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電子レンジでゆで卵づくりは可能か?

ネイサンミアボルトは著書(moderinist cuisine at home)のなかで「電子レンジは最も過小評価されている調理器具」と述べていますが、全くの同感です。問題は使いこなすのが意外と難しい、という点。

その理由は加熱原理がコンロやオーブンといった伝導加熱とは異なるから。また、マイクロ波の波長に起因する加熱ムラも敬遠される原因となっています。もっとも、加熱ムラはラップをして、蒸らし加熱をすることで簡単に解決する問題ですし、水分が蒸発しやすいという特性も逆に活かすとビーフジャーキーやチップスなどに応用できます。

個人的に気に入っているのはレンジでつくるラタトゥイユ。

通常の作り方よりもヘルシー、かつ効率的につくることができます。さて、本日の議題はレンジでゆで卵をつくることは可能か? ということ。

卵をレンジにかけると爆発します。水蒸気の逃げ場がないからです。そのため、卵は電子レンジにかけてはいけない、と言われています。

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しかし、卵をアルミホイルで包み、水に沈めた状態でレンジでかけることでゆで卵をつくることができます。目安は500wで6分+予熱で2〜3分くらいですが、水の量によっても変わるのでこのあたりの数字は調整が必要です。これは電子レンジ研究の第一人者である文教大学の肥後先生が紹介している方法。

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写真のゆで卵は600wで3分+放置3分+3分加熱+3分放置の状態。むっちりした黄身がいい状態です。

アルミホイルは電子レンジにかけてはいけない、とされます。アルミホイルのシワの部分から電子が飛び出す=放電すると火花が出て、電子レンジが壊れたり、最悪の場合は火災の原因(ま、これは放電した火花が出る→庫内の汚れに引火する、みたいな複数の要因が絡んではじめて起きる現象ですので、=火事になるという指摘は短絡的か、と思いますけど)となったりします。

しかし、水分に浸かった状態であれば当然、放電現象は起こりません。むしろ、この場合はアルミホイルがマイクロ波を遮断するので、普通に茹でたのと同じ状態になるのです。ここで注意が必要なのは目視でお湯が沸騰していたとしていても、水温は意外と100℃に達してなかったりする場合があること。よく「電子レンジで加熱した食べ物はすぐに冷める」という誤解がありますが、これは充分に温まっていない(加熱ムラがある)ことから起きる現象です。冒頭で述べたように電子レンジの加熱は通常の伝導加熱とは異なるので、使いながら慣れる必要があります。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!