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フライパンで8分! かんたん激ウマのクリスマス料理

クリスマスに向けて簡単につくれるチキン料理をご紹介します。つくり方はとっても簡単。ポイントは電子レンジを使うことです。

クリスマス時期になるとスーパーの店頭に並ぶ骨付きの鶏もも肉。鶏もも肉はおおらかな部位で失敗しにくいうえ、骨付きの肉には特別なおいしさがあるので、料理しない手はありません。

ネットで検索すると「骨付き肉がおいしい理由は髄液の旨味とコラーゲン」と出てきますが、『鶏肉の加熱調理─骨の有無が食味に及ぼす影響──』という論文によると骨付きと骨なしではうま味に差はありません。「骨付きの肉は肉が縮みにくい」とされ、その理由はコラーゲンの影響と考えられていますが、以外にも同じ条件で加熱した場合には食感にも差はあまりないよう。

骨付き肉がおいしい理由は鶏肉の骨が熱伝導をゆるやかにするからです。そのため肉はやわらかく、ジューシーに仕上がります。また、加熱すると含まれているコラーゲンがゼラチンに変わり、ゼラチンは水分を抱え込むのでやはりジューシーになりますし、骨の周りの肉は脂肪が多くついていることが多く、それが噛んだときにあふれるのでこれもジューシーさに貢献します。

つまり、骨付き肉は多少大胆に加熱しても大丈夫なのです。とくに鶏もも肉はしっかり加熱したほうがおいしい部位。今回、用いたはちみつ、醤油、粒マスタード、にんにくを混ぜたソースは他の肉料理に応用できる味付けなので、憶えておくと便利です。

骨付き鶏もも肉のソテー

材料(2人前)
鶏もも肉…2本
Aはちみつ…20g
A醤油…30cc(大さじ2)
A粒マスタード…10g
Aにんにく(すりおろし)…耳かき1杯分
かいわれ大根 クレソンなど

1.鶏もも肉は裏面から骨に沿って包丁で切り込みを入れておく。Aはボウルなどで混ぜ合わせておく。

2.冷たいフライパンにオリーブオイル(分量外)小さじ1を敷き、皮目を下にした鶏もも肉を入れ、中火で加熱する(目安は5〜6分)。皮目に焼き色がついたら裏返し、火を弱火に落とし、脂を丁寧に拭き取る。

3.Aのソースを注ぎ、スプーンなどでかけながら煮詰める。ソースが煮詰まったら、鶏もも肉を取りだし、皿に移し、600wの電子レンジでラップをかけない状態で3〜4分加熱する(写真のように1本の場合は2分が目安)。器に盛り付け、フライパンに残ったソースをかけて提供する。かいわれ大根やクレソンなどを添える。

秘密兵器は電子レンジ

骨付き鶏もも肉を調理するのは簡単ですが、事前に知っておいたほうがいいことがいくつかあります。

冒頭で骨が熱伝導をゆるやかにする、という話をしましたが、逆に考えると骨付きの肉を料理する際は「生焼け」という失敗があります。それを回避するために導入した秘密兵器が電子レンジです。電子レンジの加熱メカニズムについては以前にも解説していますが、水分を加熱する仕組みなので、肉類の調理にはあまり向いてないので、骨付きの鶏もも肉をそのままレンジに入れて加熱すればいい結果は出ません。鶏肉は蒸された状態になり、香りは逃げてしまうでしょうし、ソテーの香ばしさも出ないでしょう。

香ばしさが欲しければ焼き目をつければいいのです。表面を高温で焼くことで生じるメイラード反応はおいしさの素。メイラード反応は糖とアミノ酸のあいだで生じる反応ですが、そこに油脂が介在すると香りが豊かになることがわかっています。古い時代の調理法に肉の周りに背脂を巻いて焼くものがありますが、昔の人達は原理がわからないうちから、その方法を知っていたのでしょう。

表面にこんがりとした焼き色をつけたら、丁寧に脂を除去し、はちみつと醤油を混ぜ合わせた照り焼き風のソースを絡めましょう。このソースはフランス料理の巨匠、ジョエル・ロブションが考案したソースのアレンジですが、肉類とは抜群の相性です。

最後に電子レンジで加熱し、中心まで火を通します。電子レンジの加熱に用いられるマイクロウェーブは無機質にぶつかると跳ね返る性質があります。骨付き肉をレンジにかけるとマイクロウェーブが骨にぶつかり跳ね返るので、骨の周りを効率的に加熱することができるのです。(これをボーン効果と呼びます)

火の通り加減は肉の大きさや、電子レンジの個体差によって異なるので、加熱時間を調整する必要があります。火が通ったか確認するには昔ながらの〈串を刺して、透明な汁が出てくることを確認する〉あるいは〈肉の一番厚い部分に温度計を差し込んで、中心温度が75℃になったことを確認する〉という二つの方法があります。

最初に述べた通り、鶏もも肉はおおらかな部位。多少加熱しすぎても大きく味が落ちることがないので、心配であれば少し長めに加熱をするのもいいでしょう。ただし、骨の周りが赤いのは生焼けなのではなく、溶出した骨髄液が赤く発色したからで、食べても問題ありません。知っておけば過剰な心配をすることなく、鶏肉をおいしく食べられるでしょう。

【補足】
骨付き鶏もも肉が入手できない場合は鶏手羽でも同様につくることができます。手羽先を購入してきて、真ん中から切り落し、太い方を使います。先端の細い部分はスープ用など別の料理に使いましょう。

ISETAN FOOD INDEXでも骨付きの鶏肉を使ったレシピをご紹介しています。


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