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食事の締めの香港風湯麺の作り方

香港風と言ってますが『なんちゃって』です。なにせ、鰹節と昆布の出汁がベースですから。中国料理店で食事の締めに出てくる小さな麺料理をイメージしています。

香港スタイルの麺は日本とは違い、キシキシっとした歯ごたえとのどごしの良さが特徴。ぼくの好物です。しかし、日本で食べられる店は少なく、入手が比較的簡単な乾麺を使うことになります。

細いストレート麺は自作の麺料理に最適。

鰹節と昆布の出汁
昆布   10g
鰹節   20g
水    1L

まずは出汁をとります。

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昆布を水に入れて、弱火にかけます。本当は2〜3時間程度、水につけておきますが、今回は水からスタート。下に泡が沸いてくるまで10分くらいはかかるはずです。ゆっくりと加熱することで味を充分に引き出します。こんな風に昆布が水を吸って戻っていれば成功です。

昆布は60℃1時間で旨味がよく抽出されることが知られていますが、大事なことはそれなりの時間をかけることです。出汁については今度、復習記事を書きます。今回は先に進みましょう。

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鍋底から泡が上がってきたら、鰹節を投入します。写真では昆布を取り出してますが、実際にはそのまま入れておいたほうが効率的です。そのまま静かに3分間、加熱。

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濾します。いわゆる普通の鰹節と昆布の出汁です。これがスープのベースになります。

湯麺のスープ
出汁   600cc
塩    3g〜4g
白だし  大さじ1

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二人前つくるので出汁600ccを使います。塩3gを投入。

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白だし大さじ1で旨味を補強します。甘みを加えたいのと味の素的な味があったほうがわかりやすいので、白だしを使いました。ラーメン屋さんが使うたれ(かえし)の代わりです。ケミカルな味が好きじゃない、という主義の方は塩を4.8gまで増やして、ちょっと濃いな、くらいに味をつけてください。

さて、ここで味見をするとなんとなく麺料理としては弱い感じがすると思います。そこで登場するのが『香味油』です。

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香味油
サラダ油 50cc
白ネギ      10g(みじんぎり)
にんにく 10g(みじんぎり)
しょうが 10g(みじんぎり)
干しエビ 10g(みじんぎり)

秘密の材料は干しエビ。これを加えることで味が三段階くらいレベルアップするので省略することはできません。白ネギの代わりにエシャロットがあれば使うと香りがよくなります。

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フライパンにすべての材料をいれて弱火で加熱します。

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時間をかけて香りを出していきます。野菜の水分があるので温度が上がりすぎることなく、いい感じになるはず。しっかりと加熱することが重要。目安は5分。


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これで香味油の出来上がり。焦げたらやり直しですが、ニンニク生姜は色づいていて欲しい。

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さて、香港麺の登場です。

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沸いた湯に乾燥麺を投入します。食事の締めなので一人前40gが目安。こちらの商品ですとひとかたまりです。

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この麺、茹で方にこつがありまして、最初はいじらないことです。焦ってほぐそうとせず強めの火加減で加熱します。強めの火加減で麺を踊らせるようにして茹でます。

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ほぐれてきてから箸で混ぜましょう。袋には茹で時間3分と書いてありますが、ぼくは4分茹でます。2分茹でがいい、という人もいるので一概には言えませんが、小麦粉系の食べ物はしっかりと糊化させてこそ味が出てくる……と思うのですが、どうでしょう。

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香味油を一人前につき器に大さじ1、入れます。

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熱々のスープが300cc。

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茹で上がった麺を加えます。これでスープの塩分濃度が整います。麺料理で一番むずかしいのは塩分調整です。というのも茹で上がった麺は水切りしたとしても、表面張力でたくさんの水を含んでいます。そこには毛管現象(毛細管現象)という作用が関係しています。水は細い隙間に入るので、細いストレート麺は水を含みやすいのです。そのためスープの塩分はやや強めにしておく必要があります。

水を含みやすいということはスープが絡みやすいとも言えます。よく「スープが絡む縮れ麺」という宣伝文句がありますが、こうした理屈から考えると結果は逆。スープを吸いやすいのは細いストレート麺です。

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パクチーをのせれば出来上がり。ラーメン屋さんのスープはゼラチン質を抽出することで濃度を出し、麺にのりやすくしています。今回のようなカツオと昆布の出汁は濃度がないのですが、細い香港麺であればスープを運んでくれるので問題なし。

あっさりした麺料理です。ラーメン的な料理の構造は「麺」+「スープ」+「油」です。スープを鶏ガラにして、油を鶏油にしたり、スープの部分をしじみ出汁にして、油の部分を山椒油に変えるなどそれぞれの部分を考え、構築していく必要があります。通常の料理は味を重ねていきますが──例えば肉じゃがの場合は肉と玉ねぎを炒めて、そこにじゃがいもと水分を加え、醤油で味付けみたいな──こうした料理は別々に使ったものを最後に組み合わせるので、作ってみて課題が生まれた時、なにが問題だったのかわかりづらいという難しさがあります。そのため最初は鰹節と昆布みたいなシンプルな麺料理からはじめたほうが構造がわかりやすく、習得しやすいと思います。いきなり「豚骨ラーメンをつくろう」とは思わないことですね。

もう少し味を出したいという場合は麺自体にえびの玉子が入った商品を使うとより香港っぽくなります。スーパーで売っている市販のワンタンを入れるとさらに完璧、という感じです。ま、ワンタンは手作りしてもいいんですけど、スーパーで売っているものを組み合わせるだけでもいつも料理で旅気分が味わえる、ということで。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!