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チーズのサンドイッチ

21世紀料理教室です。2000年代に入ってから料理シーンに起きた変化の一つがアミューズブーシュ=先付の多様化。アミューズブーシュはアミューズ=楽しみ、ブーシュ=口という意味で、お腹を満たすためではなく、食欲を目覚めさせるための料理です。ヨーロッパ圏にはもともと食事の前に食前酒をとる習慣があり、そのときにつまむのがアミューズです。ナッツやオリーブ、チーズ風味のシューやポテトチップスといった塩や油が効いた品を少量食べると、食欲も湧くでしょう。日本でも先付といって食事の始まりにお酒にあうツマミを提供しますが、このあたりの感覚は国が変わっても同じ、というところ。現在のアミューズはナッツやオリーブといったお決まりの食べ物では退屈、とばかりに創造性を発揮する場所になっています。

アミューズブーシュが多様化したのはやはりたくさんの種類の小品をSNACKという形で提供していたスペインのレストラン、エル・ブリの影響も大きいか、と思います。エル・ブリショック以降、フランス料理店でも一口のアミューズを2〜3種類と提供する店が増えました。

今日はエル・ブリスタイルのチーズのサンドイッチを作ります。サンドイッチといってもパンで挟むのではなく、チーズのクリームをチーズで挟んだもの。

チーズのサンドイッチ
〈パルメジャーノクリーム〉
パルメジャーノチーズ 35g
生クリーム      75ml
牛乳         50ml
塩          ひとつまみ〜
〈チーズのクリスプ〉
パルメジャーノチーズ 80g
卵白         50g

材料はシンプル。

まずはすりおろしたパルメジャーノチーズと生クリームをあわせ、弱火で溶かします。

溶けたらしばらく置いて、なじませておきます。

置いておくと滑らかさが多少、なくなるので、牛乳を加えてハンドミキサーで撹拌します。この段階で塩で味付けしてください。お酒にあわせるので多少強めの塩加減にするのがポイントです。

このとき、泡立てるのがポイントです。

型に流して冷凍庫で一晩凍らせます。

型はシリコン製の製品を使います。シリコマートはイタリアの会社で、金属の型では実現できない創造的なシリコン型の製品を多く販売しています。お菓子なんかはシリコン型の登場によってデザインが進化した側面がありますね。

ちなみに自分はかっぱ橋の馬嶋屋菓子道具店で購入しています。

さて、挟むためのクリスプを作りましょう。パルメジャーノチーズをやはりすりおろします。とはいえすりおろすのは大変なので、フードプロセッサーを使った方が楽。

卵白と混ぜ合わせて、オーブンペーパーなどの上に広げます。

こんな感じに薄く伸ばしましょう。穴があいていてもチーズが溶ければ埋まるので平気です。

180℃のオーブンで5分くらい焼きます。

チーズが溶けるので、さきほどの型のサイズを参考にカットし、さらに色づくまでしっかりもう10〜15分ほど焼いていきます。茶色に色づいたら取り出し、冷まします。

凍ったチーズクリームをサンドすれば出来上がり。

チーズの味がしっかりするアイスクリームっぽいおつまみです。この型を使って凍らせ系のアミューズはバリエーションが作れるので、別の方向性のレシピも今度紹介します。ポイントは脂肪分。チーズクリームは脂肪分が多いので凍らせてもカチカチになったりしません。チーズをそのまま出すよりも洒落が効いた料理です。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!