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松茸ご飯作り方

秋になったら松茸や! というわけで今日は松茸ご飯を作ります。今回は貰い物ですが、今年は松茸が安いのですし、アメリカ産などを使えば家でも挑戦できるか、と。

米 1合
松茸 1本
出汁 190cc
薄口醤油 小さじ1 好みでさらに1/2

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通常は油揚げでキノコに足りない油気を補うというのが松茸ご飯の基本ですが、余計なものは入れずに松茸を多めに使うというのがポイントです。とはいえ松茸は高価なので家ではご飯1合だけ炊くことにします。

松茸ごはんに限らず炊き込みご飯にする場合は米に予め水を吸水させておきます。ざる上げでもいいですし、このように水に浸しておいてもかまいません。30分放置すると米が水を吸います。

炊き込みご飯のメカニズムについてはこちらの記事でも説明しています。

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松茸は鉛筆の芯を削る要領で軸の硬い部分を切り落とします。

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それからため水で土やホコリを落とします。松茸、高確率で土がついているのできちんと落とさないとジャリッとしてテンションが落ちます。水洗いしてはだめとよく言いますが迷信なので気にしないで洗ってください。ただし、水につけっぱなしにしたり、洗ってから放置するのはダメです。ため水で表面を洗い落とすようにしましょう。布巾などを使うと上手にできます。

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半分に切って、穂先に近い部分は6等分くらいにカット。軸は薄切りにします。

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薄口醤油で味付けした出汁と米のうえに松茸をのせて、加熱スタート。みりんやらなんやら色々入れる人がいますが、薄口醤油だけで味付けしたほうが味がバシッと決まります。

ちなみに14cmのストウブの鍋は1合分のご飯が上手に炊けるので、おすすめです。このくらいの大きさの鍋、現代人のライフスタイルにあっていると思います。強火にかけて沸騰したら弱火に落として8分間。火を止めて予熱で5分加熱します。鍋が小さいので強火にする際は鍋底の大きさからはみ出ないように

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炊きあがり。

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炒った銀杏を混ぜ込んでみました。松茸、大正時代くらいは安いキノコでして、昔の料理本を見るとカレーに入れたり、フライにしたりと色々と使われています。パン粉をまぶしてフライにするのは試したのですが、かなりおいしく仕上がるので財布に余裕がある人にはオススメです。そういえば松茸のフライは新橋にあった割烹、京味でも出していました。

松茸の特徴は他のキノコと比べると水分が少ないこと。この水分を失わせない、あるいは保持することが調理において重要なので、フライというのはすごく理に叶っているのかもしれません。うま味成分は控えめで、なにか別のもので補ったほうが良さそうです。なので、松茸は単体よりも鱧とあわせてお椀にしたり、土瓶蒸しにしたりと複合的にすることが多いんですね。ちなみに香り成分のマツタケオールや桂皮酸メチルは脂溶性のため、油で調理するよりも水分で加熱することが多いのでしょう。長時間加熱すると香りが飛ぶので、加熱は短時間に留めるのがコツ。

松茸は松林に生えてくるキノコで、痩せて荒れた山を好みます。昔は山の恵みを資源として活用していた──いわゆるおじいさんは山に柴刈りに、の世界──ので松茸や松が好む低栄養状態の土壌を維持できていました。しかし、近代化が進むと山という資源は打ち捨てられます。山の資源が利用されなくなるにつれて、松茸もとれなくなったわけです。

また、松枯れ病(マツ材線虫病)の発生も松にとっては脅威ですが、その原因の一つも土壌の富栄養化であるとされています。中国や北朝鮮(表向き今は輸入されていませんが)などでは松茸がたくさんとれているようですが、世界的には減少傾向にあり、危急種扱いでレッドリストに掲載されるなど話題には事欠きません。とはいえ一般人にとってはあまり縁のない食材ではあります。一年に一度くらいは……となるとやはり松茸ごはんかな、というわけで載せてみました。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!