妄想アマガエル日記(43)-12月28日(木)晴れ
「わかった、わかった」
「約束通り、お前が言ったことを1回は受け入れることにするから、今夜は一緒に寝ようじゃないか。。」
与助はしぶしぶ受け入れた。でも まぁ、銀次郎が寝たら自分の部屋に戻ればいいやと思った。
「おっ、そうなの。約束守ってくれるんだ!さすが、与助だ。約束を破ったりはしないと思っていたよ!」
銀次郎が嬉しそうに言った。
「まぁ、とりあえず、部屋もできたし、外も寒くなってきたから、入り口を塞いでここでの暮らしを始めようか?」
与助が皆に提案した。
穴の入り口から外を見ると雪が降っていた。そして、はじめて見る雪を見ながら入り口を朽ち木の樹皮や石、土などで塞いで冷たい風が入ってこないようにした。ようやく穴の入り口を塞ぐことができた頃には夜になっていた。
そこで、各自部屋に戻って寝ることにした。
穴の中は真っ暗になったが、天井に開いた隙間から入ってくる月の明かりがところどころを照らして、完全には暗くはならない。
「じゃさ、与助は僕の部屋で寝るんでしょ?」
銀次郎が嬉しそうに聞いた。
「あぁ~、、そうだな。」
与助がしぶしぶ答えた。
銀次郎が嬉しそうに部屋に案内すると寝床が2ヶ所用意してあって、奥に銀次郎が寝て、手前に与助が寝ることにした。
「いや~、、今日は疲れたね。。とりあえず、入り口は塞いだし、ここは寒く無いし、これで冬を越すことはできそうだね。」
「そういえばさ、、ペラペラ、ペラペラ。。。。この前なんてさ、、ペラペラ、ペラペラ。。。」
銀次郎がただひたすらにしゃべり続け、それをうんうん言いながら与助が相槌した。
コイツはいつになったら寝るんだろうな。。。
与助は思った。
もしかしたら、コイツが興味ないような嘘の話しでもしたら眠くなるかもしれないな。。。。
そう思った与助は、
「そういえば、地底蛙って知っているかい?」
と明らかなつまらない嘘の話しをしてみた。
「地底蛙?聞いたことないよ。」
銀次郎があまり関心ないような感じで返事した。
よしよし、関心なさそうだな、
「地底蛙ってのはな、、俺たちのような地上にいる蛙と違って、とても危険な蛙でずっと地底で暮らしているらしいんだ。地底にはその蛙たちの世界があるらしくて、たまに地上に出て来て地上の蛙を食べるって噂だ。」
与助がちょっと嘘が多すぎたからバレてしまうと思った。
しかし、銀次郎が
「えぇえぇ、、なんて危険な!!!もしかしたら、この穴の中にいたら地底蛙が来るなんてことがあるんじゃないか!!!」
与助の話しを信じてしまって、話しに食いついた。
あれ?明らかな嘘なんだけど、コイツ信じてしまったのではないか?
いやいや、まさかな。。
「でさ、、その地底蛙ってのは、目が6個あって、体には日出夫とか小太郎みたいなイボがあるらしいんだ。口も大きいらしい。」
まぁ、こんな嘘を言えば、そろそろ嘘と気づいて呆れて寝るかな?
「えぇぇえぇぇ、、なんて姿をしているんだい???目が6個も?大変だ!!寝てる場合じゃないじゃないか!!!」
銀次郎が飛びあがって、慌て出した。
そして、再び横になった銀次郎は怖くなって与助の手をぎゅっと握った。
それを横目で見た与助は思った。
そうだった、、、、コイツはこういう奴だった。。。
これじゃ、逃げれない。。。。
つづく