見出し画像

鉄道事業者が回数券を廃止する理由

先日、関西の私鉄、京阪電車が回数券を廃止する旨、発表した件に関連して、鉄道会社が回数券をどんどん廃止していっている理由を考察したいと思います。

増えるIC利用、減る回数券

これは京阪電車の公式の記事にも書かれていましたが、年々ICカードの利用は増えていき、年々回数乗車券の利用は減っていっているとのことです。

つまり、利用状況に合わせた措置であり、事業者としては合理的判断であると言えます。

バラ売りされる回数券

これはどの程度鉄道会社が気にしているのかは正確には分かりませんが、おそらくある程度の損益の原因にはなっているでしょう。

回数券とは一般的に3ヶ月間有効で10枚分の価格で11枚、1枚おまけで付いてくるという割引切符です。

3ヶ月間に同じ運賃区間(JRでは同じ駅間)を11回以上利用しなければ失効し、得にならないという乗車券です。

3ヶ月間に11回利用(最低でも10回)するか否かは絶妙な基準で、遠いところへのお出かけを3ヶ月間に6回もするかといえば、しないだろうし、通勤の人は定期券を買った方がお得です。

そのような問題(?)を解決する為に存在するのが金券屋です。

街中で「東京新大阪13000円!!」という看板を見た事はありますか?あの類のお店には回数乗車券をバラ売りしています。

要はあの類の店は3ヶ月間に11回も乗らないよと言う人の代わりに店が購入してみんなでバラバラで使いましょうというものです。

これなら利用者は乗る度に金券屋で切符を買えばいいだけなので、有効期限を気にする必要もありません。(ちなみに金券屋は違法ではありません)

しかしこれは鉄道会社からしてみればどうなのでしょう??確かに回数券の発売量は増えますが、普通運賃で乗っていたお客さんを見逃している事になります。

11枚の切符をバラバラにできる事によって、多少なりとも損をしている鉄道会社。回数券を廃止、又は1枚のカード制にする一つの要因になっていると言えます。

改札機の切符利用のコスト

日本の自動改札機というのは大変素晴らしく、改札機に磁気の切符を3枚突っ込んでそれぞれ別々に読み取り、吐き出される(しかも向きを揃えて)という優れものです。

しかしながら、それを導入するにも整備するにも多額の費用がかかります。切符を素早く読み取る改札機は超精密機器です。

もしも、洪水が発生し改札機が水没したら、それはもう使えません。そんな高い物を何個も何個も導入する事は鉄道会社にとって大きな運営コストです。

回数券はお得で、一定の利用者が存在します。便利なICカードを使わず、未だに回数券を使用する利用者は安いから利用しています。

鉄道会社はこの状況を打破する為に回数券を廃止する、という要因もあるでしょう。

回数券廃止で乗客離れしない??

実際問題、公共インフラである鉄道が少し値上げしたくらいで、使われなくなるという事はあまりないと思いますが、関西なら阪急を使うかJRか、はたまた京阪かと言う状況においては回数券を廃止する事で他の鉄道会社にお客さんが流れていくかもしれません。

しかしその減った収入分より多くのコストカットが出来るというのが鉄道会社の思惑でしょう。

・減る収入
回数券廃止で事実上の運賃値上げによる客離れ

・減るコスト
改札機や券売機の削減、切符の紙代削減、回数券バラ売り廃止による運賃収入の増加

廃止だけじゃない、ICカードポイント制度

鉄道会社は回数券をただ単に廃止するわけではありません。

磁気改札機を削減しIC専用改札機に置き換える事が鉄道会社の思惑ですから、ICカードの利用促進を図らなければなりません。

京阪電車(JRは一昨年から)ではICOCAポイントを導入し、1ヶ月に同一運賃区間を11回以上利用すると11回目以降の乗車で運賃の10%のポイントが貯まるというサービスです。

1000円区間をひと月に11回以上利用すると11回目からは100ポイント貯まると言うわけです。

回数券に比べると割引率はあまり芳しくなく、期限も1ヶ月で前ほどの魅力はありませんが、多く利用する人にはお得と言えばお得な制度です。
利用者側のメリットは何よりも普通に電車に乗るだけで利用登録さえすれば、ポイントが貯まるという事です。

まとめ

鉄道会社が回数券を廃止していく理由が少しは分かりましたでしょうか?少しでもお分かりになれば幸いです。

普段からこんな事ばかり考えているのですが、興味がある方は是非フォローをお願いします!では。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?