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〈謎野菜シリーズ〉アーティチョーク

謎野菜シリーズ。今回はこれから旬を迎えるなんとも不思議な野菜『アーティチョーク』です。

トゲトゲの鎧のような見た目がなんとも印象的。アーティチョークは地中海沿岸を原産地とするアザミの一種で、つぼみを食べます。品種が多く、左側のトゲがある紫がかった品種はイタリア料理でよく使われ、右側の品種はフランス料理で好まれます。歴史的にはフランスよりもイタリアの方が古いようです。

選ぶ場合はつぼみが締まったものがいいようです。茎の部分をさわってフニャフニャになっているものは鮮度が悪いので避けます。日本では輸入品と国産品がありますが、主流は輸入品。最近でこそ、国産品が少しずつ増えていますが、栽培がなかなか難しいらしく希少です。

それでは基本の食べ方です。小型のアーティチョークはそのままでもいけますが、通常はアクが強いので下茹でする必要があります。まずは茎の部分を手で折って、除去します。

蓋ができる鍋に水1.5lと塩30gを投入しました。2%塩分量です。ちょっと強めなのはフランス流で、日本人的には20gぐらいでもいいかもしれません。

変色防止のためにレモンと酢を加えます。酢だけでもいいですし、高級店ではレモ
ンだけを使います。

今日はまるごと茹でますが、レストランなどでアーティチョークを処理するときは傍らにレモンを置いて、変色防止のために断面をこすりつけるようにするのがふつうです。切ったものはレモンを入れた水につけて、空気に触れないようにする。そうしないとあっという間に色が黒くなります。

水から茹でて、沸騰したら弱火に落として20分〜25分。やわらかくなるまで茹でます。ハロルドマギーは『圧力鍋や電子レンジでも早く火が通る』(Keys to good cooking未邦訳より)と書いていますが、レンジを使う場合はアーティチョークの上部を横に切ってからの方がいいでしょう。

茹で上がりました。

葉の内側に水が入っているので、よく水を切りましょう。

皿に盛り付けて、食べやすいように葉を広げます。アチチ!

こんな感じで根本の部分を食べます。

マヨネーズかドレッシングにつけて食べますが、食べられるのはほんの少しです。歯でしごくようにして食べましょう。

本命はこちら。アーティチョークハートと呼ばれる中心部分です。外すと繊毛とよばれるケバケバがありますが、そこは美味しくないので、ナイフで除去します。

出てきました。これがアーティチョークハートです。

おお、ホクホクしておいしい。うっすらと甘く、やわらかく線維感のないタケノコのようです。外国ではよくパンの味がする、と表現されます。食べられる部分の少なさに驚きますが、フランスやイタリアでは季節を告げる野菜の一つとして尊ばれています。日本でいうとタケノコに近いです。(食べる部分の少なさも似ている)

ちなみにこのアーティチョーク。味覚に影響を及ぼす食べ物で、シナリンという物質が入っています。このシナリン、甘さを阻害する酸です。シナリンが入ったアーティチョークを食べたあと、水を飲むとそれが除去されるので水が「甘く」感じます。そのためアーティチョークには「合うワインはない」と言われたりするわけですが、先鋭的なレストランではデザートの前にアーティチョークを使った一皿を提供し、デザートの甘さを強調したりしています。アーティチョークを食べたあと、ジュースなど飲んでみると、味覚の変化が楽しいかもしれません。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!