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【エッセイ】0歳の娘の目線になってみると家の中でかわいい小動物が見えた

最近ずりばいを始めた0歳7ヶ月の娘がはまっているのが、母のスリッパである。

リビングのカーペットがあるゾーンや畳の部分にあがるときに脱ぎ散らかしたスリッパを、気がつけば両手に持って楽しげに見つめている。
床を歩くものなのでもちろん清潔ではなく、急いで取り上げるのだが、何度も何度もすきあらばスリッパを探している。

特にキャラクターがプリントされたりしている訳ではない、シンプルで退屈なスリッパなのだが、どうしてこんなに娘から愛されているのだろうな?と思っていたある日。

色んなことに疲れて、カーペットのエリアで娘の隣でごろんと横になっていた。
そこに、色違いの、同じく退屈なスリッパを履いた夫が仕事半ばの休憩にコーヒーを入れにやってきた。

腹ばいをする娘と同じ姿勢で、ぺたぺたと音のする夫の足元に目が行った。

すると、ぺたぺたと、色んな方向に、不規則にかじを切るスリッパが見えた。
たまに黒くなった裏側が見えたり、スリッパのつま先からのぞく足がぴこぴこ動いたりしていて、
それは少しだけ可愛らしい何かの小動物のように見えた。

なるほど。スリッパって、ここから見るとこんなにかわいく見えるんだ。
普段は自分より早く動くこの小動物が、たまにカーペットの前でちょこんと静止していると、思わず触りに行ってしまう娘の気持ちが少し分かった気がした。

なるほど〜と納得している母の隣で、娘は小動物を狙う獣のように、息を荒くして夫のスリッパをめがけてずりばいを始めていた。

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