妄想アマガエル日記(17)-8月18日(金)くもり時々雨
「与助くんも、次に体がどうなるかわからないって言っていたな~」
「たぶん、手足がなくなって、羽根が生えて、なんかスゴイ姿になるんじゃないかと思うんだけどな~」
隙間から外をぼ~と見ながら、次の自分の姿を想像していた。
すると、ぽつぽつと雨が降ってきた。
「おっ!久しぶりの雨だ!」
我々カエルは皮膚から水を吸うのだけど、水を吸うということはその逆でもある乾燥すると水が抜けてしまうということでもある。
そのため、乾燥していたり、日が照っていたり、する時はあまり外を出歩けない。
「久しぶりの雨だから、少し遠くに行ってみよう!」
「せっかくだから、与助くんも誘ってみるか!!」
そこで、隙間を出て、朽ち木をよじ登って与助がいる隙間を覗いてみた。
でも、そこに与助の姿はなかった。
「あ~いないな~。。。一人でどっか行ったのかな~」
「仕方がない。一人で行くか。」
朽木を降りて雑木林の奥に行ってみることにした。
これまで、この雑木林の奥に行ったことはなかった。
それは、鬱蒼とした森の奥は少し薄気味悪くて、一人で行くのは怖かったのだ。
恐る恐る奥に歩いていくと、次第に雨足も強まってきて、周りも暗くなってきた。
「なんだか怖いな~~。雨も結構降ってきたし、、、このまま進むと迷って、帰って来れなくなりそうな気がするな~」
そこで、コンクリートブロックが2段ほど重ねて置いてある場所があったので、とりあえず、その一番下のコンクリートブロックの穴の中で雨宿りすることにした。
時折、カミナリも鳴ってきて、カミナリの閃光が周りを一瞬明るくした。
すると、その光に映し出されるように、奥の大きな石の下に大きなカエルがいるのが見えた。
「うわっ、化け物だ!!!なんて大きなカエルだ!見たことないぞあんな大きなカエル」
「あんなのに見つかったら、、、食べられてしまう。。。」
怖くて、動けなくなってしまった。
すると、そのカエルは何やら自分の皮を口で引っ張って剥がしているように見えた。
「おいおい、、、自分の皮を自分で剥いでるぞ・・・・」
「やっぱり、化け物カエルだ。。。」
そのカエルはどんどん自分を皮を剝いでいく。
「うわ~、、何しているんだあのカエル。。なんかとっても苦しそうだ。。」
「でも、、、そういえば、、あれは、、“ヒキガエル”というカエルかもしれないな。。。」
「なんか前にそんな大きなカエルもこの辺りにいると聞いたことがある。。。」
「でも、なんであのカエルはあんなに苦しそうに、自分の皮を脱いでいるんだ?」
時折、カミナリがなり、その姿が一瞬映し出されるのだ。
「もしかしたら、、、、、、カエルの次の形態に変わるところなんじゃないか!!!」
「オタマジャクシからカエルに変わったように、次は手足がなくなっていよいよ羽根がでるところかもしれない。いったい、どんなスゴイ姿になるんだ!!」
なんだか、ワクワクしてきた。
「カミナリよ、またあのカエルを映しだしてくれ。。。そして、カエルの次の形態を見せてくれ。。」
祈るような気持ちで次のカミナリを待った。
すると、カミナリが鳴った。
そして、ヒキガエルが皮をもう少しで全部脱ぐところが見えた。
「おいおい、、いよいよだ。。。」
「次のカミナリが映し出した時、カエルの次の形態。つまり、まだ知らない第3形態が見れるぞ。。」
「いったい、どんな形態なんだ。。。。。」
「カミナリよ、、頼む、見せてくれ。。。。」
すると、その願いが通じたように、しばらくして大きなカミナリがなり、辺り一面が明るくなった。
そこに映し出されたのは、羽根などなく、ツルツルの綺麗な皮膚に変わったさっきと同じ姿のヒキガエルだった。
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「変わってないやないか~~~~~~~~~い」
一人で穴の中で叫んだ。
その声は、雨とカミナリにかき消された。
つづく