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顎関節症の治療から

「顎関節症」皆さんも名前は聞いたことがあると思います。

主な症状は以下の3つ、
・顎が開きにくい=開口制限
・顎が痛い=関節痛
・ジャリジャリ音がする=雑音

これらの症状は顎関節の炎症や顎関節を動かす筋肉の過度緊張で起こります。例えば顎を閉じる筋肉が過緊張すると顎が開かなくなり、開口動作に痛みを伴うようになります。
雑音は顎関節のダメージによってできた傷跡が原因していたり、関節円盤という軟骨のクッションのお障りの悪さが原因しています。
顎関節症の相談で一番多いのが「顎が開かない」というご相談です。

なんですが…

先日、「顎が閉じない!!」という患者さんがいらっしゃいました。
実はこれも顎関節症の症状の一つなんです。このケースでは外側翼突筋という筋肉の過緊張が犯人となります。

外側翼突筋

※翼突筋が見えるよう下顎骨(下あご)はスケルトンにしています

この外側翼突筋という筋肉は、顎を前に突き出すような動き(志村けんの「アイ~ン!」をご参照のこと)を担当する筋肉で、あんまり固く縮みこむと顎が閉じ切らなくなるんです。

また、この外側翼突筋には前出の関節円盤を関節にフィットさせる働きがあるので顎の雑音(顎を動かすとジャリジャリと音がする)の犯人でもあります。

顎関節円板

※わかりにくいのですが、黄色の部分が関節円板です

こうした相談はレアケースですが、顎関節症を経験したことのある方なら開かないだけではなくて「閉じきれない」とか「奥歯がかみ合わなくなる」なんて経験は多いのではないかと思います。
また、治療家側も教科書的な知識を平面的に記憶するだけがと不思議な症状として目に映るでしょうが、機能解剖と病態を理解すると不思議なことでもなくなるんですよね。
なので、個人的には暗記ではなく理解に重きを置いています。
ま、記憶の容量が小さいってのもあるのですが…

幸いこの患者さんは外側翼突筋を緩めることで無事に奥歯をかみしめることができるようになりました。
加えて自宅でできるセルフケアをお伝えしてこの日の治療は終了です。

顎関節の障害は特に心理的なストレスの影響を受けやすいといわれます。
長患いになると特に症状に目が釘づけになりがちですが、治療に加え意識的に「気晴らし」をすることも意外と良い「薬」になるものです。

生活上外すことのできないストレスも、「燃やし尽くす」ことはできるといわれていますので、スポーツでもなんでも、自分が楽しめることに時間を使ってみてはいかがでしょうか。

※この記事は2015/4/21にgoo blog「とよたま日記」に公開したものを増補・改定いたしました。


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