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ツルムラサキのおひたし

夏は青菜が少ない時期ですが、最近ではほうれん草の代替としてツルムラサキの栽培が盛んです。ツルムラサキは同じ頃に旬を迎えるモロヘイヤと同じでちょっとヌメリのある野菜。味はほうれん草に似て、濃厚で美味。

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ツルムラサキ(Basellarubra)は熱帯アジア原産の葉菜類で、アジア圏や沖縄などで食されてきました。在来の品種は苦味やエグミがありますが、最近栽培されるようになった新しい品種は食べやすさが特徴。

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中国料理では炒めものにすることが多いみたいですが、日本での定番はおひたし。昆布出汁200ccと醤油大さじ1、みりん大さじ1を混ぜた浸し地をつくり、ツルムラサキは4〜5cm幅に切ります。この時、太い茎と葉はざっくりと分けておきましょう。

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鍋にたっぷりの湯を沸かします。沸点を維持すればいいので火を弱めたら、茎から茹でていきましょう。塩を加える人がいますが、その意味はないので入れません。このあたりの理屈は「ほうれん草のおひたし」のときと一緒。

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1分経ったので葉の部分も入れました。さらに2分です。ほうれん草よりもしっかりめに茹でるのがコツです。

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冷水にとって冷まします。急激に冷ますことで火が通り過ぎるのを防ぎ、鮮やかな色を保ちます。水気を切りますが、あまりつよく絞らないほうがおいしく食べられます。日本料理の世界では青菜はきつく水気を絞るというのがセオリーです。そうすることで細胞が壊れて、浸し地の味をよく吸います。ただ、漬物状になるので、野菜の味が薄くなる、というデメリットもあります。それよりもよく水気を切ってから浸し地につけたほうが素材にダメージが少なく、おいしいと思います。

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最初に準備していた昆布出汁200cc、醤油大さじ1、みりん大さじ1の地に浸けます。すぐに食べはじめてもいいですが、20〜30分置いて味を馴染ませてからのほうが美味です。

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かつお節があればかけると感じが出ます。もちろん浸し地ではなく、生醤油をちろりと垂らしてもいいでしょう。でも、その場合はおひたしではなく、和辛子を溶いた辛子醤油を用意して『辛子醤油和え』にしたほうがおいしいと思います。おひたしのメリットは浸し地につけた状態であれば1〜2日は冷蔵庫で保存できること。おひたしはできたてをいつでも提供できるわけではない料理屋さんの料理で、もちろん茹でたてのおいしさもあるのですが、いそがしい現代家庭でも応用できる技法です。これも大きな冷蔵庫が普及したからこそできる料理ですね。

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