さっぱりした甘さとひんやり感が心地いい、江戸時代生まれのスイーツ
玲瓏(こおり)豆腐は江戸時代の料理本『豆腐百珍』にも掲載されている有名な料理です。当時は酒のつまみとして辛子醤油で食べていましたが、現代では黒蜜をかけて甘味として楽しむのがオススメ。氷が貴重だった江戸時代、氷に見立てた寒天で豆腐を包むことで、見た目から涼をとっていたのでしょう。
今回、覚えるべきは寒天の使い方。さっぱりとした甘さとひんやりした感じが楽しい、古くて新しいデザートです。
玲瓏(こおり)豆腐
1.豆腐は四角に切り出し、流し缶かバットなどの四角い容器に並べる(よく洗った牛乳パックなどでも可)。豆腐の高さをすこし落として、背を低くしたほうが収まりがいい。
2.粉寒天2gとグラニュー糖40gを混ぜ合わせ、水500ccに加えて溶かす。強火にかけて沸騰させたら弱火に落とし、30秒間煮た後、火から下ろす。粗熱がとれるまで放置するか、氷水などに当てて40℃まで冷まし、豆腐の入った1の容器に注ぐ。冷蔵庫で2時間、冷やし固める。(Tips 2 寒天に火を通す)
3.切り出して器に盛り付ける。食べる時に黒蜜をかける。
★レシピの解説
【Tips 1】粉寒天の使い方
寒天はテングサという海藻からつくる日本生まれのゲル化剤です。同じゲル化剤のゼラチンとは違い、多糖類の一種でカロリーがないのが特徴。植物性のためベジタリアンに提供する場合にも活躍します。
寒天には棒寒天、糸寒天、粉寒天の3種類がありますが、凝固力はすべて同じなので、粉寒天がなければ他の寒天でも同じ分量でつくることができます。
寒天は90℃未満で溶けますが、凝固力を発揮させるためには一度沸騰させる必要があります。冷ますと70℃くらいでゲル化がはじまり、常温でもゼリー状になる性質があります。熱可逆性いって、一度固まった寒天も、温めると溶け、冷やすと再び固まるので失敗しても大丈夫。
パックの裏に記載されているレシピは寒天4gに対して水500ccの割合が一般的。しかし、これでは硬すぎるので思い切って寒天の量を減らすのがポイントです。ゆるく固めた寒天は口に入れるとすっと溶け、液体に戻ります。この食感がおいしいのです。
【Tips 2】寒天に火を通す
粉寒天は玉になりやすいので、先に砂糖と混ぜておくと分散してきれいに溶けてくれます。砂糖に混ぜることで玉になりやすい素材を溶かしやすくするテクニックは、ココア作りなどにも使えるテクニックなので、憶えておくといいでしょう。
沸騰したというのは温度が95〜98℃くらい。しっかりと泡立った状態を指します。この状態で強火のままにすると吹きこぼれますし、水分も多く蒸発してしまうので、火を弱めるのがポイントです。火を弱めて30秒ほどしっかりと煮たらOK。あまり煮る時間が長すぎると水分が多く蒸発するので硬めの仕上がりになります。でも、固まらなくて失敗するよりはマシかもしれませんね。
寒天はお風呂の温度くらいの温かい状態で型に注ぐの普通です。それよりも冷ますと寒天が固まってしまい扱いづらくなります。寒天は急激に冷やすとコシがなくなり、頼りない食感になるので、味を優先するなら気長に粗熱をとるのがコツです。
江戸時代生まれのこおり豆腐は低カロリーで、むしろ現代的な甘味といえます。温故知新の味を楽しんでください。
【アレンジ】カップでこおり豆腐
さきほどは氷をイメージして四角に切り出しましたが『流し缶や容器がない!』という場合はゼリーのようにカップに流してもいいでしょう。
この場合は型から抜かないので寒天の割合をさらに減らし、寒天2gに対して水750cc(グラニュー糖は50g)でつくるのがオススメです。このくらいの量でつくると寒天の硬さと豆腐の硬さが揃い、よりひんやりとした感覚が増します。
これは遊びですが、豆腐を四角く切り出し、ザルで転がすと角がとれて丸くなります。
カップに入れる場合は白玉のように丸い豆腐にするのも面白いでしょう。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!