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大阪のこと。

何にも悲しいことなんてないのに泣きそうになりながら雨の大阪を歩いた。誰の事も救えない私だけど、自分のことだけは救ってあげたくて、誰も私のことを知らない街で誰でもない私になりたくて大阪まで行ったのに。

ずっと行きたかったチャイのお店に行って、ジンジャーとカルダモンのチャイを飲んだ。本当にこんなところに?と思うような場所にお店があって驚いたけど、暖かい光とストーブの熱と、ほんの少しのチャイの香りで、胸を撫で下ろした。知らない所を歩くのは好きだけれど、雨の中みんな傘をさして俯き気味に早歩きをしている中、地図を見ながらゆっくり歩くのは私だけが違う場所に放り込まれような気がしていた。私が泣きたい理由はそれだったのだと知った。気さくな店主さんが「あの〜バズってるやつね〜〜!インスタグラム、フォローしてくれると嬉しいです」「またお願いしますね〜〜!」ってニコニコしてくれたので、何でも良くなった。大阪に来て良かった、と思った。

魚の泳ぐレストランで魚を食べながら、男と女の話をした。男と女というのは複雑だった、もう会わないと決めた好きな人の話、もう会わなくなるかもしれない男の話をした。「女の心なんて秋の空だから」そういうところが好きだと思った、女の心が移り変わりやすいことを、秋の空だから、なんて言いますか?私は秋の空という言葉を覚えました。可愛い可愛いという感情は恋になり得るか?という話もした。母性って言われた、母性で生きているような人の、優しくて穏やかな言葉を授かった。
「困ったときはアイスクリームを買う、ラクトアイスではなくて」これもまた、私はあなたのそういうところが好き、と思った。アイスクリームを2人で食べた、美味しいお酒を飲んだ後のアイスクリームは、格段に美味しい。

カプセルホテル、秘密基地みたいでいいなって寝るまでは思っていたけど、寝心地がコンクリートみたいだったので、もう使わないと決めた。

「10時半に心斎橋駅で」なんて言ったものの、心斎橋駅なんて見た事も行ったことなかったので、早めにホテルを出た。前日の雨が嘘かのように晴れていたし、暖かった。緊張で喉が渇いたのでスターバックスで、ムースフォームキャラメルマキアートを飲んだ。大事な事の前にいつも決まって、それを飲む。ダメになる前にはキャラメルスチーマー、これを教えてくれた、ずっとずっとお話ししてみたかった大好きな人と、大阪を歩いた。春みたいな人だな、と思った。通天閣に登り、天王寺公園の酸っぱい珈琲を一緒に飲みながら、恋の話をした。「一寸先は恋」とても良い言葉を頂いたと思う。とても良い。「私の文章変わったよね」って言っていたけれど、私はどんな文章を書いてもあなたのこと変わらず好きですって言い忘れてしまった。2年以上前からずっとずっと好きだった人、お会いしたかった人、お話ししてみたかった人と、お茶をすることが出来て、好きな作家の話、夢中になっている男の話を聞けて、ずっと聞きたかった、坂の多い街が好きな理由を知れて、大阪で一番良い時間を過ごした自信がある。

大阪のこと、ずっと好きだったけど、この二日間で、かなり大阪を好きになってしまった。
近鉄に乗りたいので、次は電車で、大阪に行きます。私は大阪が好きなので。

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