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新刊「もっとおいしく作れたら」について

3/31日に新刊「もっとおいしく作れたら」が発売されます。

雑誌「クウネル」の連載『考える料理』からの抜粋とnote記事からのリライトで構成したエッセイです。リライトと言いつつも文章はほぼ書き下ろし。写真はた伊藤徹也さん(小さな写真は樋口が撮っています)編集はマガジンハウスの大島さんです。

どんな本か、というのはマガジンハウス編集部のnoteでも紹介してくれています。新書なので、買いやすく、読みやすい。皆様、ぜひよろしくお願いいたします。小説であれ、料理本であれ、エッセイであれ、本を作る時は理想というか、願いを込めます。それがタイトルになった「もっとおいしく作れたら」です。食材はもともとおいしいのですから、おいしいものを作るのは最低限必要なこと。僕らは外から命を取り入れることで生きているのですから、食材の生命を敬うためにもおいしい料理をつくりたい。そんな風に思います。

本の中からレシピと文章を一品だけご紹介。

カブの丸焼きのレシピ自体はこちらのnoteでも紹介しています。

『カブの丸焼き』

たいていの野菜はなかの水分と養分を保つために皮で覆われている。植物が長いあいだ育つほど皮は硬くなるので、季節で出始めの野菜は皮がやわらかく、終わりに近づくと硬くなってくる。皮を剥くべきか、という問いに対する答えは野菜によって異なる。例えば大根をやわらかく炊きたい、という場合は皮(とその下の繊維の束)を厚く剥く必要があるが、ニンジンなどはほとんど剥く必要がない。

野菜を丸焼きにする場合は皮をつけたままオーブンに入れる。皮は野菜の水分を保つためのものだから、そのまま焼けば特別ジューシーに仕上がる。カブは葉を落として、流水で洗う。茎の部分に土が噛んでいるので、竹串や爪楊枝で掃除するが、水につけておくと茎が開くので洗いやすいだろう。オーブンは250℃に予熱しておこう。

耐熱皿やオーブンに入るサイズのフライパンにカブを置いたら、オーブンに入れる。加熱時間は25分が目安。時間になったら取り出して、竹串などを刺してやわらかくなっていれば出来上がり。皮が黒焦げになっているかもしれないが、気にしない。半分にカットして、お皿に盛り付ける。焦げた皮はかんたんに剥けるし、そのまま食べてもおいしい。

焼けたカブはあちあち、とろとろ。すこしの有塩バターで味付けしたり、粒の大きい塩を振ってもいい。みそなんかをつけてもなかなかいける。野菜の火入れは結局水分を抜いていく(表面の焦げ)か、水分を保つ(中心のとろとろ)のどちらかだ。古典的な料理ではカブは煮るのが定番だが、焼いた方がおいしい。素材の味が生きる、という意味がわかるはず。


撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!