てまひま紹介 第10回 麹ソルト
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てまひま紹介 第10回 麹ソルト

てまひまオンラインとのコラボ企画の第10回です。今日は麹屋もとみやさんの「麹ソルト」という塩。

一昔前に流行った後、やや落ち着いて定着した感がある塩麹という調味料がありますが、こちらは塩+麹という商品。麹屋もとみやさんは創業91年の麹の専門店だそう。ぜひ、見学に行きたい……。

観察してみましょう。塩の結晶のあいだに白い粒が見えます。これがおそらく乾燥させた麹でしょう。舐めてみるとまろやかな塩味。単純に塩を混ぜているので塩分の割合が低いから……というのではない、広がりがあります。麹に由来する甘みでしょう。

麹が料理に魔法を与える理由はデンプンを分解して糖に変えるアミラーゼ、タンパク質を分解してアミノ酸に変えるプロテアーゼ、脂肪をモノグリセリドや脂肪酸などに分解するリパーゼという3種類の酵素を併せ持っているから。ただ、これらの酵素は失活しやすく、こんな乾燥して塩と混ざった状態で効果があるのでしょうか?

同じ鶏むね肉から近い部位を40gずつ切り出しました

早速、実験です。鶏むね肉のスライスにそれぞれ1%重量の麹ソルト、塩を振ります。

加熱条件を揃えるために真空パックにします。

72℃湿度100%のスチームコンベクションオーブンで15分加熱。

出来上がり。

触ってみた感じがすでに麹ソルトをまぶした方がやわらかいのがわかります。

試食しても明確に差が出ました。どうやら低温で乾燥させることで、酵素が失活しない状態で製品化しているそう。これは乾燥麹などで使われるテクニックですが、さすが麹の専門店といったところでしょう。なかなか真似できるものじゃありません。

麹が混ざっているので塩分量を調整する必要があるのかな、とも思ったのですが、食べてみた感じそれほどの違いはないよう。裏の表示を確認すると麹ソルト100g中の食塩相当量が81.0gですから、厳密にいえば違うのでしょうか、ミネラル分の多い天然塩を使っている感覚で振れば大丈夫そうです。

というわけで、この麹ソルトは普通の塩を同じように使えて、しかも料理がおいしくなる、という代物と言えます。冷蔵庫に余った野菜と鯛の切り身を日本酒でブレゼ(蒸し焼き)していきます。

旨味を引き出すために鯛の切り身の両面に麹ソルトを振って、10分間常温に置きます。

オリーブオイル大さじ1をしいたフライパンを中火にかけ、鯛の皮目から焼いていきます。エリンギ、カブ、ラディッシュなども一緒に焼いていきます。加熱時間が短いのでカブやラディッシュなどは小さめに切ったほうが無難です。

火がつく場合があるので注意

焦げ目がついたら裏返し日本酒50mlを加えます。

蓋をして弱火で3〜4分間蒸し焼きにします。

出来上がり。煮汁を味見して、塩気が足りなければ麹ソルトを足しますが、鯛に塩をしっかり振っていればちょうどいいくらいになっているはず。塩気が足りなければ柚子胡椒なんかを添える手もあります。

ハーブかなんかあればちょっとだけ足します。写真はタイムをちぎって散らしました。これで出来上がり。

鯛の身は火を通すとパサツキがちなので、ソースやスープを添えた方が食べやすいです。麹のうま味が利いた味わい。塩麹は液体なので使いづらい部分もありますが、こちらはそういった手間もなく、肉も魚もおいしくなるわけで、これはなかなかすごい調味料なのでは。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!

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樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)料理本『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)など。