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アイスクリームメーカーいらずのアイスクリーム
アイスクリームを作るにはアイスクリームメーカーが必要です。アイスクリームメーカーには内蔵されたコンプレッサーで冷却するタイプと、あらかじめ冷やしていた冷凍容器で冷やす二つのタイプがあります。家庭用として普及しているのは後者。僕が子供の頃、家にはペンギンの絵が描かれた『どんびえ』というアイスクリームメーカーがあって、夏になると準備して色々とつくった記憶があります。
事前に冷やしておくタイプは冷凍庫で場所をとりますし、コンプレッサー式は高価で、場所もとります。一度か二度しか使わずに棚の肥やしになるのであれば、もっと手軽に作れないものか。
そんなことを考えていたところ、たまたま読んでいたハロルド・マギーさんの『Keys to Good Cooking』という本にブライニング(塩水)とジッパー付きの袋を使う方法が紹介されていたので、早速試してみました。
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まず、塩水を作ります。水1lに塩200gを溶かします。
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それぞれ500ccずつジップロックに移し(2袋つくる)、冷凍庫で一晩以上冷やしておきます。これが冷凍容器の代わりです。
次にアイスクリームベースをつくります。今回はこんな配合です。
さっぱり卵アイス カルバドス風味
卵黄 3個
グラニュー糖 60g
牛乳 250cc
生クリーム 50cc
カルバドス 大さじ1又はブランデー大さじ1
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アイスクリームの基本要素は五つ。氷の結晶、脂肪、砂糖、空気、その他の固形物です。レストランで食べるアイスクリームもスーパーで買ってくるものも要素は変わりません。
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アイスクリームベースを作ります。卵黄とグラニュー糖を混ぜて、溶かします。卵は氷の結晶をつくるのを妨げ、舌触りを滑らかにします。
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鍋で牛乳を温めて、周りがふつふついってきたら
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混ぜながらボウルに加えます。
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鍋に戻して弱火で温めます。今回は82℃まで温めました。卵黄がかたまる温度(72℃)よりもずっと高い温度なので、ここは議論が分かれるところ。温度が高いほど卵の風味が強くでてしまう(タンパク質が凝固するから)ので、イギリスのシェフ、ヘストン・ブルメンタールは65℃に留めることを提唱しています。ちなみにヘストン方式の場合は加熱が短い分、水分が多くなるので氷結晶ができやすくなるので、出来たてを食べることが肝心です。
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82℃になったので、クリームで温度を下げます。これで炒り卵になるのを防げます。
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今回はカルバドス風味なので洋酒を大さじ1加えました。バニラ風味にするならバニラエッセンスを加えます。
ジップロックに移して、冷蔵庫で充分に冷やしておきます。一晩、寝かせると濃度がついて香りも落ち着きます。ちなみにこの配合だと、脂肪分が少ないので懐かしのアイスクリン風の味です。
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バスタオルの上に冷凍庫で冷やした塩水を置きます。塩水の温度は-10℃~-14℃でした。ちなみにJIS規格で冷凍庫の温度は-16℃と定められており、塩分濃度20%の食塩水は理論上、凍らずに-16℃まで下がるか、と思ったのですが、そうはいきませんね。(参考、塩百科『塩水はマイナス20℃でも凍らない』)
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塩水の上にアイスクリームベースを置きます。
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塩水でサンドイッチします。
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もう一枚のバスタオルで覆います。冷却開始です。時々、マッサージするように上から軽く押して、10分間。
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あっという間にアイスクリームになりました。サンドイッチ方式は効率よく冷気が伝わるから短時間でできます。短時間で固まることで氷結晶も小さくなり、ジャリジャリしません。
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袋の端を切って……。
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食べる容器に絞ります。気持ちやわらかければ冷凍庫でさらに締めてもいいでしょう。
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出来上がり。
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こんな感じにちゃんとアイスクリームになっています。
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なかなか滑らかですよね? ところで、アイスクリームを作る実験は理科の定番ですが、その場合は塩を加えて温度を下げた氷で冷やすのが普通です。しかし、氷と塩の割合や、塩水がアイスクリームベースに入ってしまったりといった失敗も多い方法。この方法であれば失敗しません。
不凍液のジップロックは何度でも使えますし、なにかを凍らせる時にも便利です。ちょっとしたアイディアなのですが、面白いと思ったので記事にしてみました。
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