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YouTubeコンテンツIDの仕組み ~誤った申し立てへの対処法~

株式会社TRACKSのクリエイターサポート部門です。

前回のnoteでは、フリーBGMを使用した動画に申し立てが発生してしまった場合に、どのような原因が考えられるのか、またどのように対応すべきかを解説しました。今回は、その中で紹介した誤った申し立ての原因と対処法について解説します。前回のnoteはこちらから是非ご確認ください!


1.第三者による不正なコンテンツID登録

発生の原因

権利者ではない第三者が、音源を自分の著作物だとしてコンテンツIDに登録した場合に発生します。

アップローダー側での見分け方

この場合、コンテンツIDに登録しているのは登録事業者や音楽配信代行サービスの場合が多く、申し立てはこれらの事業者の名前で行われるため、申し立て元の名前だけでは見分けることができません。申し立て元の音源のタイトルやアーティスト名が、動画制作時に自分が使用している音源と全く異なる場合は第三者による不正登録の可能性が高いです。

アップローダー側での対処法

対処法としては、前回のnoteの通りに異議申し立てを行い、且つ権利者(音源配布サイトやクリエイター個人)に申し立てを受けたことを連絡するのをお勧めします。音源取得元のURLや申し立て元、楽曲の名称など、できるだけ具体的な情報を提示することをお勧めします。

YouTubeでの異議申し立ては、例えば以下のような文言で、申し立てられている音源と異なることを主張すると伝わりやすくなります。

当音源は「音源サイトXXX」(https://~~~)からダウンロードしたxxxという音源であり、申し立てられている音源YYYとは異なります。再度ご確認のほどよろしくお願いいたします。

また権利者への連絡についても、権利者に状況が分かるように伝えるのがお勧めです。

今回、「音源サイトXXX」(https://~~~)からダウンロードしたxxxという音源を使用し、YouTubeにこのような動画(https://~~)をアップロードしたところ、aaa(申し立て元の名前)からbbbという楽曲名で申し立てを受けましたので、YouTubeより異議申し立てを行いました。状況をご確認いただけますと幸いです。

登録事業者である弊社で取っている対応

弊社で管理している音源が、第三者によってコンテンツIDに不正登録された場合の対応についても紹介します。第三者が不正に音源を登録したことが判った場合、弊社からコンテンツIDのシステム上で権利主張をしつつ、音源の権利者に連絡して不正登録の情報を伝え、YouTube外での対処をサポートします。

2.YouTube側の問題

発生の原因

YouTubeのシステム上の問題により、コンテンツIDに登録されている音源と似た音源を申し立ててしまうことにより発生します。

アップローダー側での見分け方

見分け方は不正登録の場合と同じく、自身が使用している音源と申し立てられている音源の名前が異なるか否かで、誤った申し立てかを見分けることができます。ただし、その誤った申し立てが不正登録によるものか、YouTube側の問題によるものかを見分けることはできません。

アップローダー側での対処法

対処法は不正登録の場合と同じく、異議申し立てと権利者への連絡をお勧めします。

登録事業者である弊社で取っている対応

このようなYouTube側の問題による誤った申し立てが、弊社が管理している音源で発生したことが判った場合、申し立ての取り下げを行っています。

3.海外の著作権管理団体による不正申し立て

発生の原因

海外の著作権管理団体が、管理対象ではない楽曲についてコンテンツIDの登録をしている場合があります(※)。これらの著作権管理団体は、それぞれの国のルールや団体の運用に従ってコンテンツIDの登録をしているようです。しかしフリーBGMは著作権管理団体に著作権を管理させておらず、著作権者自身が管理している楽曲ですので、このような海外の著作権管理団体の対応は不正だと弊社では考えています。
※詳細は以前のnote「YouTubeコンテンツIDの仕組み ~音楽の申し立てと収益~」の「メロディによる申し立て」に記載している「(おまけ)様々な著作権者」をぜひご確認ください。

アップローダ側での見分け方

申し立て元が複数並んでいる場合、特に以下の団体名が列記されている場合は、海外の著作権管理団体から申し立てが発生している可能性があります。
・ASCAP    アメリカの音楽著作権管理団体
・SOCAN      カナダの音楽著作権管理団体
・ECAD_CS    ブラジルの音楽著作権管理団体
・MUST_CS    台湾の音楽著作権管理団体
・SACEM    フランスの音楽著作権管理団体
・PEDL     ヨーロッパの音楽著作権許諾専門組織
・Muserk Rights Management    アメリカの音楽著作権管理会社
・Warner Chappell   世界的な音楽出版社
・Sony Music Publishing   世界的な音楽出版社
フリーBGMを使用しているのにこのような団体から申し立てられた場合、誤った申し立てだと見分けることができます。

アップローダー側での対処法

対処法としては、前回のnoteの通りに異議申し立てを行うことになりますが、それ以上の対処は非常に難しい状態になります。

登録事業者である弊社で取っている対応

弊社で管理している音源に関しては、このような団体が勝手に権利を付与しているものには弊社も権利を付与し、申し立てを順次取り下げていく処理を行っています。もしフリーBGMを使用した場合で、これらの団体名に加えて「TRACKS Inc. (Publishing)」という名前が入っていた場合、1、2日ほど時間をおけば勝手に申し立てが取り下げられるようになっています。ただ数日待っても取り下げられない場合は、弊社の問い合わせ窓口からご連絡をお願いいたします。

おわりに

今回は誤った申し立ての発生原因と対処法について解説しました。このような誤った申し立ては全てが悪意のあるものではなく、同じ素材を使って音源を制作していたなど仕方のないものもあります。落ち着いて申し立て内容を確認し、異議申し立てや権利者への連絡の際には正確に事実を伝えることが、いち早く申し立てを解決するために重要です。もし自身の動画で申し立てが発生した際には、前回のnoteも合わせて参考にしていただけますと幸いです!


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