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超短編小説『ナンセンス劇場』061

【めそめそすんな】

「いつまでもめそめそしてないで早くお風呂に入っちゃいなさい」
「はーい」

「まだめそめそしてたのか。もういいかげん寝ろ。電気消すぞ」
「はーい」

「そんなにめそめそすんなって。明日めそめそ買って来てやるから」
「ホントに!? やったー!」

今子供達の間でゲームソフト『めそめそ』が大流行している。


【友達とは】

「ああ・・・頭痛が痛てぇ・・・」

「おいおい、マジかよ、いまだにそんな古典的な間違いを言うやつがいるのかよ。
頭痛が痛いなんて今どき小学生でも言わないぞ。
お前ならタクシーに乗ったとき、そこの角、右に右折してなんて言っちゃうんじゃないの?
もうちょっと国語の勉強しろよ。
ちょっと見た目がいいからってそんなんじゃ・・・」

「村田君! 竹内君がこんなに具合悪そうにしてるっていうのに、何1人でベラベラ喋ってるのよ!
竹内君、こんな薄情な人ほっといて私と保健室いきましょう」

「あ、いや、その・・・」

村田は悲しそうな目で教室を出て行く2人の後姿を見つめていた。


【抱き枕】

昼休み、マサシが弁当を食べていると女子の会話が聞こえてきた。

「最近肩が凝って辛いんだよねぇ」
「枕合ってないんじゃない?」
「多分そうだと思う。もう少し低めの枕にしてみようかな」
「私は抱き枕で寝てるよ」
「あ~、それもいいかも」

(シオリちゃん、抱き枕で寝てるのか~)
聞き耳を立てていたマサシはシオリの寝姿を想像して鼻の下を伸ばした。

その夜、女子プロレスラーを目指しているシオリは人型の抱き枕を相手に胴締めチョークスリーパーやステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック、腕ひしぎ逆十字固め、キャメルクラッチ、グラウンド・コブラツイストなどの寝技を反復練習していた。
「おりゃ~!!」



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