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好きな人となら。

好きな人の隣にいられたら、こんなダメな私でも最高だった、息をするように嘘を重ねたあの時間の中で、その事だけは事実だった 最低で最悪な好きな人の隣で私は、最高になっていた。

好きな人との事を終わらせて、1ヶ月が経った。この1ヶ月で俗に言う上書き保存を重ねて重ねるつもりだった 実際顔のいい男と飲み会で手を繋いで寝たり、可愛い可愛いとくっついて映画を見たり、自分の中で「好きな人」という存在が薄れるような場面は沢山あった。こうやって好きな人のこと、忘れていくんだな、と思った瞬間もあった。ふとした時に匂いを思い出したり、私を呼ぶ声を思い出したりすることも減った。
そんな上書き保存を重ねる中で、これから急に成長するかもしれない、これからが楽しみな恋の入り口に立った それは即ち出口でもあったけれど。一寸先は恋と思って、恋に片足を突っ込んだものの、結局すぐに引き戻されてしまった。あれは恋じゃなかった。恋の入り口ではあったのかもしれないけれど あの心の躍り方は、恋に限りなく近いものであったはずなのに。

好きな人の近況を、なにも知らないまま1ヶ月を過ごして、このままゆっくり自分のペースで『好きな人』を『好きだった人』にしようと意気込んできたわけだけれど、好きな人のこと一瞬でも目にしてしまうと、好きな人について何か耳に入ると、私はすぐに好きな人の事で頭がいっぱいになってしまう 恋でいっぱいになる なにもうまくいかなくなる その度に、好きな人の2番目や3番目の女になる事よりも、もう二度と会えない事、抱きしめてもらえない事、名前を呼んでもらえない事の方がしんどい ということを自覚してしまう。私が今感じている、寂しさとか心の穴とか、そういうの全部好きな人となら、と思ってしまう。
自分の寂しさを埋められるのも、自分の機嫌を取るのも、全部自分しかいなくて、自分のために生きる、という事を、好きな人とのことになると忘れてしまう 赤の他人に自分の人生を任せようとしてしまう、私の人生は私だけのものなのに、自分の人生を他人任せに生きようとしてしまう。

こんな弱い私だから、と思いながら、自分を律して強くあろうとしている 自分の意志で自分の人生を拓いていける女であろうとしている。私の周りで、大切な人間たちが暖をとれるような存在であろうとしている。自分の弱さをどうにかしなくては、と日々闘ってる

でも、こんな私でも、好きな男の横で眠ることくらい許されたいよ

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