経験則?エビデンス?選択の基準は感覚?
センサーを磨こう②
投球後のアイシングは必要?不必要?
昔は投球後に肩を冷やす事はタブーでした。肩は温めるもの、と。
その後に、アイシングは必須となりました。
多くの科学的根拠(エビデンス)を基に。
そして、現在ではアイシングの効果が疑問視されています。
最新のエビデンスによると。
「投球後にアイシングは必要ですか?」
この疑問には、Yes or No で答えるのは難しい。
条件や個体差があるからだ。
では、最終的には誰がどんな基準で、投球後のアイシングが必要か不必要かを決めるのか?
昔の人と今の人
テレビやSNSで、
いわゆる「昔の人」と「今の人」の意見がぶつかる事がある。
野球で言うと、
打ち方や投げ方は勿論のこと、配球、送りバント、球数制限、根性論、走り込みの必要性、アイシングの必要性などなど尽きる事は無い。
「昔の人」は経験則や実体験で、
「今の人」は経験則にプラスして最新のエビデンスを元にした理論で考える。
こう書くと、「今の人」の言ってるいる事の方が正しく聞こえるし、実際に若い人が主に使うSNSの場では、最新のエビデンスを元にした「今の人」の理屈が議論としては理にかなっているとされています。(多分)
今回は、どちらが正しいのか?誰が正しいのか?を考えるのではありません。
エビデンス重視のみでは思考停止を招く
私は常に新しい理論をアップデートして、現場の指導で活用しています。
が、時々、そのエビデンスに基づいたやり方が本当に効果的なのかな?と疑いを持つ事があります。
時々、というか、多くの場面で。
最新のエビデンスを元にした考え方は突然の如く大事ですが、「経験」に裏付けられた考え方もバカにしてはいけないのかな、と感じる事もあるのです。
エビデンス重視で押し切ることは選手と指導側の思考停止を招く要因にもなるかもしれません。
なので、
「なんか、こう感じる」とかって言う「感覚」も同じ様に大事にするべきなのかな、と感じる時があります。
その「感覚」を明確に感じれる選手は何をするにしても伸びるし、故障も少ない様に感じます。
そんな選手は人の言われた事を鵜呑みにせず、自分にとって意味がある事か考えたり感じたりする習慣が付いています。
自分にとって有益でないと感じたら、適当にサボる。
指導者はこれを嫌いますが、これこそ、生き延びる為のセンサーなのでは無いか?
そう、「野生の勘」ってやつ。
「野生の勘」という点では昔の選手の方が優れていた?
さて、話はアイシングに戻るが、昨今の野球界では投げ終わったあとに肩をアイシングすることは「常識」として知られているが、昭和の大投手たちは「肩を冷やすな」と教わってきたという。
じゃあ、昔の人は科学的なエビデンスもないのに肩を温めてきた馬鹿なのかというと、どうもそうでもないらしい。
≪RICE処置≫をご存知だろうか。スポーツ医療、スポーツ科学の世界では、教科書にも載っているほど有名な応急処置法である。
R=Rest(安静)、I=Ice(冷却)、C=Compression(圧迫)、E=Elevation(心臓より高く持ち上げる)
野球のアイシングはこの「I」を根拠にはじまったそうだ。日本では1970年代後半にアメリカからこの考え方が輸入されたという。
しかし、最近になって、アイシングの効果に疑問を呈する論文が出てきている。常識が変わりつつあるのだ。
さて、アイシングが必要かどうかを人に決めさせて良いのか?
アイシングが合うか合わないか、
アイシングの効果や影響は、
人によって、状況によって違うのでは無いか?
そして、それを判断するのは、過去の経験や自分の感覚を元に自分で決めても良いのでは無いか?
自身のセンサーを働かせた結果の行動は必ず次に繋がるはず。
やはりセンサーは大事だ。
アスレティックトレーナー
中務正幸
現在、プロ野球、プロゴルファーなどをさのトレーニングを指導。
数多くのプロ指導経験を活かして、誰でも実践可能で成果の出るトレーニング方法(ニーズトレーニングメソッド)を発信。
元ミネソタツインズ ストレングス&コンディショニング担当
元阪神タイガーストレーナー
NATA公認ATC
TPI公認トレーナー
スポーツメンタリスタレベル2認定
栄養コンシェルジュ2ッ星
ジム&スタジオNeeDSヘッドトレーナー
ゴールアチーブメント協会代表理事
スポーツメンタリスタ協会代表理事
学生トレーナー団体『field』(広島)顧問
学生トレーナー団体『rise』(神戸)顧問
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