関西空港が年々海に沈んでいる件
関西空港とは
関西国際空港は既存の大阪国際空港(以下伊丹空港)に加えて、関西を支える空港として構想されました。伊丹空港は住宅密集地の中に位置しており、騒音による離着陸の時間規制も厳しく、これから増える想定の航空需要に対応できなくなる恐れがあるとして「関西第二空港」と言う建設計画が打ち出されました。
関西空港は伊丹空港の地域住民への騒音による離着陸の規制を踏まえて、大阪湾を埋め立てて陸地から5km離れた場所に埋め立てて建設すると言う世界初の完全海上空港を目指して作られました。完全海上空港のおかげで関西空港は24時間離着陸が可能な空港となり関西の経済を底から支えることが出来ています。
地盤沈下問題
関西空港のような人工島は地盤沈下に悩まされることが多いです。関西空港も例外ではありません。開港当時は年で数m単位で沈下していて、現在も数㎝単位で沈下しています。もちろん建設時に対策は行われますが、人間の対策では限界があります。そのため、地質調査の結果を元にして沈下する量を想定し、あらかじめ人工島の高さをかさ上げして建設されました。
沈下は島全体で一定ではない
島全体が同時に沈下していれば問題無しですが、同じペースで沈下しているわけではありません。これは島の場所によって建物等でかかる重さが異なっていたり、地盤の緩さにバラつきがあったりするからです。この現象を「不同沈下」と言います。
これは何もせず放置しておくと建物がひび割れ、傾き、倒壊の恐れがあり大変危険です。そのため人工島は地球のプレートのように、いくつかのパーツに分かれており、各々のパーツの下にはそれを支えるジャッキアップシステム付きの柱があります。それを利用して、各パーツの異なる沈下の足並みを揃えます。このようにして建物は水平を保ち空港を安全に運営しています。
沈下はいつかは止まる
地盤沈下は海底の柔らかい粘土と硬い粘土によって起こっています。これらはかなり多くの水分を含んでいて、柔らかい粘土は約7割、硬い粘土でも約4割の水を含んでいるそうです。水を含んだスポンジを押さえると押し出された分だけの水の体積が減りますが、それと同じで空港という非常に重い重しによって粘土は押さえつけられ、粘土から水が抜けて土の成分だけが残ります。(イラスト参照)しかしながら、粘土はスポンジと違って水を通しにくく水が抜けるのに長い長い時間がかかります。関西空港は今まさに海底の粘土をゆっくりじっくり固めていっています。
(出典:関西エアポート http://www.kansai-airports.co.jp/efforts/our-tech/kix/sink/sink2.html)
まとめ
私は関西空港の人工島に大変興味がありました。何もない海の真ん中にあんな巨大な施設を作ってしまって、沈下と言う自然の脅威に打ち勝つ人間の技術力は素晴らしいものだと思いました。人間が作ったものはすごいものばかりです。宙を飛び回る飛行機や500km/hで走行するリニアモーターカーなどがどういった仕組みで運営できているのかを調べてみるとおもしろいかも知れません。
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