見出し画像

すき焼きスタイルの肉じゃが

肉じゃがのレシピは以前にもアップしていますが、今回はすき焼きスタイルの肉じゃがをご紹介します。

画像8

じゃがいも 400g
牛肉    200g(すき焼き用和牛切り落とし)
玉ねぎ 1個(8mm厚にスライス)
ごま油 小さじ1
A みりん 200cc
A 酒   100cc
A 醤油 50cc
青ネギ  1本

1 じゃがいもはよく洗い、皮目にぐるりと一周切り込みを入れ、水で濡らしたキッチンペーパーで包んだ後、ラップでくるみ、600wレンジで5分加熱する。(3分経ったら上下をひっくり返す)

画像1

ラップを外し、冷水につけて、表面の温度を下げたら、手で皮を剥く。(もしくはまるごと蒸し器で45分間蒸した後、同様に皮を剥く)2cm厚にスライスする。

画像2

2 フライパンにゴマ油を熱し、玉ねぎと牛肉1枚を入れて軽い焦げ目がつくまで加熱する。

画像3

3 フライパンにAを加えて沸かす。

画像5

4 アルコールが飛んだら牛肉とじゃがいもを入れる。

画像4

5 すき焼きの要領で牛肉に火を通したら、火が通り過ぎないようにじゃがいもの上に避難させる。そのまま中火で4〜5分加熱する。

画像6

6 煮詰まったら火を止めて、青ねぎの薄切りを加えて混ぜたら出来上がり。

画像7

肉じゃがの進化系、すき焼き肉じゃが

肉じゃがは不合理な料理です。普通の作り方は〈肉と玉ねぎ、じゃがいも、ニンジンを炒め、出汁、醤油、みりん、砂糖などを加えて、火が通る前で煮込む〉というもの。しかし、ジャガイモに火を通すには時間がかかるため、肉はパサパサになってしまいます。肉が貴重だった時代、少量の肉で味を出し、それをジャガイモに含ませることで満足感を出していたのでしょう。

肉じゃがを現代的に見直すのであれば、ジャガイモではなく肉を主役に据えてみたらどうか、というのがこちらの「すき焼きスタイル」です。「ジャガイモ」も「牛肉」も両方おいしく食べられる最高の肉じゃがを、と考えました。

肉には『黒毛和牛』を選びました。日本独特の品種である黒毛和牛は脂肪が細かいマーブル状に入っているのが特徴で、多少加熱しすぎてもやわらかく食べられます。脂肪が多すぎるので例えばステーキにしたりするとくどく感じられたりしますが、例えば『すき焼き』と『しゃぶしゃぶ』であれば気になりません。

ジャガイモについて考える

ジャガイモにはでんぷん質の多い『ホクホク系』と少ない『シャキリ系』の二種類の品種があります。例えば男爵やキタアカリといった品種は前者で、メークインなどは後者を代表する品種です。料理によって使い分けますが、肉じゃがにはホクホク系が向いています。

ジャガイモの品種にはホクホク系で、糖度の高いキタアカリを選びましたが、同じホクホク系である男爵でも同様に作ることができます。問題はジャガイモのばらつき。肉じゃがに向いているジャガイモはデンプンの割合が14%以上とされますが、ジャガイモは工業製品ではないので、同じ品種でもまれにそれを下回るものが混じっていることがあります。

画像9

そこでデンプンの量を見分けるために1Lの水に120gの食塩を溶かした食塩水を用意しました。この塩水にジャガイモを入れ、沈めばデンプンが14%以上、逆に浮かべば14%未満です。浮かんだジャガイモはシャキシャキ感を活かして炒め物にするとおいしく食べることができます。(これを塩水法といいます)

加熱方法の検討

トータルの加熱時間を短縮するためにジャガイモにはあらかじめ火を通しておく必要があります。じゃがいもの皮を包丁で剥くのは結構大変なのですが、丸ごと加熱することで皮が簡単に剥ける、というメリットも。

そこで『茹でる』『蒸す』『レンジ』の三種類で比較検討を行いました。

画像10

さて、結果ですが、茹でるパターンはジャガイモ風味が弱くなっていました。風味化合物の一部が水に溶けたのでしょう。

画像11

蒸したものが一番美味。しかし、茹でるのと同様に時間がかかりすぎるのが難点で、現代的とは言えません。

画像12

電子レンジ加熱は蒸した場合に比べると甘みにはかけますが、ホクホク感は十分に出ていますし、茹でるより風味も残っています。そこで今回は電子レンジ加熱での下処理を選択しました。心と時間に余裕があるのであれば蒸すのもオススメです。

画像14

いずれにしてもまるごと加熱してから皮を剥くと、可食部が多く残ります。ジャガイモの下処理さえできてしまえばあとの要領はすき焼きと一緒です。一枚目の牛肉は味出しのための犠牲になってもらい、残りの牛肉は加熱しすぎないように注意します。どうしても火が通り過ぎてしまうのであれば途中で取り出して避難されるのもアリです。

ところで、すき焼きや肉じゃがにはよくコンニャクが入っています。コンニャクを入れるとジャガイモの荷崩れを防ぐことができますが、僕はジャガイモが煮崩れたところに美味しさがあると思っているので入れていません。もちろん、「煮崩れているじゃがいもは嫌だ」という場合は入れるのもいいでしょう。ただ、肉じゃがのおいしさはジャガイモが煮崩れて、煮汁に濃度がついたところにある気もします。

画像14



撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!