恋を終わらせた話


頭の中に言葉が溢れて止まらない時が私にはあって、今がそう。

私は先日、恋を終わらせてきたんだけど、本当に本当に私と好きな人とのこと、私は大切に思っていて、それはずっとずっと変わらないと思う。私と好きな人は、元々大学の先輩と後輩、という関係で、私が入学したてのとき「ねえねえ、野球部のマネージャーやらん?」って声をかけられたのが全部のはじまりだった。その時、紺色のラルフローレンのTシャツを着て、黒い帽子を被ってたこと、笑顔が輝いてたこと、かっこいい人だなと思ったこと、隣に彼女がいたこと、何もかも覚えてる。「私、初めて見た時から好きな人のことかっこいいと思ってたよ」って言った私に「俺もぽぽが可愛かったから、声掛けたんよ、正直マネージャーとかはやってくれんでもよかった、仲良くなりたかっただけやねん(笑)」って好きな人は言った。好きな人は、そういう、私が言われて嬉しい言葉、でも大して思ってもない言葉を口に出すのが上手だった。ずっとずっと。

大学ですれ違って挨拶をするだけの仲だった私と好きな人。私が大学2年生、好きな人が3年生になった5月、駐車場に止めた車の中で待ち合わせをしていた友達と連絡を取り合っていると、好きな人がたまたま歩いてきて、いつも通り挨拶をすると、「なあなあ、ぽぽちゃんバイト探してたりしやん?インスタ教えてや〜〜!」って慣れた手つきでインスタのQRコードを見せてきた好きな人、ずっと憧れでかっこいいと思っていた人と、インスタを交換できた事が嬉しくて、その日中に「そういえばバイト先なんてところでしたっけ?」ってDMしたのを覚えてる。そこから定期的に連絡を取り合うようになり、6月の初め、好きな人が初めて私のお家に来た。飲み会までの間の時間暇だからぽぽちゃんち行くわ、みたいな理由だったと思う。「しまった、シンデレラ録画してき忘れた」と言う好きな人に「うちのテレビでしといたらいいよ、また見にきてね」ってシンデレラを録画した、今となってはもう一緒に見る事はないのに、その時録画したシンデレラは、まだ消せない。彼女がいる男の腕の中で、一緒にYouTubeを見た。幸せで顔を手で覆った。全部どうにでもなれ、って生まれてはじめて思った。今この時間が止まるなら何でもいいって心から思った。

そこから連絡すれば会いにきてくれて、一緒にYouTubeを見たり、八つ橋を食べたり、お酒を飲んだりした。いろんな時間を、この8ヶ月間で過ごした。好きな男と1日を終えて、好きな男と1日が始まる。朝起きたら好きな男が横に寝てる、その時だけは私だけの好きな人。そう思える事が本当に幸せで、一つも忘れたくないこと。

「ぽぽちゃん、ほんまかわええな〜〜」「ぽぽ?本気になるで?」「今日が終わらなければええのにな」「終わりたくないな」「なあ、また泊まりにきてもええ?」「ぽぽ〜、こっちおいで」好きな人に言われた一つ一つを全部全部覚えていたい。忘れたくない。

バレンタインを渡すときにお手紙を添えたんだけど、そこには「これからも一番仲良しで、大好きな先輩でいてねーっ!だーいすき!」って書いた。私の精一杯だった。覚悟だった。もう二度と、好きな人と2人で会ったり恋人のような時間を過ごしたりしない、っていう決心だった。普段とは違う髪型をした私に対して「髪変えた?いつもそんなんだっけ?」って些細な変化に気付ける好きな人のことが大好きで、好きな人がよくて好きな人が欲しくて仕方がないけど、私は恋を終わらせた。

でも戻れるなら、ぽぽではなくぽぽちゃんって呼ばれてた頃、会いに来てくれていた頃、腕の中で眠ることが許されていた頃に戻ることが出来るなら、絶対に一つも取り溢すことなく覚えているし、忘れないように大事に大事にするのにな、

好きな人とのこと、一つも忘れたくない。

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