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ホットケーキは140℃で焼きはじめて180℃で焼き終わりとするのがベター

温度調整ができるIH調理器『Repro』を使ったレシピシリーズです。今回はホットケーキ。海外でもこういった温度調整できるIH調理器が発売されていますが、鍋を限定しているものがほとんど。reproはIHで加熱できる鍋であればほぼすべて完璧な温度コントロールができるので、用途によってフッ素樹脂加工のフライパンからストウブのような鋳物の鍋まで色々と使える&IHを使っている人であれば新しく鍋を買う必要がない、というのも売りです。

材料
薄力粉 100g
砂糖  15g
ベーキングパウダー 6g
塩   1.5g
牛乳  120ml
卵   1個
溶かしバター 30g

ホットケーキのレシピはいくつか書いていますが、これは割とシンプル→でも、溶かしバターが入っているのでしっとりタイプです。ホットケーキミックスを使ってもかまいません。

ホットケーキの焼き方って人によって様々ですよね。ただ、温度が高すぎると焦げるというリスクがあります。一方、極端な例では冷たいフライパンに生地を注ぎ、弱火で加熱するとあまり膨らみません。

ホットケーキを膨らませているのはベーキングパウダーの作用です。ベーキングパウダーは加熱すると二酸化炭素を出します。生地に含まれるグルテンのシートが二酸化炭素の泡を包み、風船のように膨らませます。

焼きはじめは生地の粘度も硬さもゆるいので、できた泡が逃げていきます。加熱を続けて生地が固まってくると泡が閉じ込められ、膨らんでいきます。生地に十分に火が入ってしまう頃にはベーキングパウダーの作用は終わり、生地もかたまるので泡はできません。というわけでホットケーキの要素は大きく2つ。生地の硬さと温度です。

生地の硬さについてはゆるいと硬くなる前に二酸化炭素の泡が逃げてしまいますし、ベーキングパウダーも力を失ってしまうので、ペタッとしたホットケーキができます。逆に硬すぎる=重い生地ではベーキングパウダーのちからでは膨らませられないのでやはりずっしり&ペタっとしたホットケーキになります。いつも完璧なホットケーキをつくるためには卵と牛乳の量をきちんと計るのが大事。

ホットケーキについては先人が検討しており、山崎清子さんの「焼き物調理に関する研究 板焼き ホットケーキについて」という論文が参考になります。これは1961年の古い論文で、加える脂肪がマーガリンというあたりに時代を感じさせますが、ホットプレートやフライパンなど仔細に検討がされています。要点をざっくりとまとめると

  1. ホ ットケーキは加熱器具の焼き面が高温のときに焼くよりも、130~140°C ぐらいのときに生地を流 し、 180°C をもって焼き上がりとするほうが間違なくよく焼ける。

  2. 膨化率は130°Cから180°Cまでの範囲の焼き温度であれば、その高低によってほとんど変化がない

  3. ホットケーキに適度な焦げ色がつく温度は160~180°C 

  4. 卵は多いほうが膨らみがいい。砂糖は多すぎると膨らみが悪くなるので、あとからシロップをかけた方がいい

  5. ホットケーキの生地の流動状態は、小麦粉に水を 120~130%加えたくらいがよく、 砂糖、 脂肪、卵は換水値により、牛乳はその水分を考えて割り出すと基準量では牛乳100~110ccくらいが適量である

という具合。ホットケーキに焼き色がつく温度は160℃〜180℃でそれ以上に温度が上がると焦げてしまいます。スーパーマーケットに行ってホットケーキの箱裏レシピを見るとほとんどが170℃で焼く指定になっていますが、これはその点を考慮した結果でしょう。

というわけでこの論文を参考に作ったreproレシピがこちらの動画です。このレシピでは140℃で生地を流し入れ、180℃まで加熱。裏返して、2分焼くというもの。180℃の焼色は少し上品な感じなので、185℃くらいまで上げてもいかもしれません。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!