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剣の山 Blu-ray版の感想

Twitterに感想を書くと細切れになるので、こちらのnoteに感想を書くことにしました。Amazonレビューでは★5個ついている凄い作品ですが私の感想は少し辛目です。こういう感想を持つ人もいるんだなと思って頂ければありがたいです。

内容 (公式より)

「立山黒部ジオパークを舞台に描く、少年と山の物語」
小さな頃に父親を山で亡くした主人公の剣(けん)。彼の父は山岳救助隊の隊員だった。剣は山に対して複雑な気持ちを持っていた。高校生になった彼はある年の夏、科学部のキャンプで立山に登る。そこで雄大な自然を体験しながら、山と自分の関係を見つめ直す剣。そして父の友人でもあった顧問の先生や、友人たちに囲まれながら、剣は自分の心の呪縛を徐々に解いていくのであった。

Blu-ray版について

元々フルドーム映像として作成されたものをTVモニターなどの平面かつ小さい画面で見られるように変換しているため、臨場感の欠如や映像のゆがみが大きい箇所がある等、致し方ないところがあるのを承知で観る必要があります。

感想(少しネタバレ)

まず観る前から想像していたものは、公式の内容文章通り「少年と父と山の物語」と思っていました。つまり山岳人間ドラマだと思っていたのです。紹介映像を観てもそんな感じです。

ところが観ていくうちに立山黒部ジオパークの科学番組であることが分かります(フルドーム映像を上映している場所を考えると最初から分かっとけ!って話ですが)。

だからと言って人間ドラマが無い訳ではなく主人公の少年と学校の先生、科学部の仲間との関係は描かれています。これがもう1本の柱。

科学番組と人間ドラマの2つの柱が歩み寄るようで独立しているような…不思議な感じがします。初見では人間ドラマ部分の理解ができず、主人公の少年と父の関係が薄すぎる感がありました。これは43分の映画で科学番組+人間ドラマを深く描くには短いからではないかと想像。Blu-rayパッケージ添付のブックレットを読み、2回目を視聴してようやく人間ドラマ部分が半分ほど理解できた次第。

モヤモヤするのでGoogleで検索してみると「全天周大型映像『剣の山』(仮題) 先生役 募集のお知らせ 」がヒット。これで登場人物の過去のいきさつが分かり「そういうことだったのか!」と。

つまり、あらかじめ登場人物の生い立ちを知っていないと人間ドラマ部分の理解が難しいと思いました。上映館で何回も観直す人は多くないことを考えると、この方法(人間ドラマを通じて立山黒部の地学を知る)で良かったのか?と疑問が残ります。

逆に科学番組としての部分はグラフィック説明付きで非常に分かりやすく、こなれている感があふれていました。なので映画全体としてのバランスが惜しいです。

科学番組部分で危惧するところは立山近郊の方なら身近な事としてこの映画は理解しやすいかもしれませんが、自分のように緩い山しかない関東に住んでいると「そういう場所があるんだな」という感じで終わってしまうことです。これも上映館がある地域の科学番組ということで致し方ないかもしれません。

映像はCGを使った場面を含めとても綺麗で雄大、音楽も抒情的で文句無し。何回も観直すことができるBlu-ray版ではこの映画の内容がじわじわと分かってくるので結果として買って良かったです。

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