種とワタを生かして甘みととろみを出す! カボチャの煮物
カボチャの煮物は定番の料理。根強い人気がありますが、なかには甘すぎるので好きではないという方も。その意見にも一理あるな、と思うのは、レシピがアップデートされていないから。なにせカボチャ自体が昔と比べると相当に甘くなっているのです。
昔、カボチャの煮物に使われていたのは水分が多く、糖度が低い日本カボチャ。しかし、今の時代スーパーに並んでいるのはほぼすべてが糖度が高く、ホクホクした食感が特徴の西洋カボチャです。昔と同じ配合で今のカボチャを煮ると甘すぎることがあるのは、そのためです。
そこで今回はアップデートしたカボチャの煮物のレシピを2種類ご紹介します。どちらもポイントはワタと種を活用することです。1つ目は『カボチャの塩煮』。調味料を絞ることで今のカボチャの持ち味を生かします。
カボチャの塩煮
1.カボチャは種とワタをスプーンなどでとる。ワタは捨てずにとっておきましょう。
2.カボチャを4〜5cmに切り分ける。(Tips 1 カボチャの切り方)
3.皮を切り落とす。(硬い皮を切り落とすことで煮崩れも防げます)
4.皮があった部分を下にして鍋に並べ、塩2.4g、酒75cc、水125cc、最初にとった種とワタを入れる。(Tips 2 種とワタを生かして甘みととろみを出す)
5.クッキングシートなどを落し蓋にして強火にかける。沸騰したら弱火に落として、20分間煮る。
6.20分経ったらクッキングシートを外して、様子を確認する。串が刺さればでき上がり。種は硬くて食べられないので、盛り付ける時は入れない。
★レシピの解説
【Tips 1】カボチャの切り方
カボチャを切る時は必ずやわらかい身側から包丁を入れるようにします。
硬い皮の部分から切ろうとすると包丁の刃を傷めることも。もしも、一個丸ごとのカボチャを切り分ける場合は刃先を中心のやわらかい部分に差し込むようにして、やはりやわらかい部分から切り分けていきます。とはいえカボチャはスーパーで切られた状態で販売されているので、一個買うようなことは今どきないでしょうが……。
【Tips 2】種とワタを生かして甘みととろみを出す
今回は雪化粧カボチャという甘みの強いカボチャを使いました。砂糖を使わないかわりに種とワタを入れて一緒に炊いていきます。種とワタの香りをかいでみてください。甘く、いい香りがするはずです。これを捨ててしまうのはもったいない。一緒に炊くことで自然な甘さが加わります。
ワタと種を入れることにはもうひとつ利点があります。じつはこのカボチャ、種のまわりとワタには果物並みの量のペクチンが含まれています(正確に言うと同じペクチンでも果物と成分は違うのですが)。ワタと種を一緒に炊くと、溶け出したペクチンや水溶性食物繊維であるセルロースが、煮汁にとろみをつけてくれるのです。
もちろん、種は食べられないので盛り付ける時に外します。でも、面倒なら一緒に盛り付けてしまってもかまわないと思いますよ。食べる時、箸で外せばいいだけです。
カボチャの塩煮は砂糖が入っていないので、さっぱりとした味が特徴。残ったらフォークで潰してマヨネーズを混ぜればカボチャのサラダにも展開できます。
カボチャは収穫後、2週間から1ヶ月ほど追熟させてから食べる野菜です。目安はヘタの部分がひび割れて、全体が固く締まってきたら食べごろなのですが、スーパーで売られているカボチャはたいてい切った状態で販売されているので、断面の色が鮮やかで、タネやわたが詰まったものを選びましょう。
今の時期、売られているカボチャは美味しいので塩煮でも十分美味しくできますが、ときに時期外れのものや輸入物など質がいまいちのカボチャもあります。その場合は砂糖や醤油などの調味料を加えて味を補うことで美味しく食べることができます。次に紹介するのはカボチャの田舎煮。
カボチャの田舎煮
1.カボチャは種とワタをとり、塩煮と同じように4〜5cm目安の角に切り、皮を切り落としておく。種とワタはとっておく。
2.皮があった部分を下にして鍋に並べ、種とワタ、酒75cc、水125cc、醤油大さじ1、砂糖大さじ1を加える。
3.キッチンペーパーを落とし、鰹節を4g(小袋に入れられて売られているもの1パック分です)を上に載せ、火にかける。沸騰するまでは強火で沸いてきたら弱火に落として20分煮る。(Tips 1 鰹節を入れて醤油の量を減らす)
4.キッチンペーパーを外してなかの様子を確認する。写真の状態が目安。
★レシピの解説
【Tips 1】鰹節を入れて醤油と砂糖の量を減らす
カボチャの煮物は出汁を使わず水で煮るのが普通。しかし、ここでは鰹節を落し蓋のように使い、旨味を足しました。旨味を足すことで少ない塩分量でも充分に満足できる味に仕上がるからです。摂取する塩分を減らすことは健康を考えると至上命題。旨味を上手に活用すれば、減塩にも繋がります。
こちらも砂糖や醤油を控えて現代的に仕立てています。昔はご飯のおかずだった煮物もいまは野菜の持ち味を楽しむものに変わった、ということかもしれないですね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!