見出し画像

【会報第12号】2021年12月1日発行

一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 第12号
2021年(令和3年)12月1日発行
編集:TPS編集委員会

世代を超えた討論集会を開催します 
ストップ!気候危機 どうする?所沢のゼロカーボン

 所沢市民ソーラーは「所沢のあすを考える市民フォーラム」、「地球環境に学ぶサークル」と共に、市の「マチごとエコタウン推進課」の後援を得ながら、「ストップ!気候危機、どうする?所沢のゼロカーボン」のタイトルの下に、討論集会(パネルディスカッション方式)を開催しよう! と呼びかけています。
 今回の討論集会は「ゼロカーボンシティ」って何なの?「気候変動危機」って何なの? そして2030 年、2050年に向かってめざす「所沢市のまちや市民生活はどんな姿」になるの?について、市民同士で話し合い、理解しあう場にしたいと考えています。そのうえで「今を生きる私たち市民はなぜ、何を、どのように行動すべきなのか」について共通の理解ができれば最善と考えています。もちろん今回だけでなく、何回か集会を重ねることによって市民同士の共通理解=市民合意が得られると確信しております。まず、今回の集会では各世代の皆さんの立場からご意見を発信していただき、会場からは様々な立場からの発言を交えながら、活発な議論になることを期待しています。(品川昭TPS 代表理事・談)

討論集会のアウトライン

日時:2021 年12 月5 日(日)13:30~16:30(13:20 開場)
会場:新所沢公民館 学習室5・6 号室
定員:42 名(84 名の会場ですが、半数の定員です)
(参加申込み:大江まで hiohye@gmail.com)
主催:上記前出の3 団体 後援 所沢市
プログラム:6名のスピーカーによるスピーチと短い質疑、およびパネルディスカッションとフロアとの質疑

スピーカー&パネリスト(順不同)
①Z 世代環境活動家 小出愛菜氏
②幼児ママ 上田マリノ氏
③シニア世代 品川昭氏(TPS 代表理事)
④事業者 須長雅和氏(生活クラブ生協専務理事)
⑤所沢市議 末吉美帆子氏
⑥所沢市 宮崎一氏(マチごとエコタウン推進課)

・・・

TOPICS エネルギー基本計画について 
TPS監事 河登一郎

■菅前首相が2020年10月に「2030年までにCO2排出量を46%削減し、2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする」と宣言;岸田首相も選挙のさなかにグラスゴーに飛んで数時間の滞在で菅前首相の宣言を繰返し、100億ドルの融資を提案しました。しかし、日本が石炭火力を温存する方針は周知の事実なので、翌日「化石賞」という屈辱的な賞を授与されてしまいました。日本の環境政策の遅れは世界の嘲笑の的です。

■具体的に「エネルギー基本計画」を比較してみましょう。頁下の表をご覧下さい。(各種資料より作成)

■解説します。
1)石炭火力:石炭はCO2排出量が多く、最新設備でも天然ガスの約2倍も出ます。そんな石炭火力が日本にはまだ160基以上もあり(!)、計画/建設中が10基もあります(!!)。政府は水素やアンモニアを使ってCO2排出量を減らすと云っていますが、開発には金がかかり、効果も限定的です。
2)原発:政府は「原発新設」とは書いていませんが、建設中/60年運転が入っています。原発は稼働中こそCO2は排出しませんが、炭鉱・開発・輸送・精製・廃棄の全工程では大量に排出します。
3)再生可能エネルギー:2020 年には既に20%に達しています。現在は「東電を救う」為に「容量市場」「非化石価値取引市場」「ベースロード市場」など(1)で市場を歪め、再生可能エネルギーへの配慮は不足しています。明日香壽川教授たちの積み上げでは(2)、2030年には50%;2050年には100%実現可能な目標です。原価はタダ:外貨流出ゼロ;原発/石炭火力の失業者を上回る雇用も生まれ、GDPも上昇します。
4)重要な問題は、政府が「民の意見を聞かない」ことです。形式的にはパブリックコメントを募集して民の意見を聞くような形は取っていますが、全く無視してMETI 案のまま「閣議決定」してしまいました。重要な政策を決める際の「委員会」「審議会」の委員は政府が委嘱する「ご用学者」「業界代表」が圧倒的で「利権」が絡みます。反対派は常に少数派。多数派の意見で決まります。
(1)容量市場などの用語説明はスペースの関係で割愛。
(2)未来のためのエネルギー転換研究グループ『レポート2030:グリーンリカバリーと2050年カーボン・ニュートラルを実現する2030年までのロードマップ』(https://greenrecovery-japan.org/#2)など

・・・

カーボンニュートラル50に向けて 小田原市の取組みを参考にしながら(完)~地域の再エネをどのように進めるべきか~ 
TPS理事 栗田 彰

図3「神奈川県小田原市における再生可能エネルギーを活用した 地域マイクログリッド構築事業に関する採択について」KYOCERA

 近い将来、多数のソーラー発電事業者が地域送電網に参入してくることで特有の問題が起きます。それは、地域で発電する電気を柔軟に束ねて安定
的に配電したり、需給の調整をしたりする機構が必要になることです。所沢市でも早急にこうした総合的な再エネ構想が必要ではないでしょうか。
 詳細をみてみましょう。地域内の連携はつぎのようになっています。「京セラ」は、太陽光パネル、蓄電池の導入と運用、需給バランス、電圧・周波数安定化オペレーションにより全体の取りまとめを担っています。「A.L.I.」は、需給バランス機能の提供(調整力ユニット)およびREM(地域エネルギーマネジメント)の導入とブロックチェーン技術を活用した再生可能エネルギーの共有モデル(スマートメーターのブロックチェーン・ノード化によるデータの利活用)を構築します。「REXEV」は、EV(電気自動車)による調整力機能の提供とそれを支える基盤としてのEV エネルギー・マネジメントシステム(EVEM)の構築をし、非常時における動的な電源・調整力としても機能します。「湘南電力」は、小売りとして地域内への電力供給をし、平常時における電力の需給管理や調整を行います。「小田原市」は全体のコーディネートの役割を担い、エネルギー施策、取り組みの周知、発信を行います。

・・・

TPS 第3期決算・社員総会のお知らせ


当社の第3期(2020 年11月1日~2021年10月31日)が終了しました。
つきましては第3期決算報告等の審議のため下記要領にて社員総会を開催い
たしますので、お知らせいたします。

日時:2021年12月22日(水)午後5時30分より
場所:新所沢東公民館 研修室
議案:第3期事業活動報告、会計決算報告、監査報告、第4期事業計画、損益計画、他
総会出席者:有社員資格者の13名になります。
*コロナ禍の下、正会員、サポート会員、基金拠出者、建設資金協力者の方は、総会には出席できませんが、事前に総会議案書を送付しますので、ご意見、ご要望等を頂ければ幸甚です。

・・・

当社の法人英語名をTokorozawa People‘s Solar Power Associationとしました。
和名の「一般社団法人所沢市民ソーラー」という堅苦しい名前から「自由闊達で自律的に運営される組織」の意味合いを持つ、Association としました。今後ともこのマインドを持って日々進化してゆきたいと考えています。(品川昭代表・談)

・・・

森林活用のすすめ:持続可能な社会づくりのために(5) TPS理事 吉野 雅一

 近年森林活用を推進するために、建築基準法の改正など大規模木造建築が許可されるようになりました。木材を建築に多量に使用するメリットには
大きく3つがあります。先ず木材活用で、温暖化効果ガスであるCO2を建築素材として長期間固定化出来ることです。木材は樹種に依り比重の違いがありますが、炭素含有量は重量比で全て50%です。杉の場合1㎥中に約240kg の炭素が含まれます。
 一般的な木造戸建て住宅では木材使用量が約24㎥位ですから、約5t位の固定化になります。大規模になれば柱梁などの部材が大きくなり面積当たりの木材使用量が増えますので、大きな数量でCO2の固定化が図れます。
 近年ではCLT構造(木材の繊維方向を直交させて積層貼り合せた構造材)が発明され、EUを発端に先進国では木造による中高層建築が建てられるよう
になってきました。日本もこの時代変遷に合わせて法令改正が行われた訳です。

西川杉のCLTで建て直された飯能商工会議所

 2つ目に木材は断熱性能に優れている点で、前回の記事で触れた通りです。特に窓枠やドアは外気との接点でその効果が発揮できる箇所に当たり、EUでは木製サッシが一番多く採用されています。高温多湿な我が国の気候風土では耐久性に問題を生じますが、比較的乾燥している国でも似た傾向はあり、木材の処理方法にホウ酸を使用することで多くの先進国では虫食害や腐食に対する耐久性を上げています。我が国は利権でその方法の普及が阻害されてきた経緯があります。
 先に挙げたCLT構造は構造材そのものに断熱性能があり、冬は暖かく、夏は涼しい空間づくりにも優れています。

「森林資源の循環利用を担う木材産業」林野庁資料より

 3つ目に建築など木材のマテリアル利用が促進されると、同時にC材や端材などが同時に多く産出されますから、これを無駄なくバイオマスエネルギー利用に回すという経済循環が生まれます。更に森林は新しく植林され、新たな森林がCO2を多く吸収される活性化された森に再生して、温暖化防止等の環境保全も活性化されます。木質バイオマス利用とマテリアル利用はバランス良く同時に活性化しなくてはならず、現在林業が衰退して国産材の利用が低迷している点が現在の課題となっています。
 中世の浮世絵にある山の多くは禿山が多いように、元の自然な山には木々が豊かに生えていた訳ではありません。先人達が苦労して山を豊かな森林に育成した国であり、木材資源が豊富にあるのに、それを生かして資源エネルギーの内製経済循環を活性出来ないのは残念な状況なのです。(つづく)

・・・

おもしろエコのあれこれ 
TPS理事 村上大名

◇ダイナさんちのエコ お布団で温かく過ごすには
 だんだん気温が下がってきて寒くなってきましたね。うちはお布団で寝ているのですが、寒い日は床側がなんとなく冷えます。以前は電気毛布を使っていましたが、エコじゃないですよね。本当は床断熱を行えばいいのですが、お金や時間もかかるのですぐにはできません。そこで本日ご紹介したいのが断熱マットです。断熱マットとは発泡スチロールのような断熱材にアルミシートを張り付けたものです。発泡スチロールの厚さは8~15mm程度で厚いほど断熱性能が上がり、寒くなくなります。
 うちでは電気カーペットの下にひくために15mmの断熱マットを買ったのですが、段差が気になったので、寝るときに布団の下に断熱マットを敷くことにしました。畳を通して逃げる熱がなくなったので、あったかくなりまるで電気毛布をしているようです。敷くようになってから電気毛布を使うことはなくなりました。みなさんも就寝時の寒さに困っているなら試してみては!?

◇用語解説 COPってなあに COP26を終えて
 COPとはConference of Partiesの略で、広く「締約国会議」という意味です。簡単に言うと条約を結んでいる国々が行う会議のことです。様々な条約のCOPがありますが、一番有名なのは1992年の地球サミットで採択された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における締約国会議でしょう。この条約の目的は、大気中の温室効果ガス濃度を安定させることで、COPは温室効果ガス排出削減等の国際的枠組みを協議する最高意思決定機関を意味します。COPはほぼ毎年開かれ、今回のイギリスでの開催は26回目なのでCOP26といいます。
 今回のCOP26では平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することになりました。6年前に採択されたパリ協定(COP21)では気温上昇を2度未満に
保ち、1.5度は努力目標とされていましたが、今回1.5度に抑えることが世界の新たな共通目標となりました。また、発展途上国が行う対策への支援として先進国が資金をもっと拠出すること。それに「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な削減の努力を加速する」という文言が入りました。COPにおいて個別の対策に言及するのは異例ですが、気候変動を止めるためには石炭火力発電はCO2排出量が多いので対策が不可欠です。私たちも世界のみんなとともに脱炭素社会の実現に向けて歩んでいきましょう。


COP26 の開催地、英国グラスゴーで、より積極的な行動を求めて、大規模なデモの様子
BBC NEWS/Japan https://www.bbc.com/japanese/59195322

(参考文献)
サステナブルジャパン COP(COP21):
https://sustainablejapan.jp/2015/08/18/cop/18143
SDGs Action:
https://www.asahi.com/sdgs/article/14472373
COP26 閉幕 気温上昇1.5℃に抑制「努力追求」成果文書採択:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211114/k10013347341000.html

・・・

気候危機を止めるための最初の一歩!~再エネ応援ファンドの意義 
TPS理事・GPP取締役 大島浩司

■気候危機を止めるための最初の一歩!
 「RE100」再エネ100%を目指す企業が増えつつありますが、古い水力ダム発電所等の「非化石証書」を買って再エネ100%にしても、実は1gのCO2も減らしてはいません。なぜなら、そのダム水力発電所は昔からそこにあり、昔からCO2は発生させていないからです。その電気を買っても、代わりにどこかの化石燃料発電所が止まることになりません。化石燃料を止めるには、「新しい発電所」を作ることが重要なのです。
■気候危機は待ってはくれない
 再エネ発電所を建設するには、金融機関融資や社債などで多額のお金を必要とします。さらに、再エネ普及を助けてきたFIT 制度は、買取り価格が市場価格並みになり、事業メリットがなくなりました。この状況では、気候危機を目の前にして、再エネが足踏みし、危機回避できず、世界は後戻りできない温暖化地獄に進んでしまうかもしれません。
■「再エネ応援ファンド」とは?
 そこで再エネ発電事業者を応援しようと考えました。発電所設置費用をちょっと応援することで事業メリットが復活し、発電所開発は進みます。そのちょっとの応援が「再エネ応援ファンド」です。集まった資金を「無利子無担保貸付」として活用。貸付期間を10年以上に設定して金融機関融資等を返した後にゆっくり返してもらいます。補助金のような性格ですが、あげてしまうわけではないので、戻ってきます。
■返礼品は、再エネ発電所が増えて気候危機突破を実現すること
 完全に寄付型で返礼も利息も元本返済もありません。お返しは、子どもたちの未来です。どうかご協力をお願いします。

参考:GPP再エネ応援ファンド 募集要項
https://forms.gle/T2aKky12iYQBX7ML8
・1000 円からできる気候危機回避への道。あなたも参加できます。
・GPP 再エネ応援ファンド始まっています。
・再エネ応援ファンドは市民発の太陽光発電事業の資金を支援します。

・・・

9・10 月の発電量実績 
TPS理事 栗田 彰

《コメント》9月は悪天候のため5,000円ほど予想を下回りました。10月は7,000円強上回ったので差引はプラスです。今期全体の実収入は予想値を4.5万円ほど上回りました。今期も順調な推移だったと言えます。

・・・

日本丸ごと世界遺産! 
TPS理事 山本 治

 横浜の市長選ではカジノ反対派の候補者が現職の推進候補に勝ちました。他の推進派の都市は未だカジノに固執しています。日本へのインバウンド客は日本を楽しむために来ているのです。
 日本には見るもの、楽しむものが満載です。日本の歴史と、それを裏付ける歴史的な寺社などの建造物、彫像物、精緻を凝らした陶磁器や漆器、蒔絵などの作品、そして能・狂言・歌舞伎などの古典芸能等があります。
 自然では春の桜、秋の紅葉と四季折々の季節、富士山を代表とする山々と滝などの景色は目を見張るものです。加えて火山列島だからこその各地に無数にある硫
黄系、アルカリ系など種類も豊富な温泉、そして地域に根差した大小の様々な祭りもあります。食べ物でも日本酒を含め、日本の寿司、天ぷらを代表する和食が喜ばれています。
 この度、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に認定されました。日本には25の多彩な世界遺産があり、自然遺産5カ所、文化遺産20カ所があります。最北の知床から最南端の沖縄・琉球王国関連遺産に至るまで、広島の原爆ドームも含まれています。ですから丸ごと日本の国自体が世界遺産に値すると思いますが?国全体が世界遺産となれば核兵器と軍備は不似合い、軍事費も不要です。
 毎年発生する自然災害 台風・津波・地震・直近の感染症により多くの人が被災し、生活が脅かされています。そのためにお金を使うべきです。「人々の生命を守ることが最優先」。

・・・

ソーラーシェアリング2号機の建設をめざして、小麦の種まき作業のお手伝い 
TPS代表理事 品川 昭

 当社は山宇農園発電所(所沢市中富)に続いて、来年秋発電開始に向けて、ソーラーシェアリング2 号機の物件に取り掛かっています。場所は市内南永井の村上三郎氏の約1000㎡の畑です。11月10日(木)午後、約600㎡の畑に村上さんのご指導のもと、市民ソーラー理事社員8名が小麦の種まき作業のお手伝いをしました。

 種まきは東西に30mの紐を張り、それに沿って溝を掘り、その溝に種をまいてゆきます。80cm間隔で順次紐張り、溝堀、種まきの要領で30段行いました。全く初めての農作業でしたが約2時間で終えることができました。1月頃麦踏み、春には雑草取りなどの作業をして、来年6月の収穫をめざしています。収穫された小麦はうどんに加工し福祉施設等で利用されることを計画しています。

・・・

TPS往来

 NPO 法人埼玉エコ・リサイクル連絡会の大前万寿美副会長、宮田尚美事務局長、佐藤正和理事の3名が、11月9日(火)、当社山宇農園発電所などを研修見学に訪れました。当日はあいにくの冷たい雨天でしたが、当社の品川代表、河登監事、中原副会長、大島理事、吉野理事、大江理事、そして山宇農園主人の山﨑理事と奥様が立ち会いました。この見学会は、緊急自粛宣言で延期されていたのがようやく実現の運びとなったものです。一行は太陽光発電やソーラーシェアリングのみならず食やエコにも関心が高く熱心な質疑を交わしました。
 一行は山宇農園発電所見学の後、マチごとエコタウン推進課の石川主任の案内で、TPSのメンバーも同行して、西武アグリの大規模ソーラーシェアリング、所沢市の北野のメガソーラー、松ヶ丘フロートソーラーを見学しました。(HO)

一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 (略称TPS会報)
第12号 2021年(令和3年)12月1日発行
編集:TPS 編集委員会 発行責任者:品川 昭
連絡先e-mail : tokorozawa.shimin.solar@gmail.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?