のりで留めました。葉山椒でもいいでしょうし、白髪ねぎ+黒胡椒というのも粋な感じがします。もしも、味が薄ければ貝の量を増やしましょう。自然の滋味を感じる仕上がりにしたいので、あまり味は足したくないもの。ここに醤油や味噌などを加えると別の料理になってしまいます。貝の味が素直にわかる料理です。お酒の後にどうぞ。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!