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日本語訛りの特徴について

この記事は、「そっちゃそ発音講座」の受講者向けに公開しているものです。特に非公開にする理由もないので、広く役立ててもらう目的で公開しています。発音講座について気になる人は以下からチェックしてください。

英語の発音学習の取り組みを行う際、母語である日本語の特徴を理解し、その特徴が可能な限り混入しないように努力する必要があります。この記事では、英語発音の習得の際に抑えておくべき、日本語訛りの特徴を網羅的にまとめています。


よけいな母音の挿入

英語から輸入されたカタカナの言葉はたくさんありますが、多くの場合で、英語とそれに対応するカタカナ語の間で尺の取り方、リズム、音節の数などが大きく異なります。

顕著な例でひとつ説明すると、strength(強さ)とい言葉をカタカナで書くとストレングスですが、英語1音節に対し、日本語5音節になっており、同じ言葉を指しているにも関わらず、音節の数が5倍にもなっています。strength をストレングスと言ってしまうと、本来あるべき尺、リズムがぐちゃぐちゃになってしまい、日本語訛りが盛大に介在してしまいます。リズムの崩れは日本語訛りのなかでも重大度がきわめて高く、なによりもまず直しておきたい訛りの要素です。

また、日本語の場合、末尾が子音で終わることが「ん」以外の場合でありません。そのため、その癖がそのまま輸入されて末尾によけいな母音が挿入されるケースが多く、これも日本語訛りの要因になっています。

前舌母音と後舌母音の区別

たとえば、adopt と adapt を発音する際、一瞬戸惑うことはありませんでしょうか。単語帳でそれぞれの単語とその和訳を覚えた人でも、これら2つの単語を「アダプト」と覚えていると、音の区別ができないため、いざ発音する時に戸惑うことになります。

adopt と adapt の違いはおおよそ、前舌母音と後舌母音の違いです。どちらも「アダプト」と考えてしまうと意味の区別を出せなくなり、訛りを要因とした意味伝達の不具合が生じてしまいます。

「に」の音

「なぬねの」の子音は英語の/n/と同じですが、「に」については違い、/ɲ/ です。英語の「に」っぽい音、たとえば needs などの音を日本語の「に」の子音 /ɲ/ で出してしまうと、訛りが介在します。

二重母音と長母音の区別

日本語の場合、「ぞうさん」を「ぞーさん」と発音するなど、表記上の二重母音を長母音に置き換えても許容されますが、英語の場合、そのような癖はありません。日本語と同じ感覚で二重母音と長母音の置き換えを行うことは日本語訛りのひとつですので、二重母音であるべきところは二重母音として発音する必要があります。

摩擦音と破擦音の区別

閉鎖を作って内圧を高め、その空気を開放して音を出す子音を破裂音、ブレスを阻害して、空気の擦れを作って音を出す子音を摩擦音といいます。そして、破裂音と摩擦音がくっついた音素を破擦音というのですが、日本語の場合、摩擦音と破擦音の区別があいまいであり、このあいまいさが日本語なまりの要因になっています。

ところで、「全然(ぜんぜん)」を発音する際、んぜんの「ぜ(/dze/)」と、ぜんんの「ぜ(/ze/)」に、破擦音と摩擦音の違いがあることをご存知でしょうか。このように、現代日本語では/dze/と/ze/の意味上の区別があいまいになっているのですが、これを英語に持ち込んでしまうと日本語訛りの要因になります。

たとえば、goods /gʊdz/ という単語には有声破擦音が組み込まれていますが、日本語の感覚で「グッズ」と言ってしまうと、/dz/ ではなく /z/ になってしまいます。これは、破擦音であるべき箇所を摩擦音にしてしまうなまりですので、回避する必要があります。

音素の代用

日本語にない英語の音を、それに近い日本語の音で置き換えてしまう、ということがあります。たとえば、/f/や/v/の音は日本語にはありません。/f/や/v/ の音が、ろうそくをフーフーするときの摩擦音 /ɸ/ やその有声音の /β/(どちらも日本語で使用される音素)で代用されることは多くなります。

声門閉鎖の介入

日本語は、マシンガンのように音のつぶつぶを打ちまくるような話し方をします。この際、つぶつぶの間に声門閉鎖 /ʔ/ という、声門を閉じることによる音のabruptなストップが入るのですが、英語にこのような癖はありません。

また、日本語のア行は子音のない母音単体の音ではなく、あいうえおの直前に声門閉鎖が入っています。英語の母音、たとえば「あ」っぽい音の/ɑ/と、日本語の「あ」を比べるとわかるのですが、後者の場合、「あ」を発音する直前に声門に力が加わって閉じていることがわかります。

強弱の欠落

日本語の場合、明瞭に話すことがよいことであるとされていますが、英語については事情が異なります。英語の場合、抑揚、イントネーション、アクセントなどの音楽的要素が意味伝達の機能に貢献するため、丁寧に出す箇所といいかげんに出す箇所のメリハリを、露骨に出す必要があります。ぞんざいに発音すべきところはいい加減に出し、意味上重要になる音節は相対的に尺を長くとり、存在感をアピールする必要があります。

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