フェラン・アドリア風スペインオムレツの作り方
トルティージャはスペイン風オムレツ。ポテトと玉ねぎ(入れない派の人もいますが)が入ったスパニッシュオムレツはバルの定番メニューの一つで、どこのお店にも並んでいます。フランスやアメリカでは卵料理は朝食、という印象の料理ですが、スペインではおつまみやメインなど夜に食べる、というのがお国柄の違い。そして、貧しい時代、ジャガイモで卵の嵩増をして分け合って食べた庶民の知恵が詰まった料理です。
コツはただ一つ。ジャガイモと玉ねぎを茹でるのではなく、低温の油でコンフィにしてから使うこと。見た目の割に結構手間のかかるメニューなのですが、スペインを代表するシェフ、フェラン・アドリアのスタイルは簡単。ジャガイモのコンフィの代わりに市販のポテトチップスを使うのです。
スパニッシュオムレツ(4人前)
卵 6個
ポテトチップス 60g
オリーブオイル 大さじ1+1/2
オリジナルのレシピには良質なポテトチップスを使うこと、との指示がありますが、日本のポテトチップスは押し並べて高品質。どれを使っても上手にできると思いますが、オリジナルのレシピとの違いはポテトチップスの分量です。日本の卵はスペインのものよりも小さいらしく、調整する必要があります。
卵は泡立て器で表面が泡立つまでしっかりと溶きます。あまり溶くな派のシェフもいますが、しっかり溶くことで黄身と白身という別々の物質が混合されます。
ポテトチップスを投入。
ざっくりと混ぜて卵液に浸るようにして2〜3分間馴染ませます。この時間を置くことでポテトチップスが水分を吸い込み、しっとりします。ポテトチップスに塩が入っているので塩を入れる必要はなし。
フライパンを中火にかけて、オリーブオイルの半量を馴染ませたところに卵液を注ぎます。予熱したフライパン(卵液を少量入れるとじゅっとすぐに固まるくらい)に卵液を一気に注ぐのがコツです。熱いフライパンに卵液を入れると卵の水分が蒸発し、膨らみます。その状態で卵のたんぱく質が凝固するのでふっくら仕上がる、というわけ。
卵液が固まってくるので、ゴムベラを外側から内側に滑らせるようにして、全体に火を通していきます。
ある程度火が入ると、全体が固まってきます。こうなったら裏返すタイミング。
滑らすように皿に移してから、、、
フライパンを皿にかぶせて、皿をおさえながらひっくり返します。
残りのオリーブオイルをたらして、弱火で裏側を焼いていきます。
焼き上がり。
ポテトチップスを使っていますが、パリパリではなく、味はちゃんとジャガイモです。それも茹でたジャガイモではなく、揚げたジャガイモの味(当たり前だ)。これはこれで悪くないのですが、湖池屋の感激うす塩はやや揚げ色が強すぎる感もあり、もっと揚げ色の薄いポテトチップスのほうがこの料理にはあうように思います。
さて、フェラン・アドリアは市販品を使うことに寛容なシェフの一人ですが「ひと手間省くだけで同じ料理がずっと作りやすくなる。省略できるところはしていい」と語っています。ぼくも好きな合理的な考え方です。このレシピの唯一の弱点は玉ねぎが入っていないことでしょうか。ここに玉ねぎを入れるとすればレンジで加熱したスライスが入ると思いますが、そうなると「包丁を使わなくてもいい」というこのレシピの良さはなくなってしまいます。なかなか難しいところですが、ポテトチップスの種類によっても出来上がりの味が変わるので、のり塩なんかを使っても面白いかもしれません。
追記
こちらの動画では卵3個=2人前で作っています。小さめのフライパンで作ってください。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!