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ビーク(?)ストロガノフの作り方

ビーフストロガノフはロシア料理の花形。ストロガノフというのは貴族の名前からつけられたらしいのですが、由来はたしかではなく、研究者のあいだでも意見が分かれるところ。

いかにも歴史がありそうな料理ですが、広まったのはソ連時代。意外と歴史の浅い料理なのですが、面白いのは貴族=ブルジョワの料理が名前も変わらずなぜか共産圏で残ったという点。プロレタリア的にはどうなのか、という点を置いても愛されたのは味の決め手となるサワークリーム(ロシア風にいうとスメタナ)のおいしさのおかげかもしれません。

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さて、このビーフストロガノフ。牛肉のやわらかさがおいしさのポイントなので、いい牛肉を使う必要があります。外国のレシピではだいたいヒレ肉を使うことになっているのはそのため。しかし、日本でヒレ肉を買うとなるとなかなか高価のため大変です。

2人前、一人あたり150gくらいの肉の量は入れたいところ。そこで今回はビーフとポークを半々使うことにしました。その代わり牛肉は脂肪が多く入ったやわらかいものを使います。ポーク=豚ヒレ肉を混ぜることでコストを抑えつつ、ボリューム感を出します。ビーフ+ポークなので、ビークストロガノフというわけ。

豚ヒレ肉 150g
和牛サーロイン 150g
塩       3g
胡椒      適量
玉ねぎ     半分
オリーブオイル 大さじ1
マッシュルーム 4個
パプリカパウダー 大さじ1/2
トマトペースト  大さじ2
サワークリーム  90g
水       150cc

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肉は細長い形状になるように切り、塩、胡椒で下味をつけます。ビークストロガノフは煮込み料理というよりはステーキに近い料理なので、下味で味を決めておきます。

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オリーブオイル大さじ1で玉ねぎのみじんぎりを炒めます。はじめは中火で、音がしてきたら弱火に落とし、ちょっとじっくりと炒めて甘みを出します。

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フライパンを火にかけて、オリーブオイル小さじ1ほどを入れて、強火で焦げ目がつくまで焼きます。肉と玉ねぎを別々に炒めるのが最大のコツです。肉の片面に焼き色がついたらマッシュルームも加えて裏側も焼きます。

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合流させて、パプリカパウダー、トマトペーストを加えて混ぜ合わせます。パプリカパウダーはスモークパプリカを使うのがベスト。

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サワークリームを投入し、水で伸ばします。

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ひと煮立ちさせれば出来上がりです。味見をして足りなければ塩で補います。

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バターライスを添えます。パセリを振るとちょっと彩りがよくなるので、オススメです。

豚肉が混ざっているとつくった人はわかるかもしれませんが、味を支配しているのは牛肉の風味ということにも気付けるか、と思います。その理由は肉の味の個性を決定するのが脂に含まれる香気成分だから。目隠しして、鼻をつまんで食べると、豚肉と牛肉の味の差はわからない、という報告もありますが(食肉のおいしさの決定要因、沖谷明紘2002)和牛の香りは強い(そして好ましい)ので豚ヒレ肉と一緒に食べれば牛ヒレ肉と見分けがつかなくなるのです。

人間が食肉の種類を判別するのに頼りにしているのはまず香り、次に食感、最後に味です。この性質を利用すればコストを上手に下げることも可能。実験感覚でつくってみると面白い、と思います。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!