発酵ラボ 第13回〈ロースト麹〉
麹研究の三回目です。
前回、麹は糖とアミノ酸を含んでいるという点に触れました。初回に引用したnomaの発酵ガイドという本にはローストした麦麹が紹介されていますが、メイラード反応が糖とアミノ酸による反応なので、理にかなっています。麦麹を自作するのはなかなか大変ですが、乾燥米麹を使えば「麹を焼くとどうなるか」は体験できるはず。
麹 100g
水 100g
生クリーム 100ml(35%乳脂肪)
牛乳 100ml
麹を焼く前に下準備です。
メイラード反応は水分10~15%、水分活性が0.6~0.8で起こりやすいので、乾燥麹に水を注いで、戻す必要があります。はじめから水分が少ない状態で加熱をはじめると炭化するだけなので、水分の多い状態からスタートし、温度を上げていくわけです。乾燥麹100gに水100gを加え、、、、
1時間ほど戻しました。できたてのような状態に戻りますね。
この麹を160℃のオーブンで40分加熱します。
外側から焦げてくるので、途中で何回かかき混ぜて、ムラをなくしてください。とはいってもそれなりにムラが残るとは思いますが、、、、。
40分焼くとこんな状態に。出来上がり重量目安125gです。香ばしい匂いが漂い、イメージとしてはコーヒー豆を焙煎している気分です。そのまま冷まします。
生クリーム(35%乳脂肪)を加えて、一晩置いてふたたび麹をやわらかくします。
麹がやわらかくなりました。
牛乳を加えてミキサーにかけます。なめらかになるのに少し時間がかかると思います。nomaの本では裏ごし器にかけていましたが、今回は省略。
こんな感じのペーストになりました。キャラメルっぽい香ばしい味わいで、煮込み料理のコク出しに使えそうです。nomaの本には茹でたじゃがいもと合わせた料理が紹介されています。
茹でたじゃがいもにローストした麹で和えた料理なのですが、なるほど塩気のないみそっぽい不思議な感じです。ロースト麹はみそと違って塩分がないのが特徴なので、デザートに使うのが自然かも、、、という気がしました。
牛乳200mlとロースト麹30g、黒砂糖10gをミキサーにかけてみます。
温めるとこんな状態に。麹のお陰ですこし濃度がついています。
味としてはキャラメル甘酒という雰囲気。温めて飲んでいますが、牛乳、生クリーム、砂糖、ロースト麹でアイスクリームにするのがベターでしょう。ロースト麹はいわゆる麹っぽさが苦手という人にもよさそうです。麹を使った料理の変化球として冷凍庫に常備しておくくらいが「あり」なアイテムだと思います。余談ですが160℃でローストするよりも70℃で1週間くらい加熱したほうが製品としての精度は上がりそうです。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!