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プリン作り講座 〜座学編〜

定番のおやつ、プリン。作り方の前にまずは少し座学。プリンの味を決定するのは配合と加熱温度ですが、まずは配合について。

インターネットでプリンのレシピを検索すると全卵を使っているものと、卵黄、卵白をそれぞれ使っているもの、牛乳だけ、牛乳に生クリームを混ぜたものなど、様々な配合のプリンが出てきます。基本的に卵黄を多く配合するとやわらかめのまったりとした味に、 卵白が多いとかためのさっぱりとした味になります。 つまり昔風のプリンは全卵で、滑らかプリンは卵黄中心の配合というわけです。

牛乳の一部を生クリームに変えると濃厚になり、やわらかくなります。この時、注意しなくてはいけないのが、牛乳の一部を生クリームに変えると、同じ固さを出すために必要な卵の量は少なくなる、ということ。これは生クリームに含まれる水分が牛乳に比べて20~40%ほど少ないためです。砂糖の量を増やしてもやわらかくなり、減らすと固くなります。これは砂糖にタンパク質の凝固を遅らせる作用があるためです。

次に加熱温度について。加熱温度を決定する要素は大きく二つ。加熱方法とプリンの器です。まずは加熱方法については昔ながらの蒸し器をつかう方法と、オーブンで湯煎にする方法、どちらがいいのでしょうか?

おすすめは断然、オーブンによる湯煎です。その理由は温度管理が楽だから。 プリンを作るとき、蒸し器と湯煎でオーブンに入れて加熱したものを比較した実験があります。それによると6分経過の段階で強火の蒸し器では中心温度が20°C上昇したのに 対し、オーブンでは9°Cしか上がらなかった、とのこと。 ゆっくり加熱する、というのはプリン作りの鉄則の一つです。マギーキッチンサイエンス から引用すると

加熱温度は低い方が安全域は広い。つまりちょうどよく仕上がったと思っ
てから、硬くなってスが入ったりする前に、時間的な余裕がある、という
ことである。

というわけです。
「手元のレシピ本によると湯煎にかけて温度180°Cのオーブンに入れるように、とあ りました。だとするとカップから飛び出している部分は180°Cで加熱することにはな りませんか?」
こんな風に疑問に思ったことはありませんか? その答えを同じくマギーキッチンサイエン スから引用しましょう。

オーブンで焼くときには水を張っておくと、加熱を穏やかにすることがで きる。たとえばオーブンの庫内温度が180°Cだったとしても、水は100°C になると蒸発するだけでそれ以上の温度には上がらない。あまり知られて いないが水を入れる容器のふたのあるなしによって温度は20°C近くも変わる。水はオーブンの熱で温まると同時に、表面からの蒸発によって冷却さ れる。したがって、容器を通して水が加熱されるのと水面で失われる気化 熱とのバランスによって実際の水温が決まる。

マギーさんによると、水温は

鋳鉄製の容器に張った水は90°Cほど
ガラス製の容器では85°C前後
ステンレス製は80°C前後

とのこと。蓋をすると蒸発が妨げられ、気化熱が奪われるため蒸し器のなかと同じような 状態になり水温は100°Cになります。これではプリンにスが入ってしまうので、アルミホイルなどで蓋をするのは絶対にやめましょう。

さて、ここでのポイントをまとめます。

湯煎の水温は容器によって異なります。昔ながらのしっかりとしたプリンをつくりた い場合は鋳鉄製かガラス製の容器を、滑らかで軟らかいプリンを作りたい場合はステ ンレス製のバットを使うといいでしょう。

プリンの出来上がり中心温度は滑らかタイプ、硬めにも関わらずおおよそ85℃です。(スチコンで加熱する場合は85℃に設定して入れておけば失敗がない、ということ)つまり、どちらかというと湯煎の容器は鋳鉄よりもガラス製のほうがベターでしょうか。

次にプリンカップについて。さきほどは湯煎にかける容器の話をしましたが、プリンカップの材質によっても難易度は異なります。アルミ製のカップは熱伝導率がよいため、昔ながらの固めのプリンをつくるのに適していますが、すが入りやすい(加熱しすぎ)とも言えます。一方、陶器製のカップは穏やかに加熱することができ、滑らかで軟らかいプリンをつくるのに適しています。

まとめると硬めのプリンに向いているのは『湯煎容器はガラス製+アルミのプリンカップ』で、柔らかめのプリンに向いているのは『湯煎容器はステンレス製+陶器のプリン容器』ということです。次回は昔ながらのしっかりとした『昔プリン』の作り方をご紹介します。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)

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樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)料理本『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)など。