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Co2エスプーマを使った100%クリームメロンソーダ

第二次世界大戦後の料理の世界は「軽く、軽く」という方向性に進化していたわけですが『エスプーマ』はその象徴的な存在。

エスプーマとはスペイン語で泡という意味。サイフォンやシフォンと呼ばれる器具を使い、いろいろな材料に亜酸化窒素という無味無臭のガスを注入し、ムース状にするテクニックです。それまでのムースは生クリームや卵白を使ったものでしたが、素材+ガスだけなのでそれよりもずっと軽く仕上がるのが特徴。

この器具自体は世界中で生クリームの泡立てに使われている一般的なもの(スターバックスでも使ってますね)ですが、それを料理に応用したのがエル・ブジ。ムースの硬さはゼラチンなどの増粘剤の量でいかようにも調整できます。

最大のハードルは日本では亜酸化窒素の小分けが認められていないこと。亜酸化窒素は人が吸い込むと、陶酔作用があり、笑気ガスとして歯科治療の予備麻酔などに使われています。外国ではカートリッジに詰められて購入することができるのですが、日本では医薬品医療機器法に基づき「亜酸化窒素」は指定薬物とされ、普通に購入することができません。

日本でエスプーマを使えるのは法人、飲食店だけ。それも専用N₂Oボンベを特約店から購入するという形です(販売経路を限ることで管理したいという思惑があるのでしょう)一部の愚かな人たちのせいで、気軽に使えないのはなんだかなー、という感じですが、そこを嘆いても仕方がありません。N20は個人で購入できませんが、Co2(二酸化炭素)であれば買えるので、それを利用すればいいのです。

Co2は炭酸飲料に入っている泡です。無味無臭のN2Oと違い、炭酸の刺激と酸味があるので、材料として使えるのはレモンやライム、ちょっと無理は感じますがヨーグルトなど限られます。ムースにする場合はゼラチンを入れればいいのですが、今日はゼラチンを使わずメロンを使った皿をつくります。

100%メロンソーダ
メロン(小)   1個
バニラアイスクリーム 適量

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メロンは内側の種の部分においしいジュースがあるので、忘れずに利用しましょう。

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種のまわりをザルで濾しました。小さいメロン1個分で100ccのジュースがとれました。

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メロン果肉半個分300gと100ccの果汁を一緒にミキサーにかけます。

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ピュレ状になりました。この状態でメロンのスープです。赤肉のメロンを丸くくり抜いて浮かべると立派なデザートになります。

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Co2カートリッジを1本入れて、冷蔵庫で6時間以上冷やします。温度が低いほど溶け込むC02の量が増えるので、チルド室に入れておく(あるいは氷水につける)といいでしょう。冷凍庫に入れると液体が凍って膨張する→サイフォンにヒビが入る→爆発する、なんて危険性もあるので絶対にやめましょう。実際にサイフォンが爆発する事故もあるにはあったので。

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液体を注ぎます。

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クリームメロンソーダなので、バニラアイスクリームを浮かべます。Co2=炭酸の刺激がありますが、メロンソーダという名前をつければ違和感が出ません。エスプーマが登場して20年以上経ちますが、使う必然性みたいなものがなかなか難しいテクニックです。この料理の場合、鍵を握るのはノスタルジーです。誰もが飲んだ記憶のあるクリームメロンソーダからどれだけブラッシュアップさせてずらすか、という点がポイントになります。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!