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法人化した一人社長は、「出張旅費規程」を作り活用すべき

合同会社設立しました。「出張旅費規程」を作って、活用することにより
節税対策になるそうなので調べてまとめました。
※個人事業主は会社のように法人と個人(役員・社員)が分かれていないので、適用されない。


1.出張旅費規程とは

出張旅費規程は、出張にかかる交通費や宿泊費、日当などの諸経費の取り扱いについて定めた規程。
作成できるのは『法人』のみです。(制定するかどうかは法人の自由です。)
内容や手当の金額に明確な基準は無いが、役職ごと常識的な金額を設定する必要がある。

2.制定するメリット

(1)日当が経費として計上できる

対象者に支払われる日当は、通常の給与ではなく経費となるため、非課税のお金で、会社側にとっては消費税、法人税、住民税の節税となる

<参考>
<出張時にかかる諸経費の例>
・基本外食になるため食費がかかる。
・仕事関係者との付き合いで業務外の交際費がかかる。
・出張先で利用する消耗品や備品を現地調達する場合がある。
・出張業務を滞りなく進めるための必要経費がかかる。

(2)日当は社会保険料の負担にならない

日当は給与ではないので、給与額から算出される社会保険料もかかない。
社会保険料は、会社と個人とで折半なので、社会保険料の負担にならない。会社・個人双方にメリットがある。

3.デメリット

全従業員が規定の対象となるので、場合によってはコスト増となって資金繰りが悪化するリスクがある。
ただ、一人社長であれば、リスクは小さい。

4.規定の注意点

(1)従業員にも一律適用すること

規定の対象は全従業員。役職ごとに金額を区別するのは良いが、役員だけの旅費規程はNG。

(2)日当は常識的な金額とすること

日当は同規模・同業種の他の会社と比べて高すぎなければOK。
社長1人の会社でも、日当は役職ごとに分けておくこと。
分けた方が税務署から否認される可能性は減る。
(今後従業員を雇うことも想定した方が良いから)

(3)日帰り出張と宿泊を伴う出張とで基準を分けること

日帰り出張よりも宿泊出張の方が、費用が余分にかかるので、
それぞれ分けて設定する。

(4)交通費・宿泊費についても定めておくこと

交通費・宿泊費については、実費精算もしくは定額精算とすることが可能。
実費精算なら、領収証と引き換えにその代金を受け取るという方法。
定額精算なら、出張場所ごとに金額を定めてその金額通りに精算するという方法。
交通費、宿泊費は役職ごとに差を付けることが可能。

(5)出張報告書を作ること

日当の支給は、領収書は不要だが、税務署への証拠となる書類として「出張報告書」を別途作成しておくこと。
書式の決まりはないが、出張先、出張目的、日程、交通手段と交通費、宿泊費、支払われた日当などの記録はきちんと残しておくこと。

(6)規定を作成・制定したことの議事録を残しておくこと

(7)旅費清算書を作成し毎月精算しておくこと

(8)規定に沿ってきちんと運用すること


参考

5.出張旅費規程の作り方

(1)目的を定める

(例)
     第○条 この規程は、就業規則第○条に基づき、役員または社員が社命に
    より、出張する場合の手続き、および旅費について定めたものである。

(2)適用範囲を定める

(例)
    第○条 この規程は、原則として役員および社員に適用する。
   但し社員以外の者であっても役員の承認を得ている場合は、本規定を
   適用することができる。

(3)出張の定義を定める

(例)
    第○条 本規定の出張の種類は宿泊出張と日帰り出張の2種類とする
    宿泊出張とは勤務地より、片道距離が〇〇km以上の地域へ出張し、
    宿泊を伴うものとする
    日帰り出張とは〇〇の地域内に出張し、拘束〇時間以上となる宿泊を
    伴わない、出発当日に帰省できる出張とする

(4)旅費の種類と支給額を定める

旅費の項目は、交通費、日当、宿泊費
・交通費
 (例)
    第○条 交通費は以下のとおりとする。
    ① 役員 グリーン車相当の運賃の実費
    ② その他の社員 普通運賃の実費
・日当
 (例)
    第○条 日当は出張日数に応じて以下に定める定額を支給する
    ① 社長・役員 〇,000円
    ② 部長・次長 〇,000円
    ③一般 〇,000円
・宿泊費
 第○条 宿泊費は宿泊日数に応じて以下に定める定額を支給する
 ① 社長・役員 1日あたり〇万〇,000円
 ② 部長・次長 1日あたり〇万〇,000円
 ③ 一般 1日あたり〇,000円

(5)出張の手続きを定める

 (例)
    第○条 出張使用とする者は、あらかじめ所定の「出張申請書」を
    会社に提出し、承認を得なければならない
    第○条 出張するものは、あらかじめ概算経費を記入した
  「仮払金申請書兼受領書」を会社に提出し、承認を受けることで
   仮払いを受けることができる


出張旅費規程を作成し、運用しましょう。



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