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謎野菜シリーズ『ポワローネギ』 ポワローとベーコンのエチュベの作り方

冷蔵庫にあったポワローネギ。ポワローは謎野菜と呼ぶにはメジャーですが、日本のネギとそもそも種類が違うことや下処理など意外と知られていないかもしれません。

ポワローは英語でリーキ、いわゆる日本のネギ(学名Allium fistulosum)とは種類が違い西洋ネギ(学名Allium ampeloprasum)に分類されます。

日本の下仁田ネギに似ていますが、もっと太くて、風味もマイルド。日本のネギと見分けるには緑の部分に注目してください。ここがV字型になっていればポワローで、筒状に葉が丸まっていれば日本のネギです。ポロネギは西洋料理であらゆるスープのベースとして使われますが、国産が少ないので、日本で西洋料理を作る場合、材料調達に苦労する野菜の一つです。

葉の部分に土が入っているので、まずは洗うところから作業をはじめます。

十文字に切り込みを入れ、流しで洗います。根を高くして、葉を低い位置にして水を流さないと土が流れていかないので注意。ロブションさんは著書のなかで「ぬるま湯に10分ひたす」と「さらにとれやすくなる」と書いていますが、徹底的に洗うのがまず基本です。

ポワローは「貧者のアスパラガス」とも呼ばれ、クタクタに茹でてドレッシングで食べる(ポワローヴィネグレット)という料理がポピュラー。一方、ポワローの風味はスープに使われるほど水に溶けやすいので、茹でると風味が流れてしまいます。そこで今日は蒸し煮にしていきましょう。元ネタはジョエル・ロブションさんの『Poireaux à la poitrine fumée』というレシピです

ポワローは1.5cm厚にカット。太い部分は半割〜1/4割くらいにしてください。200g用意しました。

ベーコンの風味がベストマッチなので、40g使います。ベーコンは細切りに。

サラダ油小さじ1をしいた蓋ができる煮込み鍋にベーコンを入れ、中火で加熱します。

1分〜1分30秒ほど炒めるとベーコンからパチパチと水分が飛び、香りが出てきます。

そこでポワローネギを投入。火を弱火に落とします。

ここで塩小さじ1/4を加えます。これは味付けの塩でもありますが、水分を出すための塩でもあります。ここが最大のポイント。全体をかき混ぜたら、蓋をします。

弱火で時々混ぜながら20分〜30分加熱します。加熱時間は結構長いです。本でも読みながら気長にやってください。火が強すぎると水分がなくなり焦げてしまうので弱火を心がけて。

10分経ったので混ぜてみました。ポワローネギから驚くほど水分が出ているのがわかります。

25分経過しました。このくらいでやめておきましょうか。これくらいしっかりと火を通すとネギから甘みが出てきます。ちなみにこの料理でロブションさんが指定している蒸し煮時間は「35分」です。(もちろんもっと分量が多いから可能なのですが)なので、もうちょっと加熱できる……かもしれません。

この分量で35分煮込むにはごく弱火の火加減が必要で、失敗すると鍋底に焦げができてしまいます。焦げ目がついても香ばしくておいしいのですが、この料理の場合はコンポテ状(とろとろになった)ポワローのやわらかい風味を引き出したいので、焦げるのは避けたいところ。焦げないギリギリを見極め、限界まで加熱できるか……で、この料理の成否が決まります。

出来上がり。付け合せにもいいですし、そのまま黒胡椒を振ればワインのアテになります。ベーコンの燻製香とポワローのとろっとした甘みが混ざったいい味です。魚料理の付け合せ兼ソースにする場合は生クリームで伸ばすと良さそうですね。

この料理はネギの風味が水溶性であることを考えると非常に理にかなっています。ポワローが入手できない場合はもちろん下仁田ネギなどでも代用できますが、その場合は玉ねぎを少し混ぜた方が再現度としては高くなるでしょう。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!