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ジーン・ウェブスター「Dear Enemy」ペンギンブックスp.335~336

ジョン・グリア孤児院にて
1月16日

ゴードンさま

 お願い、お願いだから落ち着いて、事態をややこしくしないでちょうだい。いまこの瞬間に孤児院を辞めてほしいだなんて、まるっきり話になりません。どうかわかって。うちの子たちがこんなにこんなに私を必要としてるときに、それを見捨てるなんてできるわけないでしょう。それに私、まだこの「いまいましい慈善活動」をやめる準備なんてできてません。(これ、私の字で書かれてるのを見たら、ご自分がどんなことを言っていたのかよくわかるでしょう!)
 あなたが心配することは何もないの。私は働きすぎてなんかいません。楽しんでるのよ。人生で、こんなにも忙しくてこんなにも幸せだったことってないわ。新聞に出てた火事の記事は、話を盛ってあるのよ。両脇に赤ちゃんを抱えた私が屋根から飛び降りてる絵は、大袈裟です。喉が痛いって言ってる子が1人2人いて、お気の毒なドクターはギプスで固められちゃってるけれど、私たちみんな生きてるもの、ありがたいことだわ! あとに残るような傷跡一つなく、事をおさめていけそうです。
 いまは細かい話を書いていられません、ただただ死にそうに忙しくて。絶対にこちらへは来ないでね――お願いだから! あとで、物事がもうちょっと落ち着いたら、あなたと私のことについては、きちんとお話をしないといけないわね。でも、まずはそれについて考えるだけの時間がほしいんです。

S.

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